スポットインタビュー 
Twitter Japan テレビCMの舞台裏
〜人気SNSが仕掛けたブランドキャンペーンの本当の狙い〜

北米と日本で同時に行われた、Twitterのブランドキャンペーン。二つのTwitter大国で行われた施策にはどのような違いがあったのだろうか。そして、Twitterが本当に伝えたかったメッセージとは。既に高い認知度を持つ両国で発信されたテレビCMの内容と、そこに込められた真の狙いを伺いました。
(テキスト:久保靖資、撮影:小池彩子)

>>> 前編:Twitterが「今」ブランドキャンペーンを開始したわけ

 Interview
日本市場の特性を考慮したキャンペーンプランニング
――Twitterの成功事例としては、日本市場はかなり特殊な印象があります。今回のキャンペーンもそこを意識されているのでしょうか。

渡辺氏●もちろんです。日本は、利用状況が北米とは大きく異なり、またグローバルで見てもかなりユニークな市場です。したがって、今回はグローバルキャンペーンではあるのですが、日本で行ったキャンペーンプランニングは、北米とは全く違うものとなりました。

――そうすると日本でのキャンペーン展開は他国では通用しない可能性がある?

渡辺氏●いえ、そうは思いません。日本でも北米でもキャンペーンの基本コンセプトやメッセージは同じで、“違う”というのは、伝え方やターゲットが異なっているということなんです。北米と日本は世界第1、2位のマーケットであり、しかも利用状況が異なる非常に良い事例なわけです。したがって、仕掛けるキャンペーンも異なりますが、いずれかが正解ということではなく、特性に合わせたキャンペーンを展開し、それぞれがどうワークするのかを我々は見ているのです。結果を分析することが、今後の指標になるとも考えています。

――北米と日本、具体的にはどう違うのですか?

渡辺氏●先ほどもお話ししたように、日本ではTwitterは若い方にとても人気があります。一方、30代以上の層では、Twitterを知ってはいるけれど、未だ使ったことがないという方がまだたくさんいます。北米では、かつてTwitterにアカウント登録したけれど、最近は使っていない利用者の方々に向けてのキャンペーンなのですが、日本ではまだ未登録の方々に向けたキャンペーン。アプローチ方法として、北米では“戻ってきて!”なのに対して、日本では“使ってみませんか?”なんです。

米国では、音楽を通じてTwitterを再び利用したくなるような動画内容で展開されている

――やはり、キャンペーンのターゲットとなる年齢層も異なるのですか?

渡辺氏●そのとおりです。今回、日本でのブランドキャンペーンでは、30代、40代をメインターゲットとして考えています。そこが北米と日本での大きな戦略的相違点ですね。北米では利用頻度の低い若い世代をターゲットとして、スポーツや音楽をモチーフとした“若めのトーン”で。これに対して、日本では30代、40代をターゲットとしているため、少し落ち着いたトンマナで、メッセージは“働き方改革”なんです。

今回は30代、40代の働く人に焦点をあてて、Twitterの魅力を伝えることが目的でした。フェーズ1では、駅貼り広告で「たまごかけご飯」や「トランプ政権」、「ネコ派」など、それこそさまざまな事象をポスターとして展開しました。そしてフェーズ2では、テレビCMで“働き方改革”というテーマを扱い、働く世代にとってのTwitterの意義をより強く訴求したんです。

――グローバルキャンペーンとしては“Twitterの魅力を伝える”ということが基本コンセプトだと思いますが、そのあたりはどのように?

渡辺氏●オープンでニュートラルなプラットホームの魅力。この基本コンセプトに基づいて、北米ではスポーツや音楽といったカルチャーに関するエブリサイドな意見、それこそアーティストからファンまで、すべての発信を同時体験できることを訴求し、日本においては30代、40代の働く世代で関心の高い話題についてのさまざまな意見を知ることができる、そういうプラットフォームであることを訴求しているわけです。

――いわゆる世論を包括的に知ることができるプラットフォームであると?

渡辺氏●そうですね。繰り返しになりますが、日本においては決して若者やアニメとか、“バルス”だけのツールではなく、今起きている事、関心が高い話題と、それに関する世論を広く知ることができるプラットフォームであるということを伝えたかったのです。

――数ある関心事の中でも、特に“働き方改革”を選んだ理由は?

渡辺氏●日本でのキャンペーンメッセージは“働き方改革”ではありますが、実際、働く人たちにとっての関心事は多岐にわたります。労働環境や労働時間なども話題になっていますし、労働に関連した待機児童の問題などもあります。それら全てがTwitterでは意見交換されているわけです。しかも、その情報伝達スピードが、他のどのプラットフォームよりも速い。また、さまざまな意見に触れることで、自分自身の意見形成にもつながる。

ですので、“働き方改革をしよう!”と訴えているわけではないんです。そういうことではなく、今回は30代、40代の働く世代をターゲットとして“働き方改革”というテーマを取り上げたうえで、Twitterを利用すればさまざまな意見にリアルタイムで触れることができ、さらに自身の考え方形成にも役立てることができるということを訴求したかったのです。

世の中で起きていることに関しては、単純に賛成・反対だけではないですよね。人それぞれ価値観が異なり、全体的にはグレイゾーンな意見も多くあるわけです。ただ、自分とは異なる意見に触れ、その価値観を知ることで、自身の価値観の質的な向上を図ることができるはずです。“働き方改革”というテーマを通して、そういったTwitterというプラットフォームの魅力を伝えたかったのです。

「働き方改革」をテーマにしたテレビコマーシャル

――今回のキャンペーンを仕掛けるうえで注意したポイントは?

渡辺氏●今申し上げたように、Twitterは右や左といった偏りには加担せず、全ての方にとってのオープンでニュートラルなプラットフォームであることを訴求するため、CMに登場するツィートは全て本当の“ツイート”である必要がありました。そのため、膨大な“ツイート”を見ましたし、許可取りなどもかなり苦労しました。また、映像内に多数の“ツイート”を表示することがポイントでもありました。ひとつの事象に対して、さまざまな意見があることを表現したかったのです。それが成功したかどうかは、これからの評価になりますが……。
――今回のキャンペーンの評価はすでに行われているのでしょうか。

渡辺氏●まだ行っていません。ただ、CMに関してはすでにTwitterの主要利用者である若い世代の方々から“自分たちの知っているTwitterとは違うんじゃない?”といった意見が多くあることが分かっています(笑)。それはそれで、もっともな意見なんです。私自身もTwitter初期からのユーザーですが、今その世代であったとすれば“ん?違うね”って思うんですよ(笑)。ただ、それは正しいし、同時にそれだけではないのがTwitterの良さなんですよ。

ですから、そういった反応は当然であり、今のヘビーユーザーを否定するつもりは全くないんです。そうではなくて、今使っていない方々に対して、Twitterを利用すれば、今話題となっていることに関してどのメディアよりも速く、多種多様な意見に触れ、同時に自身の意見を発信することができる。Twitterのそういうオープンプラットフォームとしての魅力が伝わることを願っています。

TwitterのCMがあまりに潔白で俺のTLの状態とかけ離れていたので勝手に作り直した pic.twitter.com/t8jKuuGEyu- ナポアン (@napoan) 2017年6月25日
こちらはTwitter テレビCMに対する利用者の反応。パロディ動画を作成することで、ここでもひとつの意見を提言している。

>>> 前編:Twitterが「今」ブランドキャンペーンを開始したわけ

Twitter Japan株式会社
Marketing Director
渡辺英輝 氏
Twitter入社後、ブランド・ストラテジー部門でTwitterを利用した企業広告のディレクション業務を担当。現在は、アジア太平洋地域におけるTwitterのマーケティングの統括ディレクターとして活躍中。