中央に鎮座する素揚げのヤングコーンは、お店のトレードマークの金棒をイメージ

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 夏になると食べたくなる激辛グルメ。都内には激辛グルメを味わえるスポットはたくさんあるが、辛さというものはある程度定期的に摂取していると、誰でもだんだん慣れてくることもあり、とかく辛さのインフレが進みがちだ。結果、単なる“激辛”から進化した、まるでキラキラネームのような名が激辛グルメのメニューで氾濫している。

◆1:地名を使う中本

 激辛好きのみならず関東で特に辛ウマいと有名なのが『蒙古タンメン中本』。東京を中心に19店舗を展開し、セブンイレブンでカップラーメンも販売されている。上板橋本店でも人気ナンバーワンメニューは店名にもなっているこの蒙古タンメンだが、激辛通の定番メニューといえば「北極ラーメン」だ。中本の辛さレベルの表記では蒙古タンメンは辛さ5、北極ラーメンは辛さレベル9となっている。

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 噛みごたえのある太麺とスライスされたニンニクなどが入っている野菜に、辛ウマなスープが絡みバツグンに美味しい。好きな人は北極のスープまで完飲するそうだが、蒙古タンメンならスープも完飲できるという辛いもの好きの人でも慣れと耐性が必要。

 中本のメニューは、このほかにも「樺太ラーメン」など独特のネーミングセンスを感じさせるものが多い。地名を元にしたパターンは『カレーの店 ボンベイ』のカシミールカレーなんかもその類か。ちなみに辛さレベル10で最も高い中本のメニューは「冷やし味噌ラーメン」で、ごく普通の名前になっている。

◆2:激辛カレーを食べる姿は求道者のよう

 また、次によくあるのが宗教的な思想を感じさせる語を用いるパターン。スパイスといえば東洋的なエキゾチックな感じと結びつきがちなようで、仏教的な用語が多い。

 札幌発のスープカレー専門店『マジックスパイス』は、多種類のトッピングと、“覚醒”から“虚空”までの7段階で辛さが選べるのが特徴。

 辛いもの好きの人でも初めは“涅槃”あたりがまずオススメとのことだが、ラッシーで中和しながら食べることもできるので(水は余計に辛い)、いきなり“虚空”を食べても激辛に慣れている人なら案外いけるはず。

 それにしても、いくら辛いからといって“涅槃”や“覚醒”といったキラキラとした名前を付けなくてもと思うが、ピリッとした辛さは病みつきになる味わい。中毒性があり、一度口にすると不思議と手が止まらず、取材班は最後の一口まで一気に食べてしまった。

 どちらも食後は日常生活ではかかないような汗をかき、完食した後はランニング後のような爽やかさを感じられた。ただ耐性がないと、間違いなく胃腸が破壊され、1日2日は外出先でのトイレの心配が付きまとう。くれぐれも無理なく美味しく食べられるレベルを見極めてほしい。

◆3:カラシビスト上級者に人気の“鬼増し”

 オリジナル唐辛子スパイス『カラ』と、和歌山産ぶどう山椒と四川産花山椒などで作り上げた痺れ油『シビ』、そして調合味噌という走攻守揃った味わいの一杯が人気で、食事時は平日でも行列が絶えないラーメン屋『鬼金棒(きかんぼう)』。

 『カラ』と『シビ』の量は無料で “抜き”〜“増し”の4段階からそれぞれ調整でき、『カラ』と『シビ』それぞれプラス100円で最も量の多い“鬼増し”にすることも可能だ。

 涅槃が逆に振れて地獄の住人“鬼”も出てくる激辛の世界。その威力はいかほどのものか、普段“増し”で美味しく頂いている取材班だが、今回はプラス200円で“カラシビ鬼増し”を食してみることに。

 普段なら程よい箸休め的な役割を果たすモヤシやヤングコーンが気休めにもならない。スープに滴り落ちる雫は汗か鼻水か脳汁か、なんでもいいが食べているそばから胃の中で暴れちゃうし、グニャグニャしたサイケなイメージが意識に上ってきちゃうし、店内に流れるミニマルな和太鼓BGMと合間って妙なトランス状態へ。

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 今回は、さすがに取材班もしばらく外出先でのトイレの心配が付きまとった。くれぐれも無理なく美味しく食べられるレベルを見極めてほしい。 <取材・文/伊藤綾>