米バージニア州アレクサンドリアに設置された南部連合兵士の像(2017年8月14日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】米首都ワシントン(Washington D.C.)に背を向けるように、通りの中央に設置されたブロンズ像の視線の先には、戦友たちが倒れた南北戦争(American Civil War)の戦場がある──。

 ワシントンからポトマック川(Potomac River)を渡ったバージニア(Virginia)州アレクサンドリア(Alexandria)の交通量の多い交差点に立つこの南部連合(Confederate States of America)兵士の像は、今から130年前に建てられたものだ。

 像は「アポマトックス(Appomattox)」との題名が付けられている。これは、1865年に南軍が最後の戦闘に敗北し、4年にわたる南北戦争の降伏へと至った場所にちなんだものだ。米国南部の各地には、このような南軍戦没者の栄誉をたたえる数百の記念碑があるが、これはそのひとつだ。

 奴隷制度擁護の南部連合を象徴するこれらモニュメントの扱いをめぐっては、長きにわたって議論が続いていた。しかし先週末、この問題で対立するグループ同士が衝突し、複数の犠牲者が出る事態となった。

 事件は12日、バージニア(Virginia)州シャーロッツビル(Charlottesville)で起きた。南軍のロバート・E・リー(Robert E. Lee)将軍の像を公園から撤去する市当局の計画に白人至上主義者らのグループが抗議して集会を開き、これに反対するグループと衝突。反対派の女性1人が突入してきた車両にはねられ死亡したほか、警備のヘリコプターが墜落し、乗っていた警察官2人が死亡した。

■各地で進む撤去

 シャーロッツビルとアレクサンドリアの像の撤去をめぐっては裁判所と州議会に留め置かれているが、それ以外の南部連合のモニュメントは、米国の複雑な人種的問題の遺産との対峙(たいじ)を通じて実際に撤去が進められている。

 ノースカロライナ(North Carolina)州ダーラム(Durham)とフロリダ(Florida)州ゲーンズビル(Gainesville)では、14日に南軍兵士の像が撤去され、またケンタッキー(Kentucky)州レキシントン(Lexington)市は、南軍の像を2か所から撤去する計画を12日に発表したばかり。

 他方で、米テネシー(Tennessee)州ナッシュビル(Nashville)では、活動家数十人が州議会議事堂で抗議行動を展開し、南軍中将でクー・クラックス・クラン(KKK)の創立者ネイサン・ベッドフォード・フォレスト(Nathan Bedford Forrest)の胸像を撤去するよう要求した。

 公民権擁護団体の「南部貧困法律センター(Southern Poverty Law Center、SPLC)」が昨年4月に公開した報告書によると、南部連合を象徴するモニュメントは国内1500か所以上の公有地に置かれており、その大半が南部に位置しているという。その中には記念碑や像が700以上、南部連合の兵士や政治家の名前を付けた公立学校が100校以上ある。

 南部連合の象徴を保存するよう訴える擁護者らは、これらのモニュメントは誇りある南部の遺産を想起させるものであり、それを撤去するのは事実上の歴史の抹殺だと主張する。

 だが、歴史家とSPLCの報告書によると、南部連合の記念碑のほとんどは人種差別のジム・クロウ(Jim Crow)法時代に公民権運動への対抗として建てられたものだという。

 SPLCのリチャード・コーエン(Richard Cohen)氏は、同報告書に付随の声明文の中で、「多くの場合、こうしたモニュメントの真の目的は、歴史の保存ではなかった」と指摘している。

■「崇拝の対象として二度と台の上に置いてはならない」

 最近では、ルイジアナ(Louisiana)州ニューオーリンズ(New Orleans)で行われた、南軍総司令官ロバート・E・リー(Robert Edward Lee)、連合国大統領のジェファーソン・デービス(Jefferson Davis)、もう一人の南軍将軍P.G.T.ボーリガード(P.G.T. Beauregard)の像の撤去が世間の注目を集めた。撤去作業は、厳重な警備の中で行われた。

 像の撤去にあたり、ニューオーリンズのミッチ・ランドリュー(Mitch Landrieu)市長は5月、こうしたモニュメントは「温和な歴史の素朴な記念像などではない」と述べ、「南部連合国は歴史と人道にとって、誤った側にあった」「わが国を引き裂き、同国仲間を奴隷として支配下に置こうとした」と続けた。

 そして、これらの像が「われわれが忘れてはならない歴史であり、崇拝の対象として二度と台の上に置いてはならないものだ」とも語っている。
【翻訳編集】AFPBB News