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●Firefox 55のインストール

Mozillaは、8月8日(現地時間)にFirefoxの新バージョンとなる「Firefox 55」をリリースした。前バージョンの54からは、54.0.1がリリースされている。54.0.1では、以下の修正、セキュリティアップデートが行われた。

タブタイトルの表示問題

新しいタブを開く場合の表示問題

複数のタブを開く場合の表示問題

ダウンロードしたファイルのタブの表示問題

PDFの印刷における問題

LinuxにおけるNetflixに関する問題

したがって、今回のアップデートは、54.0.1からとなる。また、すでに本誌でも紹介したように、Mozilla Japanが社名変更を行い、Mozilla Corprationの配下から独立した。結果として、リリースノートなどはコミュニティによって翻訳されている。今後は、コミュニティからの情報をベースに、Firefoxの新機能ついて紹介したい。

○Firefox 55のインストール

Firefox 55への自動アップデートであるが、本稿執筆時点(日本時間8月10日AM)で行われない。後述するスタブインストーラを使ってもよいが、ここでは、FTPサイトを紹介しよう。

フルインストーラがダウンロードできる。スタブインストーラは、FirefoxのWebページからダウンロードする(図2)。

こちらは、以前と同じである。[Firefox無料ダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図3)。

画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。なお、Firefox 55からスタブインストーラでは、64bit版がデフォルトでインストールされるようになった(当然、64bit OSであり、2GB以上のメモリを搭載した環境が必要となる)。

さらに、次のFirefox 56では、アップデートにおいても条件が整えば、32bit版から64bit版にアップデートされる。Mozillaによれば、64bit OSで32bit Firefoxの比率は72%とのことである(2016年第4四半期)。順次、64bitへの移行が進むと思われる。

●Firefox 55の新機能

○Firefox 55の新機能

Firefox 55の新機能であるが、以下の通りである。

Web没入型体験をもたらすWebVRへの対応をWindows版に追加(Mozilla VRでサンプルを閲覧可能)

ユーザーが最近のパフォーマンス改善を最適化できるオプションを追加。具体的には、以下の2つ: -Windows 10 Anniversary Edition上で、動画再生時にバッテリー寿命を伸ばしCPU使用率を下げられるよう、ハードウェアVP9アクセラレーションを有効化する設定 -ページの読み込みを高速化し、タブ切り替えの応答性を高められる、同時使用コンテンツプロセス数を変更する設定

合理化されたWindows版スタブインストーラーにより、インストール手順を簡素化 -2GB以上のメモリを搭載した64bitシステム上では、64bit版Firefoxを標準でインストール -高度なインストールオプションを備えたフルインストーラーも引き続き使用可能

ロケーションバー機能を改善 -インストールされているワンクリック検索エンジンを使って、ロケーションバーから直接検索 -検索候補の表示(初期設定で有効) -ホスト名(たとえばpinterest.com)入力時に、可能な場合は安全でないバージョンの代わりに安全なバージョンのサイトを解決

サイドバー(ブックマーク、履歴、同期したタブ)をウィンドウの左端から右端へ移動可能に

WebRTCのステレオマイク対応を追加

リーダーモードからの印刷を簡素化

OS XおよびMacOS上で、システム環境設定を通じてFirefoxのメニュー項目に任意のキーボードショートカットを割り当て可能に

ブラウジングセッションにタブが多数含まれていた場合にも、瞬時に復元されるよう、処理を変更

Webページのスクリーンショットを撮って、ローカルに保存するかクラウドへアップロード可能に(この機能はまだA/Bテスト中のため、すべてのユーザーには表示されない)

ベラルーシ語 (be) ロケールを追加しました。

変更点は、以下の通りである。

アプリケーションの更新UIを刷新し、あまり邪魔にならないようにするとともに、ブラウザのほかのUIとの一貫性を変更。更新をダウンロードしてから8日間ブラウザを再起動していないユーザーや、自動更新を無効化しているユーザーのみ、この変更が表示

過去のバージョンでは可能な場合もあったダウングレードへの対応を廃止。Firefox 55以上をインストールし、以前のバージョンへダウングレードした場合、不具合が生じる可能性が発生

Adobe Flashプラグインは初期設定でクリックによる有効化が必要に。また、「http://」や「https://」のURLスキームでのみ使用可能。この変更は段階的に展開されるため、すぐにすべてのユーザーに反映されることはない。 詳細については、Firefoxプラグインのロードマップを参照

開発者向けは、以下の通りである。

安全でないサイトはGeolocation APIを使用してユーザーの物理的な位置情報を取得不可能に

今回のバージョンアップで、見た目で変化があるのは、サイドバーであろう。右端に表示することが可能になった。

移動は、プルダウンメニューから行う。あまり大きなことではないが、インストーラのアイコンも変更になった。

機能面での大きな変更点は、Adobe Flashの実行にクリックが必要になったことであろう。ただし、すべてのユーザーがそうなったわけではない。これは、ゆるやかな移行を目指すものであろう。すでに報道にあるように、Adobeも2020年をもって、Flashの開発と提供を停止すると発表している。上述のロードマップの一部を紹介すると、以下のようになる。

2017年8月:Flashを有効にするかの設定をサイトごとに記憶

2018年末:Flashの設定を記憶せずセッションごとにFlashの有効・無効を選択

2019年始め:Firefoxは、そのサイトがFlashの使用を続けているという警告を出す。その後、数か月はデフォルトでFlashを無効に

2020年始め:通常のFirefoxでは完全にFlashはアンサポートに

2021年:AdobeがFlashのサポート2020年末に終了させているので、FirefoxはFlashのプラグインをロードしない

オプションメニューの[一般]では[パフォーマンス]セクションで、コンテンツプロセスの数を調整することが可能となった。

この設定を行うには、[推奨のパフォーマンス設定を使用]を無効にする。マルチプロセス化(e10s)の実装に合わせて搭載された。その理由であるが、プロセス数を増やしすぎると、かえってメモリ消費が増え、パフォーマンスを落としてしまう。どのあたりが最適かを判断するのは難しいが、調整してみてもよいだろう。

アドレスバーでの検索では、検索結果の下にアイコンが表示され、デフォルトの検索エンジンでなくても、簡単に検索が可能となった。

FirefoxでのWebVRのデモは、Mozilla VRで試すことができる。

動画で紹介されたり、実際にVRデバイスを使うこともできる。

パフォーマンス関連では、Quantum Flowプロジェクトの成果が実装された。開発者の1人、Dietrich Ayala氏がその効果を公表している。

Firefox 51で1,691個のタブを復元するのに8分近くかかっていた。それが、Firefox 55ではわずか15秒に短縮されている。タブを多用するユーザーには、朗報だろう。同時に、メモリ消費量も軽減された(図10のAyala氏のページを参照してほしい)。

●WebExtensionとマルチプロセス化の確認

○WebExtensionとマルチプロセス化の確認

さて、すでに2017年のリリースからお伝えしているように、11月のFirefox 57ではアドオンの仕組みが大きく変更される。その対応状況を確認する方法を紹介したい。まず、アドオンマネージャを開き、「Add-on Compatibility Reporter」で検索をする。

[インストール]をクリックする。Add-on Compatibility Reporterは、その名の通り、アドオンの互換性をレポートする(それよりも、対応していないFirefoxのバージョンでアドオンを動かせるといったことでも使われていた)。インストールの結果であるが、図12のようになる。

黄色の背景で「旧式」とあるのは、WebExtensionに未対応なことを意味する。そして、右上に「Multiprosess is enable」、アドオンの行に「Compatible with multiprocess」とあるのは、Add-on Compatibility Reporterが表示しているものだ。Firefox自体がマルチプロセスに対応しているか、アドオンが対応しているかを示す。Firefox 57に向けて、対応度合いを確認することができるだろう。

今回のセキュリティアップデートでは、最高が5件、高が11件、中が7件、低が6件と、合計29件のセキュリティアップデートが行われた。速やかにアップデートしたい。