Doctors Me(ドクターズミー)- 呼吸の異常を見逃さない“死戦期呼吸”の見分け方【医師解説】

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2017年8月5日、新潟県の高校の女子マネジャーが低酸素脳症で亡くなりましたが、倒れた際、心室細動を起こしたにも関わらず、AEDが使用されないまま搬送されていたことが分かりました。(参考)

  

呼吸は「死戦期呼吸」の可能性が高かったことが示唆されましたが、世間での認知度は低く、一般の方が死戦期呼吸と通常の呼吸の違いを判断するのは難しいと言われております。

そこで今回は、死戦期呼吸の見分け方、心臓マッサージの重要性などを医師に解説していただきました。

死戦期呼吸とは 



心臓が停止した状態の人間で見られる呼吸に似た動きで、あごや鼻が息をしているかのように動きますが、実際には肺まで空気が届いておらず、必要な酸素が取り込めていない状態です。

  

死戦期呼吸の特徴

 

下あごをしゃくりあげるように動かしたり、小鼻がふくらんだり閉じたりします。

その様子は「釣り上げられた魚がぱくぱくと口を動かしてあえいでいるようだ」などと言われます。

死戦期呼吸と通常の呼吸の見分け方 



実際の心肺蘇生の場面では、救助者は倒れている人の横に膝をつき、口・鼻の上に救助者の耳を近づけて呼吸を感じ、視線は胸を見て呼吸に合わせて胸が上下するかを観察します。

同時に指先を首や手首に当て、脈を感じます。こうして救助者が五感を活用し、「見て・聞いて・感じて」呼吸と心臓の状態を判断することから蘇生が始まります。

死戦期呼吸は実際に吸ったり吐いたりしている空気の量はわずかなので、以下に注意して通常の呼吸と見分けましょう。

胸の上下運動



死戦期呼吸は、口・鼻からの空気の出入りはわずかなため、胸が上下する運動をしません。

鼻や口の呼吸



 鼻や口の前にティッシュをかざすと、通常の呼吸ではティッシュが吹き上がりますが、死戦期呼吸では動きません。

心臓マッサージ(胸骨圧迫)の重要性



原因が何にせよ、呼吸が十分できておらず、心臓が止まって血液を全身に送り届けられなくなると、その瞬間から脳細胞が死んでいき、数分で社会復帰が難しいレベルにまで脳機能が破壊されてしまいます。

そのため一秒でも早く、全身への血液循環を回復させなければなりません。

動かなくなった心臓の代わりに、胸の上から心臓を押すことで、血液を送り出そうとするのが心臓マッサージ(胸骨圧迫)です。

心臓マッサージ(胸骨圧迫)の方法



1分間に100〜120回のリズムで、左右の乳首をつないだ線の真ん中あたりを5〜6冂世爐阿蕕い鵬,靴泙后

押した後は胸が元の位置に戻るまで手を放すのが重要です。

呼吸や心拍がある状態であれば、心臓マッサージ(胸骨圧迫)に対して何らかの反応を示すはずなので、そこで中止すれば良いです。 

人工呼吸よりも心臓マッサージが優先される場合



心臓マッサージに合わせて人工呼吸を行うこともあります。

しかし、人工呼吸を行うことで心臓マッサージ(胸骨圧迫)がいったん中断してしまうよりは、心臓マッサージ(胸骨圧迫)だけを続けた方が良いとされています。

胸も動き、強制的に肺への空気の出し入れも行われるため、特に救助者が1人しかいない場合は、心臓マッサージに専念しましょう。

見知らぬ人が倒れている場合、口と口をつけて人工呼吸をするのはかなり抵抗がありますし、嘔吐物や出血があれば人工呼吸を行うことはためらわれることもあります。

AEDの使用も状況に合わせて判断する





AED(自動体外式除細動器)は、心臓がうまく血液を送り出せなくなるような不整脈が起こっている場合、電気ショックをかけて不整脈を元に戻そうとする機械です。

したがって不整脈以外の原因で心臓が止まっている場合は無意味ですが、電気ショックをかけるべき状態かどうかはAEDが自動判定しますので、AEDが手に入るならとりあえず装着してみるという姿勢が重要です。

しかし、AEDを探し回って時間を浪費したり、服を脱がせるのに手間取ったりするぐらいなら、救急車が到着するまで心臓マッサージ(胸骨圧迫)を続けるほうが有効です。

死戦期呼吸が見られる状況



死戦期呼吸は心臓が停止したら必ず見られるという訳ではありませんが、病気やけがなど様々な原因で病気で死に向かう患者さんの最後の行動としても見られます。

心電図が平坦になったり、脈が非常に遅くなってから、死戦期呼吸が見られると、息を吹き返したように見えることもありますが、最後の時が近いサインだということをご理解いただく必要があります。

最後に医師から一言



目の前で人が倒れたときにどうすべきかというシミュレーションを頭の中で繰り返していないと、とっさに行動するのは難しいものです。

死戦期呼吸かどうか、本当に脈が止まっているかを見分けようと考えて時間を浪費するよりは、とにかく目の前で人が倒れて意識がないようなら心臓マッサージ(胸骨圧迫)を始めながら助けを呼び、救急車を呼んでもらいましょう。

(監修:Doctors Me 医師)