あなたの遊び方、間違っていないだろうか?

大人になり、ある程度の経済力を手にすると、遊び方の流儀が問われるようになる。

酸いも甘いも経験し、東京で遊び尽くした港区民たちの、次なる遊び方。

彼らの最新事情を、飲食店経営者であり港区おじさんジュニアと呼ばれる剛(32歳)が探っていく。

これまでは週末の新たな過ごし方やInstagramアカウントの2つ使いを知った剛。さて、今回は?




-剛、来週の水曜日、家でみんなで飲まないか?

先輩である浩二さんから誘われ、僕は手土産として持参するワインの銘柄を悩み始めた。

浩二さんは、42歳。結婚して、田園調布に家を構えて早10年。可愛い奥さんとお子さんがいる。

この歳になっても、人の家に行くのは緊張するものだ。

それが先輩の家となればなおさらだ。

普段の浩二さんの派手な遊びを奥様に悟られぬよう、平然とした顔で後輩らしく振舞うのも礼儀のうち。

「浩二さんの家にお邪魔するの、緊張しますね。」

浩二さんの家へ行く前日、飲み仲間と話していると、皆に鼻で笑われてしまった。

「剛、まさか浩二さんの“本宅”に行くと思ってた?違うよ、お邪魔するのは“パーティールーム”の方だよ。いわゆる別宅。」

-別宅?パーティールーム...?

鎌倉や茅ヶ崎の方に家を構えている人が、遅くなった際に泊まれるよう、都内に事務所を兼ねてワンルームを借りている話はよく聞く。

しかし、浩二さんの家は田園調布にあり、港区からタクシーで約30分の距離だ。

「剛があの部屋へ行ったら、ハマるだろうな。」

別宅のパーティールーム...怪しい響きしかないその部屋に、僕は一歩足を踏み入れることになった。


パーティールームで見たのは意外な男気。一歩先行く人の遊び方とは


大人のためのプレイルーム。それは決して、私欲のためではない


浩二さんの家、正確に言うとセカンドハウスは、外苑前にあった。

本当の家は別にあると言うのに、自分の住んでいる家と変わらない(いや、もっと良いかもしれない)マンションの門構えに、一瞬たじろぐ。

- 俺は一体、いつになったらここまで上り詰めることができるのだろうか。

部屋に入る前から、少し落ち込んだ。しかしここで落ち込んでいる暇はない。港区は、本能寺の変が起こりうる。

謀反の罪には問われたくないが、ある日突然、天下が変わることも十分あり得る。

そんなことを一人で悶々と考えながら扉を開けると、眩いばかりの綺麗な女性陣と、勢いのある男性陣が楽しそうに談笑している姿が目に飛び込んできた。

眩しい。港区の集いは、時として眩しすぎる時がある。

「あれ〜つよぽんも来たんだぁ♡」

部屋に入ると、見慣れた港区女子が数人おり、声をかけられる(勝手にあだ名をつけられているのは愛されている証拠だと聞いて以来、このあだ名は気に入っている)。

各々好きにシャンパンやワインを飲む中、肝心の浩二さんは、キッチンで何やらゴソゴソと料理をしていた。

「浩二さん、座って一緒に飲まないんですか?」

「俺は料理が終わってから行くよ。ここは、俺の趣味の部屋でもあるからね。」




「趣味の部屋、ですか。」

一瞬、少し卑猥な部屋を想像していた自分を恥じる。ここは、奥さんに隠れてこっそり遊ぶ部屋ではなく、自分の世界に没頭するための部屋だという。

そう話す浩二さんの部屋は、完全に“遊び場”と化しており、奥にはなんと掘りごたつがある。

そして掘りごたつの周囲は、壁一面に敷き詰められた本...かと思いきや、中には漫画も並んでいる。そしてテラスには卓球台ときた。

「ここは、何なんですか...」

「気兼ねなくパーティーできる場所が、必要だろう?」

慣れた手つきでニンジンを切る浩二さんを、ただ羨望の眼差しで見つめることしかできない。

キッチンカウンターはバーカウンターとなっており、ウォッカにウィスキーなどが並んでいる。

いそいそと料理をしている浩二さんは、普段外では見せないような、イキイキとした、楽しそうな顔をして鍋を見つめていた。

「みんなが集える部屋を作りたかったんだよ。」

人はある一定以上の階層に行くと、仏の域に達するのだろうか。自分のためかと思いきや、浩二さんのパーティールームは、遊びに来る人のことを考えて設計されていた。

「ちなみに、無駄に女性陣に接近しすぎたら退場になるから気をつけろよ。」

自分の心を読まれた気がして、“もちろんです”と慌てて首を縦に振った。


こんな場所に集えるのは、一握りのみ。そのアクセス権の取得方法は?


SNSは禁止。港区初心者がやりがちな凡ミスとは?


浩二さんの手料理が続々とダイニングテーブルに運ばれる。その度に、女性陣から黄色い歓声が上がり、“浩二さんすご〜い♡”なんて言いながら携帯のカメラを片手を構える。

その時、どこからともなく男性陣から声が上がった。

「ここ、SNS禁止だからね。投稿した人は、次から呼ばれないから気をつけて。」

「そうなんですかぁ?残念、こんなに素敵なのにー。」

きっと、彼女は港区初心者なのだろう。

港区での歴史が古い人は、基本的に港区の深層部はSNS禁止だということを肌で感じて知っている。

特にこのように招待制で、かつ一握りの人しか入れない場所をオープンに公開するなんてもってのほか。

決して港区条例に書かれている訳ではないが、パーティールームを無断で掲載した人は“ルール違反”として呼ばれなくなる可能性が高い。

だから、一般の人たちは知らない。
このような部屋が、港区内にはたくさんあることを。




真夜中のトランプ大会に感じる、大人の遊びの意義


浩二さんが作った料理はどれも美味しくて、あっという間に完食してしまった。女性陣も片付けを手伝う人と飲み続ける人に綺麗に二手に分かれ、各々好きに過ごし始めた。

23時も過ぎるとちらほら帰る人も目立ち始め、最初は12人いたメンバーも、気がつけば半数になっている。

「じゃあ、トランプでもしようか」

ここに来て、まさかのトランプときた。

ーおいおい、まさかの今からトランプかよ?!

そんなツッコミをよそに、皆、配られるカードに目を輝かせている。

「意外に面白いから。剛、お前はトランプの楽しさを知らないのか?」

浩二さんから諭され、トランプ大会、言うならば大富豪大会に参加する。

しかし24時からの大富豪は、想像以上に楽しかった。大人になり、真剣にトランプをするなんていつぶりだろうか。

原点回帰、という言葉が頭をよぎる。

大人になり、金を稼いで酒を飲めるようになり、支払いさえできればどんな良い店にも行けるようになった。

しかし、結局人が“楽しい”と感じることは、少年の時から何も変わっていないのかもしれない。

「革命」の一言に、いい大人達が真剣に騒いでいる。

「これで剛も、この家のアクセス権を手に入れたな。」

大富豪の座を奪い取った時、浩二さんが冗談めいて笑っていた。

そうして更けていった夜。

「また、遊びに来てもいいですか?」

帰り際、思わず浩二さんにそう言わずにいられない自分がいた。

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