【agehasprings】ラジオ・チャートから見える光<エバーグリーンな輝きを放つバンドnever young beach>

写真拡大

 agehasprings Open Lab.がヒットを語る連載シリーズ第3弾。今回は、作編曲家としてミュージシャンとしても活躍する同社所属の横山裕章が、Billboard JAPAN Radio Songsチャート(2017年8月7日付)で3位にチャート・インしたnever young beachの「SURELY」に注目。

 今や名だたるフェスでその名前を見ないことはなく、まさに脂が乗りまくっている、2020年代に向けての最重要バンドの1つであるnever young beach。

 「SURELY」は、2016年6月リリースの2ndアルバム『fam fam』(2017年のCDショップ大賞入賞、関東ブロック賞受賞作品)から1年ぶりのリリースとなる、彼らのメジャー・デビュー・アルバム『A GOOD TIME』に収録されている1曲で、アルバム発売に先駆け、アナログ7インチ盤でもリリースされていた。資生堂『スノービューティー』のショート・ドラマ『Laundry Snow』主題歌としても話題となった曲だ。

 「SURELY」のチャート動向を見てみると、7月7日にそのMVが公開されてからじわじわとラジオ・チャートの順位を上げ、7月31日付の同チャートでは1位を獲得している。

 “JAPAN HOT 100”(2017年8月7日付)の20位圏内において、ラジオ・チャートの上位にもチャート・インしているアーティストとして高橋優、桑田佳祐、家入レオ、Mr.Childrenがいて、彼らの共通項としては、圧倒的なライヴ・パフォーマンスに定評があるアーティストであるということ。それに加え、自己プロデュース力が高く、お客さんに求められていることを客観的に理解しながらも、いろいろなことにトライし、常に新鮮なものを提供し続けているということが挙げられるが、never young beachにもそのような非凡な才能を感じる。

 彼らの素晴らしい魅力として、そのライヴ・パフォーマンス、自己プロデュース力が挙げられる。私もフェスなどで何回か拝見しているが、圧倒的にお客さんとのコミュニケーション力が高い。メロディがいい、歌詞がいい、キャラクターに親しみが持てるなど、褒めるべきところを挙げたらきりがないのだが、安部勇磨(Vo&Gt)がオーディエンスとの間に壁を作らず、まるで彼らにその身を委ね、預けているような無防備とも言えるパフォーマンスが私にとって特に印象的だった。それがお客さんに一番求められていること、喜ばれること、1番のコミュニケーションだということを本能的に分かっているように見えた。

 サウンド面の特徴としては、70年代のブラック・ミュージックに影響を受けながらも、ヨ・ラ・テンゴのようなオルタナ系ロックからデヴェンドラ・バンハートのようなトロピカルなインディー・フォークなどの雰囲気を上手く融合させ、しっかりオリジナルな世界観を作っている。また特徴的なバンド編成にも注目したい。彼らはトリプル・ギター編成の5人組だが、良い意味でそのトリプル・ギター感を意識させない、空間を上手く使ったアレンジを得意としている。そんな綿密なギター・アンサンブルも個人的に好みなところだ

 また、歌っていること(歌詞)も、流行りの言葉や変に奇をてらった表現など使わずに、彼らの日常から出てくる普遍的な日本語を選んでいるように見える。その言葉が彼らのバンド・サウンドに乗り、そして安部勇磨の声を持ってして放たれると、聴いている側は自然とワクワクしてきて、あっという間に彼らの世界に吸い込まれていってしまい、キュン!と心の奥を鷲掴みされるのだ。伝えるための言葉のリズムも相当研究しているように感じる。

”溶け出したバターは僕らを連れて行く”

という表現は「SURELY」の歌詞の中でも個人的にも好きなところである。

 不動のPOPSバンドに変貌していくであろうnever young beachからはこれからも目が離せない。

Text by 横山裕章 (agehasprings)