<前編>TOTO株式会社

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WOMAN'S CAREER

<前編>TOTO株式会社

今回の取材先 TOTO株式会社
トイレ、バス、キッチンなど水回りを中心に、豊かで快適な生活文化を創造してきたTOTO。温水洗浄便座「ウォシュレット®」の開発など、さまざまなイノベーションを起こしてきたものづくり企業。
さくらい・まり●特販本部 特販第二部 特販第三課。愛知県出身。30歳。日本女子大学人間社会学部心理学科卒業。2009年入社。現在、夫と2歳の娘と3人暮らし。写真は、社内の打ち合わせスペースで、商品について販売代理店の担当者と話している様子。

大手設備業者(サブコントラクター。以下、サブコン)を担当し、オフィスや病院、マンションなどへトイレを中心としたTOTOの水回り器具を提案している櫻井さん。建物のオーナーから設計事務所、ゼネコン、サブコンと関係者が多い建設現場で、入社以降どのように営業活動を行ってきたのか、話をうかがいました。

■ 「文化をつくっている会社」との言葉にひかれ、入社を決意

−就職活動時、大切にしていた企業選びの軸はありましたか?

「離職率が低く、福利厚生がしっかりしている会社」「生活する上でなくてはならない企業」という軸で動きました。女子大に進学し、何をするにも男性任せにすることができない環境だったこともあり、自主性やリーダーシップが身についていたんです。そして「性別に関係なく活躍できる」「女性でも長く働ける」そんな会社に入りたいと思うようになりました。就活当初はいわゆる「インフラ系」を中心に見ていたのですが、合同説明会でたまたまTOTOのブースに立ち寄った時、「TOTOはモノを創っているのではなく文化をつくっている」という先輩社員の話にひかれ、興味を抱きました。

 

−その上で、入社を決めたきっかけを教えてください。

選考では1対1の面接が3回あり、学生一人ひとりの話を長い時間じっくり聞いてくれる会社だなと感じました。会社として人を大切にする文化もあるのだなと思ったのが、入社の決め手になりましたね。

 

■ 担当した顧客からの叱咤(しった)に育てられた

−入社1年目で担当した仕事内容を教えてください。

入社後に配属されたのは、サブコンさまの営業窓口です。オフィスや病院、学校などのパブリック案件や、商業施設やマンションなどに、トイレを中心とした水回り器具を提案する仕事でした。
サブコンとは、ゼネコン(ゼネラルコントラクターの略。工事全体のとりまとめを行う建設業者)から主に設備工事を請け負う業者のことです。例えば、大きな商業施設が建つときには、建物のオーナー(施主)、設計事務所、ゼネコンと関連する業者が就き、サブコンは主に電気・衛生・空調などの設備工事を請けます。当社内では、施主、設計事務所、ゼネコン、サブコンとそれぞれ営業担当が分かれていますが、私は販売代理店さまを通じて、サブコンさまに対し、新しい物件で当社の商品を取り入れてもらえるように営業活動を行っています。
業界内の専門用語や商品知識の理解がとても大切な仕事で、長く担当すればするほどお客さまとの関係構築もスムーズにいくことから、現在もずっと同じ仕事内容を担当しています。

 

−入社後にぶつかった壁はありましたか?

私がサブコンさまを担当する初めての女性営業だったこともあり、お客さまはもちろん、上司や先輩も、私のことをすごく慎重に扱っていました。1年目は10月から自分の担当顧客を持つのですが、「女性一人で工事現場に行かせられない」と言われたことも。優しさからくる配慮だったのですが、最初はそれが悔しくて、「早く認められる存在になりたい」と思ったのを覚えています。
担当を持ってからも、業界知識や商品知識の乏しさから、対応が後手に回ってばかり。当時のお客さまには「レスポンスが遅い」「納期をきっちり守ってほしい」などたくさんお叱りの言葉を頂きました。当時は落ち込んでばかりいましたが、直接苦言を呈してくれたということは、「櫻井さんになら、言っても大丈夫」「これをバネに成長してくれる」と期待していただいた証し。今振り返ると、愛情深いお客さまに恵まれていたと思いますね。

 

■ 大型病院の新設案件に携わり、社内外多くの関係者と連携する面白さを実感

−自分なりの営業スタイルができた、と感じられたのはいつごろからですか?

初めて一人で受注できた1年目の終わりですね。営業の動き方が少しわかったという実感がありました。
衛生を担うサブコンさまは、トイレやバス器具などの器具の取り付けや配管設置工事により利益を得ています。取り付ける商品の仕入れに関しては、当社と連携している販売代理店さまと価格交渉を実施します。営業の私は、販売代理店さまと連携して採用されるための販売戦略を練ります。交渉の中で「お施主さまや設計事務所さまがそう考えるのなら」と前向きに検討していただけるように話をしていきます。入社し1年たってようやく、“さまざまな情報をキャッチして早く動く”営業の面白さに気づけたかなと思います。

 

−営業として、ターニングポイントとなった仕事はありましたか?

入社3年目で携わった大型病院で、当社の器具が採用された案件です。担当したのは病床数が約780床の総合病院でした。「新しく病院を新設する」という情報が社内に入ってくるとすぐに、担当営業の私を含め関係者が一気に動き始めました。病院にとって、院内感染への対策をどう取るかが非常に重要で、衛生管理に当社の製品がいかに貢献できるかが採用のキーポイントでした。病院側から、看護師さんなどスタッフ用に「水の飛び散りを防止して感染を防ぐ、深めの手洗いシンクが欲しい」といったニーズを頂き、実際の開発まで進めたことも。大規模案件だけにかかわる関係者が多く、他部署との連携の大切さを実感しました。

 

■ 櫻井さんの入社後のキャリアグラフ

これまでご紹介した櫻井さんの社会人1年目からのキャリア、現在に至るまでのプライベートにおける「心の充実度」の変化を、ご自身にグラフにしていただきました。

社会人4年目には、成長のきっかけになる失敗も。トイレの陶器の色が1つ廃番になったことを業者さまへ伝えられておらず、「陶器の色に合わせて内装をデザインしていたのに」と設計事務所さまからお叱りを受けた。「正直、廃番になった色の代わりに既存の色を使っても、ほとんど変わらないから問題ないだろう、と思ってしまっていました。微妙な色みの違いでデザインを設計しているプロの業者さまたちのお叱りに、私の気の緩みがあったとはっとしました」。

 

入社5年目に結婚、6年目に出産を経て、時短勤務で復帰した櫻井さん。後編では、仕事観にどんな変化があったのかを話していただきます。

→次回へ続く

(後編 8月18日更新予定)

 

取材・文/田中瑠子 撮影/鈴木慶子