最近の「マインドフルネス」ブームでは、マインドフルネスという心構えがもたらす、実にさまざまなメリットがうたわれています。よく眠れるようになった、生産性が上がった、無駄な間食を我慢できるようになった、といった話はよく耳にしますが、さらに、もう1つ利点を加えられるかもしれません。

カリフォルニア大学バークレー校およびデービス校、スタンフォード大学所属のメンバーからなる研究チームが、マインドフルネスを習慣づけると、他人への共感力も向上する可能性があるという研究結果を発表しました。さらに研究チームによると、共感力が高まれば、毎日の生活でイヤでも遭遇する、イライラさせられる人や付き合いにくい人への対処にも役立つ可能性があるそうです。

この研究は、学術誌『Mindfulness』に掲載され、7月にSpringerでも公開されました。この中で研究チームは、スタンフォード大学が提唱する9週間の「Compassion Cultivation Training(CCT:共感力養成トレーニング)」に参加した大人の被験者51人について、トレーニングの進展状況を毎日調査し、分析したとのこと。

CCTを開発したのは、臨床心理学者と瞑想研究の専門家からなるチームで、その中には、ダライ・ラマ14世の言葉を主任翻訳者として英語で伝えるトゥプテン・ジンパ氏なども名を連ねています。CCTは受講者に対し、より他人の心を慮る考え方と行動を促し、良好な人間関係を築くためのスキルを教えることが目的です。

このトレーニングを受けている間、被験者たちはアプリを使い、自身の精神状態を示す4つの要素、「不安」「落ち着き」「疲労」「気持ちの冴え」を評価し、1日に2度記録しました。また、自分の気持ちをコントロールする能力や気力についても記述。さらに被験者は、自身が用いた方法(状況に対する自身の反応を改める、あるいは単に状況を受け入れるといったテクニックなど)についてのフィードバックも1週間単位で返しています。

ここで言う「共感力」とは、他人の苦しみを認識し、その苦しみを緩和するよう働きかける能力のことです。今回の研究から、9週間にわたって能動的にこの能力を訓練した被験者は、不安の度合いが下がると同時に、落ち着きが増していることがわかりました。重要なのは、人に共感力を高めることは教えられると、実験によって確かめられた点でしょう。

この研究成果を知り、CCTのコンセプトを応用して、家でもできる脳トレを試したい!と思った方は、The Wall Street Journalが紹介している以下のポイントを試してみてください。

自分の気持ちに気づき、注意を払う:ある状況に陥った時、自分がどう感じていて、体がどんな反応をしているか、まずはきちんと把握しましょう。その上で、状況に応じて自分が何を必要としているのかを割り出すのです。たとえば、頭に血が上り、手に汗をかいているなら、何度か深呼吸すると気持ちが落ち着くかもしれません。

相手の立場になって考える:少し間をおいて、相手の視点から物事を見てみましょう。あなたと同じように、相手にも家族や友人がいて、人生の目標や夢、そして問題を抱えているはずだ、と考えてみるのです。

やりすごす:特定の人や状況が気になってしょうがないとしたら、まずはその気持ちを認めたうえで、嵐のような感情が過ぎ去るのに任せましょう。強いストレスを受けた時、脳には「戦うか逃げるか」という両極端の反応が起きがちですが、ストレスに支配されるのではなく、気持ちを緩めることを心がけましょう(特に、日々の瞑想は、脳にやり過ごすことを教え込むのに効果的とされています)。

実践が一番:最初はとっつきやすいところから始めるのが良いでしょう。自分自身や愛する人たちに対する共感力を身につけるのです。そこから、より難易度の高い人間関係に範囲を広げていきましょう。

さらにもう一歩踏み込みたければ、今回で8年目に入ったスタンフォード大学のCCTプログラムを実際に受講してみてはいかがでしょうか。

講座は一般に公開されていますし、認定を受けた100名以上の講師が、米国内および国外10カ国で、1年を通じて講座を開いています。こうした講座では、瞑想とマインドフルネスの実践、講義、双方向のコミュニケーション実習(と宿題)を通じて、他人や自分の苦しみに直面した時に、へこたれない精神力や強さ、勇気を身につける方法が学べます。

Use These Mental Tricks to Prepare for Dealing with Unpleasant People | Lifehacker US

Image: sematadesign/Shutterstock.com

Source: Springer, The Wall Street Journal

Reference: Wikipedia, Global Directory of CCT Teachers