いよいよ今週末に開幕するブンデスリーガ。そのリーグ戦に先立って行なわれたドイツ杯1回戦が、多くのチームにとって公式戦の初戦となった。その試合を中心に、日本人選手の現状をおさらいしておく。


ドイツ杯1回戦リーラジンゲン戦の後半61分から出場した香川真司

 順調な調整具合がうかがえるのが武藤嘉紀(マインツ)だ。相手は4部リューネブルガーのため参考記録といったところだが、72分までプレーし、チームの3得点のうち2得点を挙げている。もう1点のPK を獲得したのも武藤のプレーだった。武藤にとって今季は、ケガをしないことと、日本代表に返り咲くことがテーマになる。

 フランクフルトの2人の調子もよさそうだ。3月にケガをした長谷部誠は4部TuSエルンテブリュック戦で完全復帰。最終ラインではなくボランチで先発しており、指揮官からの信頼は揺るぎない。新加入の鎌田大地も先発を果たし、右MFでプレーした。この試合ではチャンスに絡むことができず、地元紙から酷評されてはいたが、プレシーズンマッチでも起用されて戦力として機能している。時間とともに成長が期待できる。

 酒井高徳(ハンブルガーSV)は、主将として2シーズン目を迎えたが、3部オスナブリュックに敗れてしまった。今季もチームの主軸のひとりであることは間違いないが、もうひとつ突出したプレーを求めたいところでもある。

 ヘルタ・ベルリンの原口元気は、3部ハンザロストック戦に80分から出場した。移籍希望を公言してきたが、ここにきて「開幕までに決まらなかったらヘルタに残る」と言うようになった。しかし、依然として去就はまだ決まっていない。

 プレシーズンの序盤に軽いケガをした浅野拓磨(シュツットガルト)は、ここまで途中出場が多かったが、4部コトブス戦で先発に返り咲いた。昨季の終盤も先発を外れることが多く、アタッカーとしては何よりも結果が求められる。

 ドイツ杯1回戦でベンチ外となったのは大迫勇也(ケルン)、内田篤人(シャルケ)、宇佐美貴史(アウクスブルク)の3人。大迫はキャンプ中のボローニャ戦で負傷していた。マインツから加入したジョン・コルドバとの相性を確かめる貴重な場で、わずか13分での負傷退場は痛かったが、ペーター・シュテーガー監督は大迫を軸と考えているようだ。W杯予選に間に合うのかを含めて、回復具合に注目したい。

 内田と宇佐美はコンディションに問題はないにもかかわらずベンチ外だった。

 6月7日の日本代表、シリア戦で左肩を負傷した香川真司の現状はどうか。

 7月にプレシーズンが始まってからも対外試合でのプレーは一切なし。アジアツアーの浦和レッズ戦では顔見せの意味もあってベンチに入ったが、8月に入ってドイツスーパーカップ、バイエルン戦でもベンチ外となっていた。

 今季初のプレーとなったのは、12日に行なわれたドイツ杯1回戦リーラジンゲン戦だった。香川は61分から左ウィングで出場。だが、トップコンディションからは程遠く、相手との接触も避けながらのプレーだった。

 4-3-3が基本システムとなりそうな今季のドルトムントで、香川はインサイドハーフで起用されることが多くなりそうだ。この日、左ウィングだったのは、ウスマン・デンベレやマルコ・ロイス不在といった台所事情によるものだろう。

 とりあえずこのタイミングで香川が実戦に復帰することは既定路線だったようだ。

「試合に何分出るかは言われてなかったですけど、出るというのはスカウトから言われていた。でも思ったより長かった。10分、15分かなと思っていたので」

 相手は6部のチーム。すでに3-0とリードしており、無理する必要のない状況が作られていた。ケガをした肩の具合はどうなのか。

「痛みはないですけど、まだ可動域が(戻りきっていない)……。伸びない時にぎゅっとやると痛みがあるし、コンタクトという意味ではまだまだ(練習を)やっていく必要があります。もちろん恐怖心もありますし、癖になりやすいと言われてる箇所だから、しっかりとトレーニングしてやらないとまた癖になるので。こけ方だったり、リスクマネジメントをして準備しないと、ケガをしちゃう可能性は十分ある。ましてや今は代表もあるし、ケガをできない状況なので、しっかりやっていきたいと思います」

 肩の脱臼という、多くのアスリートが経験したことのあるケガにしては復帰まで時間がかかりすぎているようにも思えるが、そうではないという。

「ケガした段階で、復帰時期から逆算して準備していました。早くやりたい気持ちはありましたけど、しっかりとドクターと身体の状態を見て、ゴーサインが出たところでやるというのは決まっていた。その見通しは前から立てていたので、そういう意味では計算通り、予定通りだと思います」

――ブンデスの開幕戦、あるいは第2節で100パーセントに持っていく?

「そうですね、徐々に段階を踏む時間は十分あるし。練習はもうほぼほぼフル合流しているので、代表戦まで含めて2〜3週間、きっちり練習できるし試合もあるので、そこでしっかりといい状態に持っていきたいと思います」

 つまり、まだ完璧ではないが見通しは立ったということ。話している中で自ら代表戦について触れるあたりからは、8月31日のオーストラリア戦が頭の中のかなりの部分を占めているように感じられた。香川のほかに大迫も負傷するなど、日本代表は難しい状況を迎えている。

「正直、僕は全くみんなの状況はわからないので、ひと言では何とも言えないです。ただ、みんないい準備をしているし、別に誰かがケガをしようがそれは運命で、僕はそれは気にせずにやるしかないと思う。次の試合に集まったメンバーでオーストラリア、サウジと戦う。次の試合は(やることが)はっきりしているので。誰が出ようと、誰が招集されようと、勝つだけだと思います」

 今季は実に10人の日本人がブンデスリーガ1部で戦う。チームの主力となって戦い続けるのはそう簡単なことではない。そしてそのうち何人かは日本代表としても戦うことになる。とりあえずワールドカップ行きさえ決めてしまえば、クラブでの戦いに注力できるという側面もある。その意味でもオーストラリア戦、サウジアラビア戦は重要な戦いになる。

 香川はそんなことも念頭において、調整を進めていた。

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