かつて第2次ブルガリア帝国の首都として栄えたブルガリアの古都、ヴェリコ・タルノヴォ。

大きく蛇行するヤントラ川沿いの崖にへばりつくように古い民家が連なる風景は、ブルガリアでも、いえ東ヨーロッパでも類を見ない独特の美しさを誇っています。

日本では角界のベッカムと呼ばれていた琴欧州の故郷としてヴェリコ・タルノヴォをご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

自然と中世の街並みが見事に融合した、ヴェリコ・タルノヴォの象徴的な景観が見られるとっておきの場所が、アッセン王のモニュメント周辺。

ヤントラ川に挟まれた中州のような場所にあるモニュメントへは、ブルガリアの母広場の近くから観光案内所の前を通って「Alexander Stamboliyski」通りを東に進み、ヤントラ側に架かる橋を渡ります。

この橋を渡る以外の方法はありません。アッセン王のモニュメントは、ヴェリコ・タルノヴォきっての素晴らしい景色が楽しめる場所でありながら、行き方は意外にわかりにくく、人通りも少なく、まさに穴場的スポットといえるでしょう。

ヤントラ川に架かる橋の上からは、ヴェリコ・タルノヴォの旧市街が一望できます。

森と川に抱かれ、丘の上に身を寄せ合うようにして家々が建つ街並みはどこか幻想的で、その独特の風景に思わず見入ってしまいます。

橋を渡りきって階段をのぼると、アッセン王のモニュメントの足元まで行くことができます。間近で見るモニュメントは迫力満点。

このモニュメントは、ヴィエリコ・タルノヴォを都とした第2次ブルガリア帝国の建国や発展に貢献した4人の王を記念して1985年に建設されたもの。空を貫くかのような剣の周囲には、イヴァン・アッセン1世、ペタル、カロヤン、イヴァン・アッセン2世の騎馬像が並んでいます。

とりわけ、イヴァン・アッセン2世の時代に第2次ブルガリア帝国は最盛期を迎えます。当時の第2次ブルガリア帝国は、バルカン半島随一の大国にまで成長し、ビザンツ帝国をも圧倒するほどの勢力を有していました。

かつてここが大帝国の首都であったことは、今もヴェリコ・タルノヴォの人々の誇りなのですね。

アッセン王のモニュメント周辺は展望台となっていて、ここからの風景は壮観。

崖の上に古い民家が連なる不思議な光景を、正面から見ることができます。

その古さから歪んでいる建物も。はしごのように連なる家々を見ていると、異次元の世界に迷い込んだかのような奇妙な感覚にとらわれます。

モニュメントの向かいにある教会風の建物は、ヴェリコ・タルノヴォ美術館。19〜20世紀の現代画家の作品を中心に展示していて、東欧ならではのイコンなども見ることができます。

カフェ・バーも併設されているので、開放的なロケーションでくつろぎのひとときを過ごすのもいいでしょう。

ヴェリコ・タルノヴォの穴場的絶景スポット、アッセン王のモニュメント。ここからの風景を見ずして、ヴェリコ・タルノヴォは語れないといっても過言ではないかもしれません。

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