日頃アートに触れる機会がありますか? アートと一口に言っても、写真やペイント、彫刻など、実に様々なアートの形があり、古典派やコンテンポラリなど、その作風も数え切れないほど存在しています。日々世界中のアーティストによって斬新なアートが生まれては、私たちを驚かせてくれていますが、今回ご紹介するのは、なんと食べ物を使ったアート。世界的に活躍していた女性モデルが手がけるアート作品、一体どんな世界が展開されているのでしょうか。著名なイタリア人画家のアルチンボルドを模倣したアートで話題を呼んでいます。

ポーランド出身の女性アーティストが生み出す「フードアート」

世界的に有名なファッション雑誌Vogueをはじめ、ディオールやヴェルサーチ、ヴァレンティノといった数多くのブランドでモデルとして活躍したのが、今回紹介する「フードアート」を生み出したアンナ(Anna Tokarska)さん。

image by: 公式サイト

ポーランド出身の彼女は、10年以上にも及ぶモデル業を経てアーティストへ転身したという異色の経歴の持ち主。

約1ヶ月の期間をかけて作られたという全8枚の本作は、16世紀に活躍し、「シュールレアリズム(超現実主義)の先駆者」と称されたイタリアの画家、アルチンボルド(Giuseppe Arcimboldo)の作品からインスピレーションを得たものだそう。

多様な野菜やフルーツを使って作られたこれらの作品は、構成段階から撮影に至るまで、約250時間の製作期間を要したそうです。

サイズは約50-80cmで、接着剤を使わずに台紙に取り付けられ、それを撮影したものは、ハーネミューレフォトペーパーラグと呼ばれる特殊なペーパーに映し出されます。

なにせいろんな形をした野菜や果物がアンバランスに組み合わせられているわけですから、実にデリケートな作業であることが想像できますね。

敬愛するアルチンボルドのアートを模倣

アンナさんはモデルとして活躍していた間、ニューヨークやパリ、ロンドンやミラノなど、世界中の都市での海外生活を経験しました。そしてある時、家族の住むポーランドへ帰国し、もう一つの自身の夢である、写真とアートを極めるために美術の学校へ進学を決意します。

 

そんな彼女が大学在学中に完成したのが、“Arcimboldiana”と題された今回の作品。

アルチンボルド氏の作品をモチーフに、8枚の写真で構成されている本作を作った理由は、“パスティーシュ”と呼ばれる、既存のアート作品を故意に模倣して生まれる新たなアートへの関心を、敬愛するアルチンボルド氏の作品をアレンジすることで、形にしたかったからなのだそう。

確かに、1から何かを生み出すアートではない中にオリジナリティを見出すことも、一つの芸術として実に奥深いですよね。

彼女のその野心は、モデル時代によく一緒に仕事をしたという世界的デザイナーValentino氏の、“I love beauty, it’s not my fault (私は美しいものが好きだ。それは自分にはどうすることもできない)”という言葉にとても共感できるものであり、彼女自身、才能あるアーティストに囲まれている環境で、彼らからの刺激を受けないことは不可能だと語ります。

 



ちなみにこちらがモデル時代のTokarskaさん。さすがの美しさ!

また、今作とは全く別のコンセプトで作られたのが、“Time Capsules”という名の、氷を作ったアート。氷の中には実に様々なものが詰め込まれています。

 

今回、アンナさんにお話を聞いたところ、今後の展望は、かつてモデルとして活躍したニューヨークで、自身の個展を開くことだそう。

「夢は追いかけるものであり、それを信じ続けて必死に取り組めば、すべては可能なこと」とアンナさんは語ります。

 

転職こそ今では日本でも一般的であるものの、全くの異業種に挑戦するのはとても勇気が必要ですよね。ましてや彼女のように晴れやかな世界で活躍した人物が、努力が実る保証のないアートの世界に飛び込んだのは、きっと一大決心だったはずですし、それだけでも十分な称賛に値するでしょう。

好きなことを仕事にする、そして成功する。誰もが憧れることですが、実際にそれを実現する勇気こそが観る人を魅了するのかもしれませんね。

 

Annna Tokarska StudioFacebook 

 

画像提供:Anna Tokarska Photography

取材・文/貞賀 三奈美

 

出典元:まぐまぐニュース!