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●韓国で築き上げた成功モデル

回転寿司チェーンの「スシロー」を運営するあきんどスシローは、国内のみならず海外への出店も考えている。海外では現在、韓国のみだが、どういった構想を抱いているのか。

○ノウハウを蓄積

スシローの海外店は韓国に8店舗ある。それ以外にはない。韓国で出店したものの、採算にのせきれず、試行錯誤を続けてきたからだ。日本ではうまくいっても、海外ではうまくいかなくなることがある。スシローグローバルホールディングスの水留浩一社長は海外店ではいくつかの課題を抱えていたと話す。

ひとつは、クオリティの問題だ。シャリひとつとっても、どのタイミングで酢をかけるか、仕上がったシャリを食べてそれが本当においしいのか。そもそも仕入れた米に割れがなく、当初要求した品質基準を満たしているのかどうか、などといったことだ。

味にこだわりを持たないと味・品質は落ちてしまう。スシローが抱えた課題も味・品質だった。結果として、日本から人材を送り、改善を試みた。それによって、現場の緊張感も変わり、水留社長は「日本に近いクオリティまで上げることができた」と話す。

出店場所にも問題はあった。日本ではロードサイドに出店するのが王道だが、韓国で受けたのは、ショッピングモールのように人が集まる場所だった。ビジネスとして成立させるには、日本流を持ち込むだけではダメなことがわかったのだ。

ひとつずつ課題を解消していったスシロー。韓国での経験をノウハウとして積み上げ、「ようやく望ましいモデルになってきた。店舗を増やしていくことで、利益を出せるようにところまできた」と水留社長は現状を述べる。それと同時に、他国への多店舗展開も見えてきたようだ。

ただし、今後出店する国は多くの人のイメージと違うかもしれない。寿司、海外というと欧米をイメージするが、水留社長は「優先順位としてはアジアのほうが高い」(水留社長)と話す。

○出店するのは欧米ではない理由

その理由について「うちの良さは寿司のうまさ。寿司であれば来てくれるというエリアよりは、寿司の違いで来てくれる、寿司のうまさを感じて来てくれる、そういうエリアを我々は優先的に取り組んでいきたい」(水留社長)とする。

わかりづらいが、詰めて聞くと明快だ。アジアを優先する理由がよく分かる。「欧米に出店しても、記念日だから行くとか、物珍しいから行くとなってしまう。それよりは月1回はスシローに行こうと思ってもらえる土壌があるエリアを優先したい」という。スペシャリティフードではなく、目指すのは気軽に入れる寿司レストランというポジションだ。

●欧米よりアジアを重視するワケ

これには、回転寿司ビジネスの特性もあるだろう。一般に原価率は高く、売上を増やして、利益をとるビジネスモデルだ。客単価も千数百円と高くはなく、ある人が年一回来店するのでは不十分。何度もリピートしてもらわねばならない。

それがわかると、欧米よりもアジアのほうが市場としては魅力がある。アジアには米食・生食文化を持つエリアがあり、寿司はなじみやすい。年一回のスペシャリティーフードというよりも、日常食に近い感覚で食べてもらえるからだ。

ターゲットをアジアと定めた上で、生魚を食べるエリア、そうでないエリアという問題がある。両方あるところが一番いいが、その後では「生魚を食べるエリア」「米食があるが生魚を食べないエリア」「そもそも米食文化がないエリア」といった順番で出店していく考えだ。

具体的には、中国、台湾、香港は所得水準も含めて可能性は大いにあるという。次に挙げてくれたのが、シンガポールやタイ、マレーシアだった。その先はインドネシア、インドといった国名も挙がる。インドは米食文化はあるものの、生食文化はなく、少し先にはなりそうだ。

○海外でスシローの看板が目につくように?!

話を聞いていると、ひとつ気づくことがある。それは海外1都市、1店舗とは思えないことだ。日常感覚で気軽に入れるレストランという位置づけは、1都市で多数の店舗を抱えるイメージを持っていてもおかしくない。

そのあたりを聞くと、水留社長は「ソウルには10店舗ないようならダメ。韓国で30店舗やるなら、半分はソウルにあるべき。日常に入り込んで、週末に楽しめるようにならなければいけない。一年に一回、頑張って行くお店ではない」と繰り返す。

スシローの海外展開はこれからが本番。一都市に何店舗もあるような姿をイメージし、多店舗展開を図る考えだ。水留社長の話を聞いていると、外国の生活レベルに入り込んで定着を図ろうとしていることがわかる。それは壮大な考えであると同時に、実現が大変そうな取り組みのようにも思える。いずれにせよ、回転寿司をもっと身近に、という考えは、日本においても、海外展開においても変わらないようだ。