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人気ストラテジーゲームシリーズ「Civilization(シヴィライゼーション)」シリーズの2作目で1996年に発売された「Civilization Ⅱ」で、「終わりなき戦争」と呼ばれる1700年戦争に突入してプレイヤーを10年以上にわたって悩ませていたあるゲームが、「58カ年計画」の末にクリアを迎えていました。

How a fluke video game called the Eternal War became a cultural phenomenon-and changed its creator

http://kernelmag.dailydot.com/issue-sections/headline-story/16223/james-moore-eternal-war-a-decade-of-civilization/

「終わりなき戦争」に陥ったのはジェームス・ムーア氏。この惨状が判明したのは2012年6月12日のことで、ムーア氏がLyceriusというIDでredditに「Civilization Ⅱを約10年プレイし続けています。これがその結果です」という投稿が行ったのがきっかけでした。この内容はブログ「loving, thinking」のとーる氏が訳してくれています。

I've been playing the same game of Civilization II for almost 10 years. This is the result. : gaming

https://www.reddit.com/r/gaming/comments/uxpil/ive_been_playing_the_same_game_of_civilization_ii/

「十年間シヴィライゼーション2をプレイしています。これがその結果です。」 - loving, thinking

https://sites.google.com/site/tohruing/translations/the-eternal-war



Civilizationは、プレイヤーが複数の文明が存在する世界でその中の1つの指導者となり、人口を増やし、文化を発展させたり軍備を整えたりして、軍事力による世界征服や技術力を高めた結果による世界初の宇宙進出などの勝利条件を目指すゲームです。

The Daily Dotのインタビューによると、ムーア氏が2001年発売の「Civilization Ⅲ」に出会ったのは14歳の時で、いくつもの異なる歴史が生まれることが興味深かったので、同時に複数のセーブデータを進めることがよくあったとのこと。その中の1つが「エターナルウォー」を引き起こすものでした。なお、このデータがあまりにも未来にまでプレイが進んだ結果、ムーア氏は続編「Civilization Ⅳ」へと移行する機会を逸しています。

ともかく、ムーア氏がプレイしていたデータは2012年の投稿時点で西暦3991年を迎えていました。ゲームには2020年までという一応の期限があるのですが、その先もプレイを続けることが可能だったためです。ただし、ムーア氏が2020年より先までプレイしていても、ほとんどは自分の文明だけになって「勝つ」か、あるいは滅ぼされて「負ける」のどちらかで、わずかな例外のケースでも、そのころには各文明の所有するユニット数があまりにも多くなって、1ターンにかかる時間が長くなりすぎて「実質的にプレイ不可能」という状況に陥ったとのこと。

ところが、このデータは例外中の例外で膠着状態が続きました。世界はムーア氏がプレイするケルトのほか、アメリカとヴァイキングという3つの文明が分割支配していて、すでに数十回の核戦争が行われて陸地はほぼ汚染され、残されたわずかな資源を奪い合う状況にありました。

Hey guys, I've been playing the same game of civ 5 for almost 10 years now. It's really crazy and original. I hope you reedit likes it :)) - Album on Imgur

http://imgur.com/a/rAnZs

1000年以上にわたって動かない「最前線」。ときどき軍に動きがありますが、即座に核攻撃が行われます。近くの都市が他の文明に寝返ることも時々あるものの、そのまま維持し続けることはできないのだそうです。かといって、停戦協定はすぐに破られるため、前述の「エターナルウォー」になっていたとのこと。



もともとギリシャや日本、スー族の文明があった土地はこんな感じ。都市のアイコンの隣に書かれている数字は人口を示し、このあたりには小さな都市しかないことがわかります。その都市の間に広がるのは汚染された土地や沼、そして舗装されていない古い道。不自然に空いている土地は、破壊された都市の跡のようです。



ムーア氏が示した最前線の国境線。左側がケルト、右上がヴァイキング、右下がアメリカ。飛び地のような都市もいくつかあります。



上記画像で示されているのは世界全体のわずか一部。ワールドマップ上の白い点は都市を示しています。



ずっとこのゲームを続けていたわけではなく、他のゲームをプレイしつつ合間合間にプレイしていたムーア氏ですが、さすがに膠着状態が続きすぎたため、redditに助けを求めることにした……というのが前述の投稿でした。

当時、ムーア氏はredditの「gaming」というカテゴリーに投稿を行いましたが、反響が大きく、すぐに「The Eternal War」というサブカテゴリーが作られました。ムーア氏はすぐにセーブデータを公開し、誰でもこの「終わりなき戦争」に挑めるようにしました。

そして戦争を終わらせた、つまりゲームをクリアしたのはムーア氏ではなく「stumpster」というユーザーでした。

Took 58 years in-game, but I pulled it off. : theeternalwar

https://www.reddit.com/r/theeternalwar/comments/uzm4w/took_58_years_ingame_but_i_pulled_it_off/

stumpster氏は、ムーア氏が投稿を行った翌日に「Some quick tips...」という件名で、勝利に役立つであろういくつかのヒントを投稿。セーブデータ公開後、stumpster氏は海を利用した侵攻作戦を企図。二方面作戦は不利であることから、まずはヴァイキングに狙いをつけて「仁川上陸作戦」を敢行。都市攻略で主力となったのは曲射砲でした。

ヴァイキングを滅ぼすと最後に残ったのがアメリカ。stumpster氏は「曲射砲部隊」を引き連れて機先を制し、アメリカ軍のユニットを初動で430から250まで減らすことに成功。空軍力はかなりの脅威だったものの、陸軍はそれほどではなく、海軍に関しては「まだヴァイキングの方が怖い」というレベルだったため、あとは鉄道を整備して部隊を送り込み、勝利を収めたとのこと。



なお、sutmpster氏の「攻略」はゲーム内時間で58年がかりで、ムーア氏の投稿からはわずか1日後のことでした。

この報を知ったムーア氏は、まるで波を押し返そうとしているかのようにひたすら地形改善を行っていた自分のプレイを「時間の浪費だったのかもしれない」と振り返り、stumpster氏が主力として取り上げた曲射砲については「思いもつかなかった」とコメント。最後に「同志stumpsterの58カ年計画に栄光あれ!」と締めくくっていますが、これは1700年戦争を戦うにあたり、ケルトの政体が民主主義だと議会によって戦争に反対されて足を引っ張られた結果、共産主義への移行を決めたムーア氏らしいコメントといえます。