24時間の静かなる戦いに挑み、そして、それまでのアルファロメオが持っていた記録を見事に更新した、いすゞの名車、アスカ・ディーゼル・ターボ。【後編】では、そのメカニズムと記録をチェックしてみましょう。

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これがアスカDTのスペシャルメカだ!

外観上、オリジナル・アスカと異なるのは、フロントに張りだした大きなエアダムくらいで、全体イメージはさほど大幅なモディファイを受けていない感じだ。

だが、やはり空力特性をよくするためにボディ全体をフラッシュ・サーフェイス化している。窓のサッシュはボディ面と面一になり、ボディサイドはわずかに左右に膨らんでおり、車両の下面をフラットにして車高を75mm下げている。これらの空力的処理は風洞を使って行われ、Cd値は0.27と生産車ベースとしては良好な値となっている。

リヤスポイラーはむしろ抵抗となるので装着せず、トランクリッドを20〜30mm持ち上げてあるだけだ。

ウインドウグラスはすべてアクリルにするなど軽量化も図っているが、全長が伸びているので、車重は生産モデルとさほど変わらず1010kg。

サスペンションは安定性重視のセッティングで、スプリングを10%固め、ショックアブソーバーを20%強化している。タイヤはBS製の195/60-14。レーシングタイヤではなく200km/h以上保障のVRタイプ。コンパウンドは変形に対して発熱量の少ない硬めで、転がり抵抗が少ないもの。エア圧は3.5kg/cm2の高圧。

注目のエンジンだが、主に吸排気系のチューニングを施している。すなわち、噴射ポンプの燃料流量の増大、ターボ過給圧を1気圧に高め、チャージクーラーの容量を大きくして、吸入エアの冷却能力を向上している。当然、ターボは高速にのみマッチングしている(IHIのターボ自体も若干、大きくなっている)。

また、カムシャフトを変えて、バルブのオーバーラップを大きくしている。これは濃い混合気による燃焼の冷却をも意図しているという。圧縮比は若干下げ(標準は21)、タイミング・リタードさせている。

あとは各部のバランス取り、フリクションの低減など、通常のファインチューニングレベルで磨き上げられている。

この結果、100マイル、1時間の短距離記録を狙う1号車で、128ps/4500rpmをしぼり出している。5000km、24時間を走る2号車は、120ps/4500rpmだ。このパワーの違いは、燃料の噴射量の多寡による。

こうした一連のチューニングアップでは、やはり熱負荷と機械的応力が厳しく、特に熱負荷に対処するために苦心したという。筒内圧は限界に近い120気圧だという。

【アスカ2000ディーゼルターボ改 主要諸元】

全長4600mm 全幅1670mm 全高1300mm

ホイールベース2580mm 車重1010kg

エンジン:水冷直列4気筒OHCディーゼル

IHIターボチャージャー付 排気量1995cc

タイヤ/ホイール:195/60VR14 16J-14アロイホイール

【ドライバー】津々見友彦/藤川元造/永田雅一/小東明寛

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OPT派のチューニング好きには、ちょっと縁遠いいすゞ車ではありますが、この記録挑戦はまさに「ロマンに満ちた男のチャレンジ」だと思いませんか?

小ネタとして、私の記憶によるとこの後、いすゞ車に関する記事はFFジェミニが発売されたときの試乗記(確かコボちゃん)と、いすゞの乗用車販売からの撤退時にチューンド・いすゞ車を数台集めた記事が最後かと・・・。

もうひとつ小ネタ。第4ドライバーの小東明寛さんは、私・永光やすのが所有していた「ジェミニZZ/Rブラックヘッド仕様」を2Lにしたチューナーさんで、鈴鹿や中山のジェミニレースで常勝していた方です(笑)。

[OPTION 1984年1月号より]

(Play Back The OPTION by 永光やすの)

これが国際スピードトライアル新記録を出したアスカ・ディーゼル・ターボだ!【OPTION1984年1月号より・後編】(http://clicccar.com/2017/08/17/499224/)