【もぐもぐの日】 横山だいすけ「『うたのお兄さん』の仕事をきっかけに子育ての“壁”を知りました」

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 8月25日(金)から同時上映で公開される『映画くまのがっこう パティシエ・ジャッキーとおひさまのスイーツ』と『ふうせんいぬティニー なんだかふしぎなきょうりゅうのくに!』の主題歌を歌う横山だいすけさん。
今年4月に9年間務めたNHK Eテレ「おかあさんといっしょ」の「うたのお兄さん」を卒業した“だいすけお兄さん”に、主題歌に込めた思いや、うたのお兄さんとしての活動、お弁当の思い出について聞きました。

Q 主題歌「さよならだよ、ミスター」を担当されましたね。

 お話をいただいた時は、とてもびっくりしました。小さいころから映画が大好きで、歌を好きになった最初のきっかけも映画。映画の中で非常に大切な役割を持つ主題歌を歌わせてもらえるというのは、とても光栄なことで
す。作品が、「おかあさんといっしょ」で僕がかかわってきたような小さな子どもたちを対象にしている、というのもうれしかったです。

Q 人生を歌う、大人の心にグッと迫るような歌詞ですね。

 思っていたよりも非常に大人っぽい表現でした。主題歌の作者や、原作の絵本の作者から、大切にしたいメッセージをたくさん聞かせていただき、歌い方や世界観をつくっていきました。「ミスター」という言葉には、親が
子どもを一人の人間として尊重する接し方が象徴されているんだということです。僕もこの詞を読んだ時に、親が自分にしてくれたことや親の気持ちなどを考えました。読む人によっていろいろなストーリーが出てくる、とて
も温かい詞と音楽です。うたのお兄さんとしては、歌で子どもたちや親御さんたちに勇気や希望を届けたいと思ってきましたが、そこからさらに広がり、親から独り立ちしていく子へのメッセージというテーマを、この歌で表
すことができたらいいなあと思います。

Q 高校生のころから目指していたという「うたのお兄さん」。9年間活動する中で、子どもへのイメージや接し方に変化はありましたか。

 実はうたのお兄さんになるまでは、子どもは大好きだけれど、子どもがいてもワーッと行って話し掛けるタイプではなく、恥ずかしがってしまうようなところがあったんです。でも、番組に参加する子どもたちは毎回違うし、
大人が計り知れない子どもの自由さや表現の仕方があります。短い収録時間に子どもたちと歌う中で、どれだけ一緒に楽しむことができるか。手探りの状態から始まって、いろいろなことを試し、他のお兄さん、お姉さんたち
の子どもとのかかわり方からも発見がありました。子どもたちと一緒に温かい空間をつくっていくことが、年を重ねるごとにどんどん楽しくなっていきました。

Q だいすけお兄さんに支えられて子育てをしてきたお母さんたちが多く、「だいすけロス」という言葉も生まれました。

 高校生のころから思い描いていたのは、子どもとどういう空間をつくるかということでした。お兄さん現役のころは発信していく側だったので、子どもたちに伝えていきたいことや、親子で共有してほしいことについて、メ
インに考えてきました。ところが、うたのお兄さんを続ければ続けるほど、特にお母さんたちのリアルな声を聞くようになり、子育てで突き当たる壁やストレスというのは、こんなにも大きいものなんだ、だからこの番組を愛
してくれるんだと知りました。特に卒業が決まってからは、とても多くのお手紙やメッセージをいただき、あらためてそのことを痛感しました。

Q 新しいステージでの活躍を待つたくさんのファンたちに、どんな姿を届けていきたいですか。

 卒業する時に、うたのお兄さんをやめるという感覚はあまりなかったんです。僕の核である、子どもたちや親御さんに歌で夢や希望を届ける仕事に、これからの人生でもかかわっていけたら、こんなに幸せなことはありませ
ん。いろいろなことをやってみて、横山だいすけを広げていける何かを見つけられたら。今は新たな世界に足を踏み出し、冒険が始まる前のようなドキドキワクワクした気持ちでいっぱいです。

Q お弁当の思い出を教えてください。

 母親が、僕の学生時代や劇団四季にいたころ、そしてうたのお兄さんのころも、結構弁当を作ってくれていました。特に劇団四季にいたころは、毎日が時間との勝負。稽古、稽古、稽古の合間に、お昼を食べる時間っていう
のがあまりなくて。そして僕は集中していると、食べることも忘れちゃうんです。そんな僕のことを心配して、5分でも食べられるようにと、いつもおにぎりを作ってくれていました。いろいろなものがパッと食べられるよう
に、おにぎりの中に唐揚げが入っていたり、卵焼きや野菜炒めなんかがおにぎりにくっついているんです。台本を読みながら片手で食べる感じでした。

Q うたのお兄さんはおにぎりに支えられてきたんですね。

 その当時は、「こぼれるよー!」とか「汁物がー!」なんて言っていたんです。でも振り返ると、親が陰で栄養のことなども考えていろいろな工夫をしてくれていました。自分にとって食べることというのは、親の愛情に支
えられてきました。僕が大切にしていることをやるために、ずっと支えてくれていたんだなあって思います。母には少し後になってからですが、「弁当ありがとう」って伝えました。

(Text:Chiba Minako/Photo:Uchibori Yoshiyuki)

横山だいすけ
<<Profile
1983年5月29日生まれ、千葉県出身。
2006年に国立音楽大学音楽学部声楽学科を卒業。
幼い頃から歌が大好きで、小学校3年生から大学卒業まで合唱を続ける。劇団四季時代は「ライオンキング」等の舞台に出演。
その後、幼い頃からの夢であったNHKEテレ「おかあさんといっしょ」のうたのおにいさんを2008年より2017年3月まで務める。うたのおにいさんとして9年間の歴代最長出演記録を持つ。
また、今年4月29日より公式ブログをオープンし、早くも読者は12万人を超える。