by tacit requiem (joanneQEscober )

フィクションの中で「私、こんなんじゃだめだ!」と自己否定から主人公が向上する展開をよく見かけますが、自分の負の感情に関しては、必ずしも自己否定が「よりよく生きる」という結果につながるわけではないようです。最新の研究で、自分の負の感情に対してジャッジを行わず、感情を受け入れる人の方がウェルビーイングのレベルが高いことが判明しました。

The Psychological Health Benefits of Accepting Negative Emotions and Thoughts: Laboratory, Diary, and Longitudinal Evidence. - PubMed - NCBI

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28703602

Feeling bad about feeling bad can make you feel worse | Berkeley News

http://news.berkeley.edu/2017/08/10/emotionalacceptance/

カリフォルニア大学バークレー校やトロント大学の研究者らは、サンフランシスコのベイエリア、およびデンバーのメトロポリタンエリアに住む1300人以上の成人を対象にして、感情の受容と精神的健康の関係を調査しました。その結果、自分が負の感情を抱いていることを認めようとしない人や、負の感情を非難する人は、より心理学上のストレスを感じやすいということが判明したとのこと。

反対に、悲しみや落ち込み、失望、憤りといった感情を抱くことをおおむね許容する人は、負の感情を批判して追い出そうとする人に比べて気分障害の症状を報告することが少なかったそうです。調査を行った心理学者のIris Mauss氏は、この原因について「ネガティブな感情を受け入れる人は、ネガティブな感情に対してあまり意識を払わないためでしょう」と推測しています。

調査を率いたトロント大学のBrett Ford准教授は「私たちがネガティブな感情のリアクションに対してどのようなアプローチを取るのかは、『よりよく生きること』において非常に重要だと判明しました」と語っています。「ネガティブな感情をジャッジしたり、無理に変えようとすることなく受け入れている人は、より上手にストレスと付き合っているのです」とのこと。



by Ben White

この研究はラボおよびオンラインで別々に行われた3つの研究を統合したもの。最初の研究では、1000人以上の被験者に「私は、私が抱いている感情について『抱くべきではない』と思う」といった文章に同意するか否かを評価してもらいました。その結果、「負の感情」に対して否定的でない人は、ウェルビーイングのレベルが高いことがわかりました。

その後、ラボで行われた研究で、150人以上の被験者たちに3分間のスピーチを行ってもらうというタスクを課し、その様子を録画しました。この時、スピーチを行う人の前には就職試験の面接官のように審査員がおり、被験者のコミュニケーションスキルやその他の技能を褒める役目をしました。また、スピーチの前に与えられた準備時間は2分間のみだったとのこと。

スピーチ後、被験者に自分の感情を評価してもらったところ、予想通り、負の感情に対して否定的なグループは、負の感情を受け入れるグループに比べてよりストレスを感じていたと報告したそうです。

3つ目の研究では、200人以上の被験者に、2週間にわたってタスクを課し、課されたタスクについて日記をつけてもらいました。それから6カ月後に被験者の精神的な健康状態が調査されたところ、やはり負の感情を否定する内容を日記に書いていた人たちは、自分の感情をジャッジしない人々に比べて気分障害と報告されることが多かったとのこと。



by Simson Petrol

研究チームは次なるステップとして、「なぜ一部の人々は自分の感情の起伏について他の人よりも容易に受け入れることができるのか」という文化的・養育的な要因を調査する予定。「子どもが抱く感情に対して親がどのような心構えであるのかを聞くことで、子どもたちが自分の感情に対してどう感じ、それがメンタルヘルスにどう影響してるのかを予測できるかもしれません」とMauss教授は語っています。