お金に苦労せず、幸せに生きていくことを目指す【脱貧困診断】。今回の相談は、野田由紀さん(仮名・メーカー勤務・34歳)からの質問です。

「この連載を読んでいて、ふるさと納税がしたくなりました。どうやればふるさと納税ができるんでしょうか。いちばん簡単なやりかたを教えてください」

前回、ふるさと納税は、時間があって、安定した所得の多い人ほど賢く利用できるというお話がありました。アラサー独身OLが、簡単にふるさと納税をする方法は? 森井じゅんさんに聞いてみましょう。

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面倒な確定申告が必須だった「ふるさと納税」に特例制度が誕生

この連載で何度かご説明していますが、ふるさと納税は地方自治体への寄付金です。上限の範囲内で、2000円を超える部分が「寄附金控除」として税金の控除となるのです。この控除を受ける簡単な方法が「ワンストップ特例」です。

ふるさと納税を行なう手順は、まず寄付したい自治体を自分で選び、寄付申し込みの手続き・入金をする。そして、税金の控除を受ける手続きをとる、となります。
このうち、ワンストップ特例は最後のステップである、控除を受ける手続きに関するものです。

こワンストップ特例導入以前は、寄附金控除を受けるためには、必ず確定申告を行なう必要がありました。
確定申告とは、1月1日から12月31日までの収入や支出、各種控除を、翌年3月15日までに申告し、税額を確定する手続きです。

多くの会社員の方で、医療費控除など、確定申告が必要な項目がない場合には、通常、会社が年末調整という形で税金計算を終えてくれます。そのため確定申告をしたことがない、という人も少なくないでしょう。

慣れない人にとっては、ハードルが高い確定申告。この確定申告が必要ということで、ふるさと納税もハードルが高く、面倒なものと感じていた方も多いのではないでしょうか。

しかし、ふるさと納税から、この確定申告というハードルが一部取り除かれました。平成27年に「ワンストップ特例制度」が導入されたのです。ニュースなどで言葉は聞いたことがあるかもしれませんね。

寄付をした自治体に申請書を送付するだけ

ワンストップ特例を利用せずに寄付金控除を受ける場合、まず地方自治体への寄付を行ない、寄付を行なった自治体から寄附金受領証明書を受け取ります。そして翌年の3月15日までに、収入や支出などと共に申告書に寄付の内容を記載し、寄附金受領証明書と共に税務署に提出する必要があります。

一方、ワンストップ特例では寄付を行なった地方自治体へ、ワンストップ特例を利用します、という申し出をします。具体的には、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記入して、自治体に送付するだけです。確定申告の必要はありません。

寄附を受けた自治体が、居住地の自治体に寄付の金額等を通知し、居住地の自治体が寄付金控除を適用して住民税を計算してくれるのです。

控除される税金額は同じだが、タイミングが違う

手続きの方法に加え、もうひとつ、確定申告による寄付金控除とワンストップ特例の利用による寄付金控除には違いがあります。

それは、控除のタイミングです。

確定申告による寄付金控除では、所得税と住民税の控除となります。一般的には、一部が所得税の還付として翌4月から翌5月あたりに税務署からお金が戻ってきます。そして、残りの部分が住民税から控除されるため、翌7月から翌々6月までの各月の住民税の納付額が少なくなります。

一方、ワンストップ特例を利用した場合には、所得税は変わらず、住民税の控除のみとなります。つまり、翌7月から翌々6月までの各月の住民税の納付額が少なくなります。

しかし、控除金額は所得やその他の控除により決まってくるため、控除される税金は変わりません。一部を所得税と住民税の控除に分けるか、すべてを住民税の控除とするかという違いだけです。

ワンストップ特例を利用するための注意点

ただし、ワンストップ特例を利用するには、条件があります。それが、以下の4つ。

・1事業者からの給与所得のみで年収2000万円以下
・ふるさと納税を行なった自治体の数が5か所以内
・期限内に各自治体へ「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出
・他の件でも確定申告をする必要がない

これら、すべての条件にあてはまる人だけ、ワンストップ特例が利用できます。

相談者さんは会社員とのこと。毎年年末調整で税金の計算は終わっており、確定申告はしていないようですね。相談者さん含め会社員の方は、確定申告の必要がないケースが多いです。そういったケースでは、申請書をきちんと提出することと、ふるさと納税を行なう自治体の数を把握しておくことがポイントになります。

ひとつ、気を付けてほしいのは、最初は条件を満たしていたからワンストップ特例を利用するつもりだったけど、あとで確定申告をしたほうがよいと気づき、確定申告をすることにしたという場合です。例えば、思ったよりも年間の医療費がかかり、医療費控除を受けようとするようなケースです。

この場合には、ワンストップ特例は利用できません。確定申告書に寄付金の記載をし、受領証明書を添付し、提出する必要があります。たとえ、すでに各自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出済みであっても、改めて確定申告書に記載しなければならなくなります。

この記載を忘れて確定申告を行なうと、ふるさと納税の寄附金控除は受けられません。十分に気を付けてください。

ふるさと納税先を選んだり、書類を手配したりする手間と時間を考慮して、やってみたいと思ったらトライしてみよう。



■賢人のまとめ
面倒な確定申告をしなくても「ふるさと納税」ができる「ワンストップ特例」が誕生しました。ただし、条件をクリアしていないと利用できないので、その点を十分注意してください。

■プロフィール

女子マネーの達人 森井じゅん

1980年生まれ。高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。

一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行なっている。