1998年から放映され、世界中の女性に今もなお愛され続ける海外ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ(SATC)』。NYを舞台にタイプ別のキャリー、シャーロット、サマンサ、ミランダの4人の女性たちが繰り広げる都会的な恋愛模様に夢中になった人も多いはず。

シリーズを何度見返しても新しい発見がある理由は、毎回登場する多種多様なタイプの男性との恋愛についつい共感ができてしまうからかもしれません。

そこで私たちにも共通しがちな4人の恋愛パターンを心理学的に紐解くべく、4回にわたってSATCの本場アメリカの恋愛心理学者が分析してくれました。

第1回目は、シーズン1から映画編に続き、くっついたり離れたりを繰り返してきた主人公キャリーとミスタービッグの関係を、エリザベス先生とスティーブン先生が分析! 

ケース Дャリーの場合

――はっきりとしない彼との恋愛の行方が見えません。今後、私たちの関係に未来はある?

セックス・コラムニストのキャリーは、リッチでハンサムな大人の男ミスタービッグとシーズン1で出会って以来、お互い惹かれ合うものの真剣な交際になかなか進展しない。はっきりとしない態度をとり続けるミスタービッグはキャリーを裏切ったかと思うと、彼女に新恋人ができたときに突如現れ、アプローチをする。友達としてなど、関係の形を変える2人だけど、ミスタービッグの優柔不断な態度にキャリーは振り回され続ける…。

▼エリザベス先生の回答

「キャリー・ブラッドショーはチャーミングで、現代風の都会的なヒロイン。ファビュラスな友達に囲まれ、やりがいのある仕事をして、クローゼットを開けばマノロブラニクの靴やオシャレな服でいっぱい、そして誰にも依存することなく自立を保って生活しているわ。

そんなキャリーを翻弄し続けるのがミスタービッグ。シーズン1で、道でぶつかって以来、偶然の出会いを繰り返すの。

それからのキャリーとビッグは、近づいたら逃げて…という恋のダンスのような関係が続きます。ビッグはキャリーに別れを告げたり、他の美女と結婚したり…キャリーは彼から失恋の深い傷を負い、やっと自分のことを心から愛してくれる男性エイダンに出会うけれど、その恋愛が真剣になると、ビッグが現れ、せっかくのキャリーの新しい恋の邪魔をしてしまう…。

2人が繰り広げる『押したら引く』…というやりとりは、典型的な『真剣な関係への恐れ』。

とくに、複数のデートの選択肢がある状況では、多くの人が誰かと真剣な関係に発展することを心の底で恐れています。そして、そういう状態の時は、手に入らない相手を求める傾向がある。だからこそ、このパターンに陥ると上手くいかない恋の連鎖で、自分自身も周囲の人々も傷つけてしまいがち。

そしてもう1つ、真剣な関係に踏み込めない理由としては、恋愛関係に落ち着いてしまう前にキャリアを積み上げたり自分を成長することに集中したいからという想いもあるのかもしれません。

最終的には、シーズン6でキャリーが新しい恋人と一緒にパリに移った時に、ミスタービッグが目の前に現れ、ついに『Carrie, You are the one(キャリー、君が運命の人だ)』と、告白します。物語ではハッピーエンドになりましたが、あの時、ミスタービッグが今までとどう変わったのか、これからどう違っていくのか、という重要なポイントをキャリーはきちんと確認するべきだったと思います」

▼スティ―ブン先生の回答

「ミスタービッグは完璧な男性で、かつミステリアス。彼の謎を解決したい気持ちもあり、キャリーは傷ついてもミスタービッグとの恋愛に何度も挑んでしまうんだと思います。

そして、ビッグはキャリーを本気で諦めさせるほど、はっきりとした意見を言うこともできず、キャリーの心の中には『いつか彼と幸せになれるのでは…』という僅かな可能性や期待が残ってしまうのです。

心理学的にも、予想外のシチュエーションでとぎれとぎれに起こる嬉しい出来事が、人を熱中させやすいといわれています。

それに、完成していないパズルを途中で放り出してしまうのは、多くの女性にとって難しいこと。

また、女性はとくに、恋愛となると盲目になりやすい傾向があります。彼に愛を捧げて、同じように彼が自分を愛してくれる…と期待を抱いていてはだめ。その代わりに冷静になって、彼があなたへの愛を得るために一生懸命になっているかどうかを、きちんと見極めることが大切です」

お話を伺った先生

Elisabeth Joy Lamotte, LICSW, MSW(エリザベス・ジョイ・ラモット先生)

ワシントンにある「DC Counseling & Psychotherapy Center」取締役。ソーシャルワークの分野で20年以上経験を積み、温かく率直なアドバイスで定評がある。『Huffington Post』にブログ記事も連載中。

Stephen Snyder.M.D(スティーブン・スナイダー先生)

ニューヨークを拠点とするセックスセラピスト。25年以上、多数のカップルやシングルの恋愛、セックスの悩みをカウンセリングしている。『COSMOPOLITAN』や『ELLE』などのメディアにも登場。来年、著書『Love Worth Making(St. Martin's Press (February 13, 2018) 』を発売予定。