新曲に関して「言葉にするのは大事」と語り、寄り添って背中を押せる曲にしたかったという瀬川あやか(撮影=片山 拓)

 シンガーソングライターの瀬川あやかが8月18日に、3rdシングル「どんなに.../Have a good day!」をリリース。2016年にメジャーデビュー。看護師、シンガーソングライターと二足の草鞋を履く活動が話題となっている。今年3月にはファーストアルバム『SegaWanderful』をリリース。リリース記念全国ツアーとして東京に加えて、初の大阪、そして故郷・北海道でのワンマンライブを実施と、着実に自身の道を歩んでいる瀬川。「どんなに...」はTBS系恋愛バラエティ『恋んトス season6』のエンディングテーマ曲。瀬川のこれまで歌ってきた楽曲とは一味違う、新たなチャレンジが感じられるサウンドとなっている。新曲に関して「言葉にするのは大事」と語り、寄り添って背中を押せる曲にしたかったという。メジャーデビューから目まぐるしい活躍を続けた一年を過ごしたこともあり、悩んだこともあったという瀬川だが「すごく出会いがあった一年だった」と振り返る。今回はニューシングルに対する想いとともに、これまでの活動を振り返り、これからの道のりへの抱負などを語ってもらった。

もっと返していかないと

瀬川あやか

――瀬川さんが看護師として務められているのは、都内の病院の内科とおうかがいしましたが、この夏場だと最近は熱中症などの患者さんも増えて、大変ではないですか?

 いらっしゃいますね、確かにそういう患者さんも。大きな病院ではないので、緊急度が高い方は少ないですが、気づかないうちに「最近、何となく気分が悪くって…」という方に話を聞いていくと、それは熱中症だなという感じの方が結構多いです。

――特に今年は都心だと暑くなったり寒くなったり、気候の変化も大きいですからね。ご自身でも熱中症等への対策はされていますか?

 水分はよく取ります。職業柄なのかもしれないですが、私はすごく水を飲みます。ライブ前に用意してもらったペットボトルを飲み切っちゃって、ライブ本番に「新しいのを、え〜っと…」みたいなことにもあったり(笑)。

――それはなかなか大変ですね。ちなみに季節的には、夏の方が好きですか?

 夏が好きですね。北海道生まれだから冬の方がしっくりするというか、冬の日にすごく寒いのに、家の中でぬくぬくしながらアイスを食べたりするのが好きだったりするので、以前は冬の方が好きだった気もするのですが…(笑)。夏の方が日は長いし、テンションは上がりますね。

――では冬はこもって制作期間、で、春になったら冬眠から覚めてみたいな。

 (笑)。でも割と冬でも活発に活動しています。

――前回のツアーから約3カ月が過ぎましたが、リリースに凱旋ライブと、大きな山を越えて心境の変化みたいなものは出てきましたか?

 そうですね。6月でデビューから一年たったので振り返ってみると、アルバムをリリースして初めてのツアーをして、というのが本当に自分のこの一年の中で、すごく大きな出来事の一つでした。

 中でもやっぱり北海道と大阪は初めてのワンマンライブだったということも大きかったです。ツアーって、全部の場所で全力ではあるけど、どんどん変化していくというか…セットリストは一緒なのに、どんどん場所や人が違う中で進化していく様子が見えるのがすごく新鮮な体験だったので、楽しかったなと思いました。その一方では、もっとこういう曲があったらライブで映えるかなとか、そういう面での発見もありましたね。

――ご自身の思いで変化したことはありますか?

 ファンの方の顔を見ながら歌っているとき、初めての全国ツアーをするということで、ファンの皆さんに「ありがとう」と言っていただくことが多かったです。逆に私が「ありがとう」の気持ちを伝えたいのに、そういう言葉をいただけることは、すごくありがたいなと。もっとその気持ちを返していかないとダメだな、と思いました。

――新たに打ち立てた目標などはありますか?

 次も絶対また帰って来たいな、と。帰って来たら、もっと大きな会場でやりたい。もっとみんなを楽しませたいし。また、ライブハウスを回りたいですが、いつかはライブハウスも超えて、どんどん大きな会場でもやりたいと思いました。

――それは、そういう可能性を感じているからでしょうか?

 感じています。もともとイメージはすごく持っているタイプというか…「あんなことしたい」など、いろんなことをイメージするタイプではあると思うので。ファンの皆さんがそばにいてくださって、暖かくすごく応援してくださるので、みんなを信じながら自分も信じてやっていきたいと思います。

 自信は基本的にはないのですが(笑)。でもビジョンは持っているというか…イメージは、すごく大事だと思うので、そこに近づくには? ということを普段から考えてはいます。

――瀬川さんのホームページで、今年7月までに終了したライブの一覧を拝見したのですが、2月からは、ほぼ毎週のようにライブをやられていますね。「病院に勤めながら、こんなにやったの!?」とすごくびっくりしました。

 いや〜、そんなにやっているのですね(笑)。自分でも驚きです。

――一方で最近は、看護のお仕事はどうでしょう? 逆に病院の仕事も面白くなってきたというところもありますか?

 影響というか、実は音楽と似ているところがある反面、まったく違うお仕事でもあるので、やっぱり看護をやっているときには音楽のことは考えていないし、それぞれリセットをして向き合ってはいます。でも看護をしている時のことが、歌詞に反映されたり、曲作りに反映されたりというのはすごくありますね。

 逆に音楽を医療の現場に、というのは、なかなか難しいところではあります。ビジョンとしては、本当に自分の曲で病院に歌いに行って元気を届けたり、医療の現場に還元できれば、という思いはあります。

――前回のインタビューや今のお話でも、例えば病院で働いているということを曲作りに反映できれば、ということがありましたが、病院で働かれているときに「あっ、これは」と頭の中でひらめいたエピソードなどはありますか?

 そうですね…メロディや歌詞などが思いつくか? というと、少し違うのですが、例えば「こういう曲を書きたい」、「あっ、これはすごく心が温まった」という感じを言葉にしたいなと思う瞬間はありますね。

――具体的なシチュエーションとしては、どのようなことがありましたか?

 例えば患者さんの表情とか、リンクする部分があると思います。それは自分にも当てはまることだったりするので。病気やケガだけではなくて、落ち込んでいるときとか、不安だったものなどに共通することではないかな、と思います。そこから広げていく曲は多い傾向はあります。

――なるほど、では病院も歌もやめられないですね。

 そうなんです。続けていきたいと思います。

「どんなに...」のコンセプトは「後押し」

瀬川あやか

――シングル楽曲についておうかがいしたいと思います。「どんなに...」は、前からある曲ではなく、新しく作ったものですか?

 そうです、初めて書き下ろしに挑戦しました。

――今回新しいシングルを出すとなったときに、“こういうことを言いたいんだ”というような、コンセプトみたいなものはあったのでしょうか?

 それはありました。このお話をいただいたときには、割と固まっていたイメージをベースとしていただいて、そこから広げていったのですが、その中でも自分で歌詞や曲を書いていくので、自分の想いのようなものは、エッセンスとして入れさせていただきました。

――もともとお題があってのこと、ということですか?

 そうですね。曲を書いていたりはしていたのですが、「どんなに...」の方はTBS の恋愛バラエティ「恋んトス season6」で使われるので「恋を応援するような」楽曲でということは決まっていました。さらに夏のシーンなので、キラキラした中で切なさが欲しい、ということも言われていました。

 「Have a good day!」は地元北海道のルスツリゾートという遊園地などがあるリゾート施設のTVCMソングとして使用されるので、「楽しい感じ」というような。自然な感じがあった方がいいなと、そういう感じで進めていきました。

――「Have a good day!」は、割と前回のアルバムの全体的な曲調に近い感じはありましたが、こちらの「どんなに...」は、いろいろ考えられたところがあったかと思います。恋愛に関しては、瀬川さんの中で当てはまるシチュエーションやエピソードなどがあったのでしょうか?

 ありました。歌詞で<言葉にしなくちゃ>というワードがあります。シンガーソングライターというお仕事にも関連するのですが、思っていることを言わずして伝わらないと思うし、それってすごくもったいないと思っていました。そういう自分の気持ちみたいなものは言葉にしていかないと、という風に思ったとことがあったので、それをそのまま歌詞に表現してみました。

――「好きで好きでたまらない」と詞に書くよりは、「まずは言えよ!」と厳しいことを言っている感じかなとも思ったのですが。

 小さなことでも、大きなことでも、言葉にするのは大事かなと思うんです。だからこの曲は、何か誰かの背中を押せるものにしたかったです。気持ちに寄り添う、その先を目指したかったので。寄り添っておいて「はい、行っておいで!」という感じに。

――瀬川さん自身はどうでしょう? 言葉には割とパッと出てしまう方なのでしょうか?

 いや、パッとは出ないです…(笑)。何も言えないか、噛み砕き過ぎて伝わらないか、になってしまったりするので(笑)。その意味では、自分自身でもすごく大事だなと思うことでもあるので、今回歌詞に書かせていただきました。

――「どんなに...」とタイトルに付けたのは、どんな思いがあってのことでしょう?

 表記に関しては、番組スタッフさんとお話を重ねさせていただいたのですが、切なさなどを想像できるということで「...」を付けさせていただいて、「どんなに」何なのだろう? みたいなイメージです。

 恋愛って、全部が全部楽しいわけではないし、全部が辛いわけでもない。両方の要素を持っているものだと思うし、素敵ですごく大切なものだと自分で思うので、その一言にネガティブな要素と、ポジティブな要素をイメージできるものであればいいのかなと思って、そのタイトルにしました。「どんなに」という言葉で、その人の心境の状態によって辛くも、または楽しくもなったりするかもしれないし、そこはみんなの想像する世界でいいかなと思います。

――曲の作り方の部分でも、前回のアルバムの作風では割とストレートでシンプルな構成のイメージがありましたが、今回はサビ始まりとか、何か新しいことをやってみようと思ったところもあったのかなと感じました。

 新しいことを狙うという思いはありました。ただ作っているときは「新しいことをやろう」という感じで始まったというよりは、切なさとキラキラというその両極端を、一曲に入れるという、お題をどうしよう? という悩みから始まった感じです。

――それで始まりのサビがマイナーキー、Aメロがメジャーキーという…

そう、単純にそのお題からスタートして、「だったら思い切って転調してみよう」みたいな。

――詞と曲はどちらが先に出来上がったのでしょうか?

 今回は曲、メロディが先でした。今回は「恋んトス」で流れるということだったので、印象的なメロディなどが、シーンの印象的な部分に流れているイメージが欲しかったので。頭のサビは少ししっとりとして、間のサビのところは変化して、もうちょっとドラマチックになっていたり、何か変化があるといいかなと思ったりして、構成はいろいろ工夫しました。

――実際にできて「これで後押しされるな、私も」というような、満足した感じですか?

 そうですね。でも、どちらかというと正直大変だったな、という一曲でもあります。新しいことをやってみたということにプラスして、初めての書き下ろしだったので「これで応えられるんだろうか」「これでいいんだろうか?」という思いが今まで以上に強かったし、出来上がったものを聴いて、番組のスタッフさんやファンの方から感想をいただくまでは不安でした。

――作っているときの迷いもかなりあった?

 本当に大変でした。180度違う場面もあったので、それは自分でダメだなと思いながら。最初の話をいただいたのが4月頭だったのですが、まとまるまで3カ月くらいは話していたかな…。

振り返ってもらえるような存在になりたい

瀬川あやか

――カップリングの「Have a good day!」は、曲調の違いもありますが、やはり主題的には「後押し」という要素は強いですね。一方で、この曲に関してはタイトルの言葉から、全部詞を起こしたような感じに見えました。

 本当にそんな感じです。ライブもそうなのですが、自分の曲を聴いた瞬間や、私と会った瞬間がピークではなく、その後にピークが来るようになればいいなと思いまして。

 そのときだけ楽しくて、終わった瞬間から悲しくなっていく、そんな悲しいことはないので、聴いてしばらくして「瀬川に会ったから、頑張ってみるか!」と、そのあとに振り返ってもらえるような存在だったり、曲だったりということになればいいな、と思って。

――「瀬川さんに『Have a good day!』と言われた! 頑張ろう!」みたいな(笑)。

 2日は持つかな? みたいな(笑)。2時間でもいいのですが、ライブの直後に何か余韻みたいな感じが残せるものがあればいいな、と。

――この曲は、「どんなに...」と比べると、割とスッとできた感じではありますか?

 曲調の違いもあるのですが、書き下ろしのイメージが、割と自分の持っていたスタイルに近かったし、夏の曲でカラフルな感じが良くて、みたいな。

 同じタイミングで制作していたのですが、「どんなに...」の方が長くかかっているのもあって、そのときのモヤモヤや自分の足りなさとか、考えました。でも、孤独だと思っていても、一年間やってきて、すごく出会いがあった一年だったなと振り返ったときに、思いが言葉になってできた曲です。

――そういう意味では、両曲ともデビューから一年過ごしたということが大きく影響はしているのですね。

 そうですね。影響は大きいと思いますね。

――ちょっと気が早いかもしれませんが、次のシングルやアルバムというのは…?

 そうですね、早く取り掛かりたいです。またツアーがやりたい、だからアルバムを出したい、というのは前回のツアー直後に思っていたことなので。また、前作は全曲がデビュー前に描いた曲なので、次にアルバムに取り掛かるときにはシングルを含めてデビュー後の曲も入れていきたいという気持ちがあるし、そういう意味で次は広がりが持てるのかな、と思います。

――今回書き下ろしにチャレンジしたことで、書き下ろしについては自信が付いたと思いますか?

 自信が付いたわけではないです(笑)。でも新しい自分に出会えるチャンスをいただけるのは本当にありがたいと思ったので、チャンスがあるならもっとやりたいです。自分に向き合うことは一番難しいけど、だからこそ、こういったきっかけをいただいて、自分の中でも広がった部分も多かったし。

――では、今後の動きに期待しつつ、最後にアピールの一言をいただければと思います。

 2年生になった瀬川あやかですが、これからもどんどん伸びしろがあると信じて、常に進化していきたいと思います! 自分自身の良さを生かしつつも、進化していきたいなと思うし、いろんな意味でもっと大きく成長できるように頑張りますので、よろしくお願いします! それと、残暑に気を付けて! 涼しくなってくると水分を取らなくなることもありますから、十分水分を取ってくださいね。

(取材=桂 伸也/撮影=片山 拓)

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