なでしこリーグカップ2部を制覇したセレッソ大阪堺レディース。写真:竹中玲央奈

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 2016年、セレッソ大阪はJ2プレーオフを制してJ1復帰を果たした。そして復帰1年目の今季は、現在リーグ2位と好調を維持しているわけだが、昨季のある時期、チームは調子を落とし苦戦を強いられていた。そんな折りに何度かC大阪を取材する機会があり、チーム関係者が自虐的にこんなことを話していたのが耳に残っている。
「いまは女子のほうが面白いですよ」
 
 女子、とはセレッソ大阪堺レディースのことだ。それを聞いてチームを観に行ったのだが、基本的な技術もさることながら、チームとしてのボールの動かし方、攻撃の形という連係面においても目を見張るものがあった。昨季は2部で3位となり昇格は逃してしまったが、今季は首位と勝点差3の2位に着けており、2部の優勝も十分視野に入っている。実力は確かである。
 
 そして、8月12日に行なわれた2017年なでしこリーグカップ2部の決勝戦では、リーグ首位を走る日体大FIELDS横浜をPK戦で下し、初タイトルを手にしたのである。
 
 そんな彼女たちの注目すべき点は、なんと言っても「若さ」である。この試合でメンバー入りした18名の平均年齢はなんと17.5歳であり、最年少は2002年生まれの14歳で、最年長は20歳だ。学年でいえば中学生から大学2年生の世代が集うチームということになる。
 
 チームは2010年、現在の最年長である1997年生まれ世代の選手16人が集まって創設された。この決勝で右サイドからの低いクロスを点で合わせて先制点を記録した松原志歩もそのひとりである。そこから毎年、セレッソ大阪堺ガールズを中心に新入生を昇格させ、リーグを戦ってきた。
 
「中学生の時から新しい選手が入ってくるというのはあんまりなく、“自分たちで強くなってチームを作り上げていく”というのがこのチームなので。ずっと一緒にやってきているという面では互いの特徴も分かっているので。そういうのは良いことかなと」
 
 松原はこう言うが、成熟度の高いチームワークは外部の血をほとんど入れずに歩み続けてきた成果でもあるのだろう。また、関西エリアの才能ある女子選手たちが集まってきていることも大きい。
 
 ただ、それでもやはり経験値では劣るため、“大人”のチームを相手に結果を出すことは簡単ではない。「負けて、(やりたいことが)できなくて泣いてしまうということもあった」と竹花友也監督は振り返る。
 初タイトルが懸かる大一番となった日体大FIELDS横浜戦は、先制するも追いつかれ、もつれ込んだPK戦で勝利を収めて優勝を手にした。この経験は、才能と未来ある彼女たちを前進させるために非常に大きな意味を持つことだろう。
 
 竹花監督は「PKとなると、なかなかメンタル面で弱く、蹴るのを嫌がる選手もいたのですけど、今日は名前を呼べば力強く返事が返ってきたので。そういう意味でも、メンタル面も強くなったんじゃないかなと思います」と今大会での成長ぶりについてこう語っていた。
 
 だが、選手たちはもちろん満足はしていない。ここはまだまだ「通過点」なのだと言う。
「もっと成長して一部で戦えるようになりたいし、アジアカップ(U-19女子アジア選手権)があるので。そこで代表に選ばれてもっと活躍して。U-20のワールドカップに行きたいです」
 抜群の対人の強さで存在感を示した脇坂麗奈はこう言い、松原に関しては“なでしこジャパン”入りという目標を口にする。
「まだまだ遠い目標かもしれないですけど、(なでしこジャパン監督の)高倉さんはずっと見てくれていて、自分のプレーを分かってくれている部分もあると思うので。コツコツ頑張って、そこに絶対に入っていこうというのを忘れないで、日々の練習から上を目指してやっていきたい」
 
 クラブ関係者も「今のところアンダーの代表は何人かいますけど、なでしこジャパンに送り込みたいと。そのひとつが東京五輪あたりになるのかなと思っています」と2020年に彼女たちが活躍する姿を望んでいる。
 
 近い将来、C大阪堺レディースから日本の女子サッカー界を引っ張る存在が生まれる可能性も大いにあるだろう。“なでしこの卵たち”が数多く在籍するこのチームの歩みに、ぜひ注目してほしい。
 
取材・文:竹中玲央奈(フリーライター)