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 7月24日からバルセロナ・エル・プラッツ空港のフライト搭乗客のセキュリティ・チェックの検査官は、昇給とスタッフの増員を要求して平常の勤務を装っていながら、乗客一人一人の検査をゆっくり行い、水面下でのストライキに突入していた。しかし、ついに8月14日から24時間の無期限ストに入った。

 スペイン政府は8月11日の段階で、この警備を請け負っている会社側と組合側が合意に至ることは難しいであろうと判断し、また14日からの24時間の無期限ストを懸念して、治安機動隊(GUARDIA CIVIL)にセキュリティ・チェックを担当するように指示していた。そのため、現段階では大きな混乱に至っていないという。

◆24時間デモに至った経緯

 治安機動隊はフランコ独裁時代に軍隊から派生した部隊で、国家の特に治安関係についての警備を主な業務としている。テロリズムに対して取り組むのは先ず治安機動隊である。そして、国家警察がどこの国でもあるような業務を担当している。

 もともと、15年前までは治安機動隊が空港の全ての警備を担当していた。しかし、その後政府は治安機動隊のスタッフが十分でないとして、空港のセキュリティ・チェックを民間の警備会社に委託したのである。バルセロナ空港の場合は最初はProsegurという会社が委託され、昨年から同社のライバル会社Eulenに代わっていた。

 バルセロナ空港のセキュリティ・チェックを搭乗客が通過するのは、正常な状態であれば20分程度しかかからない。しかし、24日から40分かかるようになり、3日後の7月27日からは検査官の業務の遂行が故意にスムースさが欠けるようになって、そこを通過するのに最低でも2時間を要するようになっていた。

 離陸するフライトは、仮に搭乗するお客の遅れが数人であれば、次の便に彼らを回すことも可能である。しかし、数十人の搭乗が遅れているとなると、離陸を遅らさねばならないという事態になっていた。

 14日の24時間ストに突入するまでにも、組合が任命したスト実行委員会と経営者側、それに空港運営事業団が加わり、カタルーニャ州政府が仲介役として交渉を進めていた。スト実行委員会は350ユーロ(45500円)の昇給と年間で15カ月分の支給を要求。そして、100人のスタッフの増員も要求していた。一方、経営者側は200ユーロ(26000円)の昇給と12カ月分の支給を提示していた。ちなみに、Eulenの空港勤務の検査官の給与は900-1100ユーロ(117000-143000円)だ。(参照:「La Vanguardia」)

 スト実行委員会は彼らの要求を有利なものにさせようとして、同委員長がストを行っている各担当の責任者に「長蛇の列がないと、我々の負けだ。長蛇の列があれば我々の勝ちだ」と伝え、更に「報道メディア、乗客、空港運営事業団にとって関心を呼ぶのは長蛇の列だ。空港のその光景が(会社側との)交渉の為のプレッシャーになる」と言っていたことがメディアで報じられた。(参照:「La Vanguardia」)

 しかし、この会話が報じられたことが、逆にスペイン政府の決断を早めた。そう、セキュリティ・チェックの前で長蛇の列が3週間続いている事態を重く見たスペイン政府は8月11日に空港運営事業団、カタルーニャ州政府、バルセロナ市政府、治安機動隊のそれぞれ代表との緊急会議を開き、政府の権限において治安機動隊を導入されることになったのだ。

 スト実行委員会は空港勤務の350人の検査官に組合が要求している案を今後も主張して行くのか、それとも経営者側の提示案を受け入れるか13日に再投票をした。既に一度、投票してその時は経営者側の提示案を却下していたが、今回も<187人が投票し、経営者側の提示案を却下するが150票、受理するが僅か36票>という結果になったという。結果、14日から24時間の全ストが敢行されるにいたったわけである。(参照:「La Vanguardia」)