コリン・ジェンキンスさんは19世紀に女権運動のリーダーだったエリザベス・キャディー・スタントンの玄孫にあたる女性。彼女が今取り組んでいる、ニューヨークのセントラルパークに女性の銅像を建てようという活動を<TOWN & COUNTRY>が伝えています。

ジェンキンスさんがフェミニズムに目覚めたのは、17歳のときだったそう。

「セネカフォールズ(スタントンが活動した、ニューヨーク州の小さな町)に行って高祖母が生前住んでいた家を訪ねてから、歴史をふり返るようになりました。彼女の演説『The Solitude of Self(自己の孤独)』(1892年にアメリカ婦人参政権協会でスタントンが行った有名な演説)を読んだら、時代を超えて、とても納得するものがあったんです」。彼女が誰に言われたわけでもなくフェミニストになったのは、血のなせるわざなのかも。

以来、ジェンキンスさんは女性の権利を求めて闘い続けることに。その集大成ともいえるのが、『不朽の女性たち(Monumental Women)』プロジェクト。これは女性の歩みを記念して、ニューヨーク市のセントラルパークに、初の女性の銅像を建てようという<エリザベス・スタントンおよびスーザン・B・アンソニー基金>による企画なのだそう。実は、現在のところセントラルパークにある歴史的人物の銅像22体は全員男性。女性は、実在しないキャラクターのマザー・グースと、不思議の国のアリスのみ。

アンデルセンの銅像

「セントラルパークに『女性はお断り』なんていう看板をかけることはできないでしょう」とジェンキンスさん。

幸いジェンキンスさんは銅像設置に関する経験の持ち主。1998年、3人の女権運動家、スタントンとアンソニー、そしてルクレチア・モットの8トンもの大理石の胸像を、米国会議事堂のロタンダ(国会議事堂で一番高い、ドームのある広間)に移設する企画を成し遂げたのだとか。その時の、2つの法改正が必要だった活動に比べれば、セントラルパークに銅像を増やすくらい、特に面倒な手続きが要るとは思っていなかったそう。

「これほど難しいことだとは予想だにしていませんでした」、とジェンキンスさん。

助け舟を出してくれたのは、(ジェンキンスさんが"ヒーロー"と仰ぐ)ニューヨーク市公園部門のミッチェル・シルヴァーさん。彼女が60年間の停滞を打ち破って、公園内の常設像の条件を変えてくれたのだそう。

2015年の5月に同部門は、スタントンとアンソニーの像を西77丁目の入り口近くに建てることを承認。残る仕事はこのプロジェクトのために150万ドル(約1億7,000万円)を集めること。

<エリザベス・スタントンおよびスーザン・B・アンソニー基金>の会長パム・エラムは最近のインタビューで、「男性の像のなかには、こんな特別な対応が必要だったものはないんじゃないかしらね」とコメント。

同基金では、アメリカで女性参政権が認められてから100年となる2020年8月の銅像設置の実現を目指していて、ニューヨークライフ社から必要額の3分の1にあたる50万ドルの補助金を得た今、銅像のデザイン・コンペに参加する彫刻家を募っているところなのだそう。

ジェンキンスさんは活動についてこんな風に語っています。「これは女性だけの問題ではないと思っています。こうしたメッセージの力を理解する男性と女性、両方にかかわることなんです」。

※この翻訳は、抄訳です。

Translation: Noriko Sasaki (Office Miyazaki Inc.)

TOWN&COUNTRY US