結婚するつもりはなかった女性の心を変えた男性の言動とは

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 結婚を夢見ながらも、結婚に惑う女性たち。彼女たちは男性に何を求めているのか? せっせと婚活をしながらも、なぜ結婚ができないのか? 婚活女性たちの結婚の「分岐点」をレポートするシリーズ第5回。

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◆26歳美人秘書レイカはなぜ恋愛未経験だったのか

「26歳で彼と付き合い始めたとき、友人にはびっくりされました。相手が43歳でずいぶん年上、ということもあったし、何より、私にそれまで、恋愛経験がなかったから」

 大手メーカーで秘書として働くレイカさん、現在27歳。熊切あさ美似のスレンダーな美女だが、現在の夫・正樹さん(現在44歳)に出会うまで、誰とも付き合ったことがなかったというから驚きだ。

「男性に興味がなかったわけではないんです。むしろあったと思うし、告白されることがなかったわけでもないし、一度だけ、自分から告白したこともあります。でも、好きな人には好かれなかったり、いいなと思ってる人とは友人で終わってしまったり……。ストライクゾーンが狭かったんでしょうね。妥協したくない、という気持ちもありました」

 父親を早くに亡くし、都内の実家で母と娘、二人で寄り添って暮らしてきた。学校では自他ともに認める優等生で、女子高から有名女子大へと進学する。大学では、他大学の男子学生も多い音楽サークルに入ったが、「男性に対して身構えてしまうところがあった」と振り返る。友人以上、恋人未満の関係から、あと一歩、進まない。「プライドが高い、とも言われましたが、いつか理想の相手と巡り合えると信じていました」

 女子大の友人が恋愛を謳歌している中で、彼氏はいなくとも、生活は充実していたとレイカさんは言う。ヨガ、英語、音楽と趣味が広く、働きはじめてからも、休みがとれると、好きなアーティストを追って、海外のライブにも出かけた。一方で、母親に早く孫を見せてあげたい、という気持ちがいつも頭の片隅にあった。

「一人娘ですから。母は、孫の顔を見るのが楽しみと口癖のように言っていて、だから私も、20代のうちに結婚して、たくさん子供を産まなくちゃ、と思っていました。なのに、私がいっこうに誰とも付き合わないから、母はヤキモキしていたようでしたね」

 25歳になった頃、そろそろ彼氏がほしいと、焦りが出てくる。

「職場の友人に、付き合ったことがないというと引かれるようになってきて……。よほど理想が高いんだね、とか、どんな金持ちを狙ってるの? とか。少しずつ、傷つくようになってきました。私は一人で充実してる、と反論したくもなるのですが、母のことを考えると、振り切れない自分もいて。それに、彼氏と幸せそうにしている友人を見ると、自分自身が、男性と付き合ってみたいと思うようになったのです。私には、人生の大きな楽しみがひとつ、欠けているんじゃないかと」

 行動を起こさねば、と決意する。友人に誘ってもらって、合コンに出かけるようになった。

◆合コンでは主役、しかし、その後が続かない

 美人秘書のレイカさんは、いつも合コンで主役だった。多くの男性が隣にやってきて、連絡先を交換、その後、「また会いたい」というラインを幾通も受け取った。

 しかし、その後が続かなかった。

「とりあえず、返事はするんです。でも、一度会っただけだし、好きというわけではないから、丁寧だけど、当たり障りのない返事しかできなくて……。二人での食事に誘われても、どうしようかなあ、と考えているうちに、相手から連絡が来なくなりました。つまらない女、と思われたんでしょうね」

 あるいは、脈がないと思われたのだろう。自分になびかない美女よりも、脈のありそうな女の子を選ぶ男性だって少なくない。

 そんなレイカさんに、一人だけ、この人はいいかも、と気持ちが動いた男性がいた。25歳のときに出会った同い年のサラリーマン。広告代理店勤務で音楽の趣味が合い、オシャレで話しやすく、その後のラインもいい感じにやりとりが続いた。初デートでライブに行き、六本木のレストランで楽しく食事をした後、「ホテルに行こうよ」と誘われた。

「えっ! って。もちろん断りましたが、ショックでした。恋愛経験のない私には、男を見る目がないんだと、自己嫌悪に陥りもしました」

 その後、さらなるショックがレイカさんを襲う。その男性は一緒に合コンに参加したレイカさんの秘書仲間とも連絡を取り合っていて、二人はほどなく付き合い始めたというのだ。

「二人がラブラブだという話を聞いて、あの子はあんな男でいいんだ、と見下してしまう一方で、私は潔癖すぎて、この先、一生、誰とも付き合えないんじゃないか、と鬱々とするようにもなったのです」

◆クラブでの出会い、名刺の安心感

 元気のないレイカさんを連れ出してくれたのは、幼馴染の友人だった。

「レイカは自分の楽しみを追求すればいいんだ、って言ってくれる唯一の友人で。二人で盛り上がって、久しぶりに渋谷のクラブに出かけたんです。そこで出会ったのが夫でした。彼も友人と二人で来ていて、話しかけられて。第一印象は、音楽に詳しくて、落ち着いた感じの人、というだけでしたが」

 そのとき、レイカさんは正樹さんの年齢を知らなかったし、気にならなかった。「暗いところで出会ったのがよかったのかもしれません」と笑う。

 それほど盛り上がったわけではないが、悪い印象はなかった。ラインではなく、彼は自分の会社の名刺をレイカさんに渡した。

「職場が近かったんです。知らない会社だったけど、信頼できました。で、時間が合うとき、ご飯でも行こうよと誘われたんです。『オレは独身だから、外食が多いんだ、だから気が向いたときに付き合ってくれたら、嬉しい』と」

 一度の出会いでレイカさんは正樹さんの会社名、独身であること、音楽の趣味が合うことを知った。慎重なレイカさんとって、これらの情報は大きな安心材料になったはずだ。

「仕事がヒマな日に、メールをしました。そして食事に行ったのです。そのときに、彼が43歳であることを知りました。そんなに年上なんだ! と正直、驚きましたが、そのときは、付き合うことになるとは思ってなかったので、そのくらい年上の人のほうが話していてラクかも、と思ったんです」

 気がラクだったがゆえに、「レイカちゃんは美人だから凄くモテるでしょ」と聞く正樹さんに、自分は実は恋愛経験がないこと、それがコンプレックスであることを、素直に打ち明けることができた。男の人の前で自分をさらけ出していることが意外でもあり、嬉しくもあった。

 さらに意外だったのは、正樹さんがさして驚いた様子もなく、こう言ったことだった。「まだ20代だし、恋愛経験なくてもぜんぜんヘンじゃないと思うよ。43歳のオレから見ると、これからだもん。これから楽しいこと一杯あるよ」

 気づいたら、涙腺が緩んでいた。慌てる正樹さんに、そういってもらえて嬉しいと伝えられたかどうか、はっきりと覚えていない。

◆他の人と付き合ってみたいという気持ちも

 週末は共にクラブに通い、数か月がたった頃、告白された。「とりあえず、“お試し”でいいから、付き合ってみてよ!」と。

 恋に夢中になっている友人が話すようなドキドキやトキメキは、正樹さんに対して感じていないような気がする。けれど、安心感はあるし、何より自分には、付き合うという経験が必要だと思った。思い切って正樹さんの手を握ると、ふっと身体が軽くなるような不思議な感覚を味わった。

 正樹さんには30代の頃、長く付き合った彼女がいたのだという。同棲までしたが、キャリアウーマンでもあった彼女と結婚のタイミングがあわず、別れたということだった。「この歳だし、焦るのはみっともないけど、僕にも結婚願望があることは覚えておいてね」と、最初に言われた。

 正樹さんは、レイカさんを様々な場所に連れていってくれた。聞く音楽の幅も広がったし、正樹さんが好きだというアウトドアも二人で楽しむようになった。キャンプをし、釣りをし、外で食べる食事の美味しさを知った。正樹さんは独り暮らしが長いこともあり、料理をはじめとする家事全般が得意だった。

 とはいえ、“結婚”が頭をよぎることはなかったという。

「彼、聞いたらあまり貯金を持っていないようで、将来が不安かなあと。もう43だし、この先、何年も働けるわけじゃないから。あと、他の人とも付き合ってみたという気持ちがなかったといえば、嘘になります」

 しかし、出会って1年がたった頃、二人は結婚した。きっかけはレイカさんの母親の病気だった。

「母にガンが見つかったんです。幸い初期だったので手術すれば大丈夫、と医者には言われましたが、不安でいっぱいで……。入院から手術まで、車の運転ができない私に代わって、彼が病院まで送ってくれたりと、すごく助けてくれました。母とも仲良くなって、いつのまにか、3人家族のようになっていた気がします」

 母親の体調が回復した頃、二人は結婚式を挙げた。今は妊活に励む毎日だという。

「私はまだ若いけど、彼が歳なので(笑)、できるだけ早く、二人は欲しい。結婚したことで、家計を支えるためにも、仕事を頑張らなくちゃという気持ちも強くなりました。26歳まで待っていてよかったと、今は思っています」