町田戦は3−4で勝ち切ったが、見逃せない課題も垣間見えた。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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[J2リーグ28節]町田3-4名古屋/8月16日(水)/町田

 元J1王者の名古屋に挑んだ町田が選択した戦い方は、コンパクトな陣形を敷いて、ハイプレスを仕掛けること。立ち上がりは味方同士が近い距離感を保ちながらプレッシャーをかけてボールを奪う場面を作り出し、開始早々の5分に平戸太貴が右足のミドルシュートを決めて、早くも先手を奪った。
 
 しかし、時間の経過とともに、パスワークに優れた名古屋が、町田のプレッシングの網を掻い潜る場面が頻発していく。町田の相馬直樹監督は「名古屋さんが次第にウチのプレッシングに慣れてきた」と前半の劣勢の時間帯をそう振り返る。
 
 反撃の中心を担ったのが「名古屋のなかでもクオリティの高かったポジション」と町田の森村昂太が指摘するガブリエル・シャビエルと青木亮太を擁する右サイド。特にG・シャビエルは自慢の左足でシモビッチの同点弾をスルーパスで演出し、さらにFKから新井一耀と青木のゴールも導き出すなど、猛威を振るった。
 
 3点を奪われた時間帯の名古屋について、森村はこう振り返る。
 
「間を取る選手に付いていこうとしても、相手のクオリティが高く、相手を背負ってもパスをつなげる選手が多かった。そういうクオリティは今季対戦したチームの中で一番巧いと思いました。かなりアグレッシブにアプローチに行って上手くハマったなと思う場面でも、ひとつかいくぐられて、そこに付いていく選手も少しはがされる形になる。それが重なって全体的に後手に回ってしまったのかなと」
 
 序盤こそ町田のプレッシングに苦しんだ名古屋だったが、能動的にボールと人を動かしながら相手の綻びを見付けると、G・シャビエルや青木ら、個の力に優れた選手が徹底的に突いた。3点を奪った時間帯は、まさに名古屋の強みが凝縮されていたと言っていいだろう。
 
 しかし、後半は様相が一変。「もうやるしかないだろ!」とハーフタイムにハッパをかけられた町田がなりふり構わず前に圧力をかけたことで、後半の名古屋は「守ってばかりで攻めることができなかった」(楢粼正剛)。

 もともとはアタッカーである和泉竜司を3バックに配置するなど、“耐久力”で心もとない名古屋守備陣は、町田の圧力に屈する格好で2点を献上。一度タイスコアに持ち込まれたものの、土壇場の90+3分にG・シャビエルが直接FKを決めて、かろうじて粘る町田を振り切った。
 2点差からギリギリの勝負まで持ち込んだ町田にとっては、ハイプレスで名古屋を圧倒する時間帯を作り出し、敵陣に早くボールを運んで圧力をかけ続ける展開で一度は同点に持ち込むなど、「ポジティブな材料が多い」(井上裕大)試合となった。
 
 一方、ヒヤヒヤものの勝利を手にした名古屋は、3試合で9失点と失点数の多さが頭の痛い材料のひとつだろう。しかし、名古屋が意識を傾けるべき問題点は果たして、脆弱な守備なのだろうか。敵として対峙した森村がこんなことを言っていた。
 
「僕たちがボールを持つ時間が長くなってくると、相手がオフェンスの面で少しずつ味方をサポートする部分をサボり始めました。そのおかげでウチのプレッシャーがかかるようになって、相手の前に付けるパスのクオリティも下がり、CB陣もガッっと守備に行くことでこちらがルーズボールを拾える展開にもなったと思います。前半の序盤にできていたことができるようになりましたし、後半は相手の攻撃のクオリティが下がったと思います」
 
 試合後の風間八宏監督の言葉を借りれば、現在の名古屋は「相手より1点でも多く決めれば良いわけで、1-0も4-3も同じ」という志向を持つチームだ。「自分たちでやり方を変えて失点していることが問題」と風間監督が指摘しているように、対戦相手に攻撃のクオリティ低下を言及されていることにこそ、後半の名古屋の問題点が内包されているのではないか。
 
 最終的にG・シャビエルの大活躍の陰に隠れがちだが、4-3で勝利した乱戦は、名古屋の強みと危うさが同居する試合でもあった。

取材・文:郡司 聡(フリーライター)