中国では、モバイル決済技術が急速に普及しているのを背景に、ゲームセンターのわき役的存在だったUFOキャッチャーが現在では地位を上げて、映画館やレストラン、百貨店、さらにはオフィスビル付近などに登場している。

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中国では、モバイル決済技術が急速に普及しているのを背景に、ゲームセンターのわき役的存在だったUFOキャッチャーが現在では地位を上げて、映画館やレストラン、百貨店、さらにはオフィスビル付近などに登場している。少ない所で3〜5台、多いところなら10台以上UFOキャッチャーが並んでおり、多くの人が通る場所なら、どこででもその姿を目にするようになっている。UFOキャッチャーは現在、「自動販売機」市場の主力となっている。北京晩報が伝えた。

▽結果ではなくその過程を楽しむ

「周りに人がいるかなど気にせず、叫んだり、跳ねたり、ワクワクしたりと、気兼ねなく楽しめるという感じ」。多くの人と同じく、李洋さんは、初めてUFOキャッチャーで人形をゲットした時の気持ちをそう語った。彼女はスポーツをした後のように、人形をゲットした時の様子を興奮気味に語った。そんな彼女は、趣味が高じてUFOキャッチャーが並ぶ店を開いてしまったという。

李さんの10平方メートルほどの店はオフィスビル付近にあり、中にはUFOキャッチャー10台が並んでいる。多い時間帯になると、店内は客でいっぱいになり、1日に客がゲットしていく人形の数も数百個に上るという。李さんは、自販機から「ジャラジャラ」とコインが出てくる音を聞いたり、誰かが人形をゲットしたときに周りの人も一緒に喜ぶ姿を見たりすると、何とも言えない充実感を感じるという。

多くの人は、「ゲットできる確率はとても低いことは分かっている。でも、その過程を楽しんでいる」と話す。

UFOキャッチャーにはどれほどの魅力があるのだろう?李さんは自分の店があるにもかかわらず、週末になると店を閉めて、街に繰り出して、UFOキャッチャーをしに行く。「訪れた場所にある全てのUFOキャッチャーを制覇する!」と、冗談交じりに李さん。その理由について、「UFOキャッチャーで遊ぶときに感じられるハラハラドキドキ感が楽しい。人形はお金で買うものではなく、景品。その体験の過程にお金を払っている」と李さん。

李さんの「UFOキャッチャー友達」である娟さんの「目標」は、北京にある全てのUFOキャッチャーを制覇すること。ある会社の宣伝の仕事をしており、毎日忙しい生活を送る娟さんは、今年5月に初めてUFOキャッチャーを体験し、すっかりはまってしまったという。5月以降、1日も欠かさずにUFOキャッチャーをしており、2カ月ちょっとの間に1万元(約16万5000円)以上使い、人形300-400個ゲット。家は人形だらけになってしまった。

▽微信のグループで「収穫」をシェア

李さんは、微信(Wechat)に「UFOキャッチャー聯盟」という名前のグループを立ち上げており、娟さんもそのメンバー。同グループ内のメンバーを通してできた知り合いも二人にとっては「収穫」だ。

「UFOキャッチャー聯盟」のメンバーの年齢は平均30歳で、ほとんどが経済的にも、時間的にも自由な若者だ。メンバーは互いに「UFOキャッチャーのプロ」と呼び合う、UFOキャッチャーのベテランだ。普段は微信を通して、UFOキャッチャーの「成果」を語り合い、中には短時間でUFOキャッチャー1台の人形を全部取ったというメンバーもいる。また、UFOキャッチャーのある場所を教え合い、中には、画像を見ただけで北京のどこの店か分かってしまうメンバーもいる。

「1日で『プロ』になれるわけではない。プロと素人では、使っているコインの数が違う」と娟さん。「初めの頃、コイン300枚使っても1つも取れない時もあった。その後、あまりにたくさん取ったため、そこの店主に強制的にやめさせられたこともある。UFOキャッチャーには暗黙のルールがあり、店主はアームの強さを調整できる。でも、テクニックも大切」という。「プロ」たちにとって、ゲットできる確率は重要ではなく、人生の目標のように、喜び楽しみながら常にチャレンジを続けている。

▽専門家「ほどほどにしておくべき」

中国人民大学心理学部の張登浩准教授は、「経済が発達している都市では、仕事や生活などの面で、あまりうまくいかないという人がたくさんいる。ある日、自分にUFOキャッチャーで人形を取る面で能力があることを発見し、他の人に『プロ』と呼ばれるなど称賛されると、大きな充実感を得ることができる」と分析しながらも、「短期的に見れば、心理的健康に役に立つものの、長期的に見ると、心理的健康にとってよくない」と強調する。そして、「UFOキャッチャーを通して自尊心を向上させようとする人はその行為をほどほどにするよう心がけ、一時的に気持ちを改善するだけにしておいたほうがいい。そして、多くの精力を自分をもっと成長させることに費やし、自分の内面の価値によって自分の行動を評価しなければ、自尊心を改善、向上させることはできない」との見方を示す。 (提供/人民網日本語版・編集KN)