ミニストップの看板(「Wikipedia」より)

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 大手コンビニエンスストアチェーンとしてはセブンイレブン、ファミリーマート、ローソンに次ぐ業界4位に位置するミニストップ。全国で出店する地域は27都府県で、店舗数は2255店(2017年7月時点)とセブンの約9分の1であるため、全国的知名度としては上位3社ほどではないが、他社とは一線を画したユニークな独自商品や店舗づくりは一定の強いファンをひきつけている。

 たとえば、今年の夏向け新商品である「ミントティーラテ」「ショコラミントプリン」や「ハロハロすいか」は早くもインターネット上で話題を呼んでおり、ミニストップの名物でもあり30年以上の歴史を持つ「ソフトクリームバニラ」も根強い固定客を獲得している。

 そんなミニストップが展開するバル型店舗「シスカ」が今、ちょっとした話題を呼んでいる。「シスカ」でネット検索すると「ちょい飲みコンビニ」と紹介する記事が目立つ。ミニストップの新業態で、8月現在、東京の日本橋本町、同小舟町、岩本町、三田の4店舗が展開中だ。

 1号店オープンは14年9月。間もなく3年目を迎える。ミニストップ・コーポレートコミュニケーション部(CC部)は「売上が見込める立地条件が、次第にわかってきました」と鉱脈発見の手応えを語る。

 シスカは、乱暴に言えばカフェとコンビニをイートインスペースで融合させたと言える。日中はいれたてのコーヒーやカフェラテといったドリンクメニューをベースに、バラエティ豊富な朝食・昼食を提供する。スムージーや具沢山のスープといった「健康的で気軽な食事」もシスカの人気商品だ。

 夜は一転、サーバーから冷えたグラスに注がれる生ビールやハイボールといったアルコール類や、ボイルサービスの缶詰といったメニューが売れていく。初来店だという40代の男性会社員は「コンビニとPRONTOを合体させた感じ」と満足そうな表情だった。

「自席は飲食禁止、お弁当を食べられる休憩室も満員という職場は、決して少なくありません。そうしたオフィス街特有のニーズを丁寧に掘り起こしていこうとオープン以来、お客さまから頂いた提言に耳を傾け、サービス内容を改善してきました」(ミニストップCC部)

 店側が信頼してアルコールを提供できるのも、立地がオフィス街で未成年者がほぼ皆無の場所だからだ。22時閉店という営業時間の設定も大きい。

 そんなシスカのメガヒット商品は、16年秋から岩本町店で始めた、焼きたてパンの販売。今年からは日本橋本町店にも導入され、シスカの“キラーコンテンツ化”が期待されている。

 今ではコンビニに必ずといっていいほど設置されているATMもコピー機も存在しない。売場面積はコンパクトだが、逆にイートインスペースはできるだけ広くしようと努力。何から何までコンビニの常識と真逆なのだが、これこそがオフィス街の住民にとって「夢のコンビニ」なのだろう。

●コンビニ研究家・田矢信二氏は、このバル風コンビニをこう分析

 バル風コンビニの第一人者であるミニストップの「シスカ」は、広範囲での全国展開を目指す出店戦略ではなく、立地をある程度限定することで、結果的にプレミアム感を演出でき、コンビニ感を消すことで逆に、消費者に価値を生み出していると私は分析します。

 私自身も初めて来店した時は、「本当に、ここコンビニ? 飲食店じゃないの? ものすごいオシャレ感があるなぁ〜」と衝撃を受けました。売場には、ビールやワインの品揃えも既存コンビニにはない充実感がありました。そして、お酒に合う缶詰なども多数揃えられており、夕夜間の働く人たちのニーズに対応できるオアシスになる印象を持ちました。特に、女性客の入りやすさがランチ需要も獲得しているのではないかと予測ができるほどです。

 小売業態でありながら、これだけうまく飲食業態の“飲み動機”をサービス・接客にも取り入れているのは、さすがだと思いました。こういった新業態発想ができたのも、1号店からイートインがある店舗だったのが、大きな理由だったのだと予測します。

 最近のコンビニの流れは、3つのキーワードが成長戦略の中心です。1つめは、女性の社会進出。2つめは、健康志向・高齢化社会。3つめが、一人暮らしの増加です。

 そういった時代背景からコンビニのイートインで食べる「イートイン食」のニーズが高まってきています。ちょうど外食と内食の中間で、今後の日本人の生活を大きく変えるかもしれないポテンシャルを持つのが“コンビニ・イートイン”なのです。

 近い未来、家での食事回数がほとんどなくなり、コンビニで“1日3食”食べるのが当たり前になる日が訪れるかもしれませんね。

 もう、現場でも「売場=商品を置く場所」という従来型の発想ではなく、「イートイン=食べて宣伝・口コミをしてくれる場所、新しい“ついで買い”が生まれる場所」と認識する考え方は、商売に必要不可欠になってきています。

 最後に、生ビールを注げるサーバーを併設する店舗を、ファミリーマートや東京中心に出店する駅ナカコンビニのニューディズで見かけたことがあります。一部を独自進化させ、一点突破型で全国展開モデルになる日も近いかもしれませんね。その時は、「和風」なのか「洋風」なのかを“明確に消費者にアプローチする店舗設計”をすることで、従来型のコンビニにはないブランドカラーを出す必要性があると私は感じています。
(文=編集部、協力=田矢信二/コンビニ研究家)