Netflixはオリジナルコンテンツ制作のために200億ドル(約2兆2000万円)以上の長期的負債を負っていることが報じられ、さらにディズニー関連の作品が2019年までにNetflixから撤退することも決定しています。カンヌ映画祭との確執から映画業界との対立も肥大化し、Netflixの将来を危惧する声が大きくなっているのですが、チーフ・コンテンツ・オフィサーがNetflixの経営戦略を語っています。

Netflix is going to be fine, even with a $20 billion debt and a Disney-less future - Polygon

https://www.polygon.com/2017/8/15/16151944/netflix-disney-debt

Netflixのチーフ・コンテンツ・オフィサーであるテッド・サランドス氏によると、「オリジナルコンテンツ」がNetflixの未来を開くカギとなることを語っています。近年になってNetflixではディズニーやカンヌ映画祭との問題が浮上していますが、Netflixは2015年からオリジナルコンテンツ制作に対して多額の投資をスタートしており、3年間で60億ドル(約6600億円)近くをオリジナルコンテンツに費やしています。さらに2018年の予算は1年間で70億ドル(約7700億円)を予定しており、これらは200億ドル(約2兆2000万円)もの長期的負債から確保されています。

サランドス氏は「ディズニーやFoxのような大手の離脱が始まる前に、オリジナルコンテンツ制作への巨額の投資を始めたことが強みになっている」と話していますが、その一方で近年のようにライセンス提供者が去って行く傾向が続くことも懸念しているとのこと。Netflixの目標はオリジナルコンテンツの比重を50%以上にすることであり、達成できればNetflixは「TVの追加サービス」から「必要不可欠なTVサービスのひとつ」に生まれ変わる可能性を持っています。



そのためNetflixはハリウッドと対立するほどに映像業界の有力者の確保に努めており、「グレイズ・アナトミー 恋の解剖学」などを担当した売れっ子脚本家であるションダ・ライムズとの長期契約にも成功しています。

Netflixは有料登録者数の新規獲得にも意欲を見せており、2017年の第1四半期では140万人の新規加入者を獲得しましたが、Netflixの目標数には到達していないとのこと。Netflixはここ数年でアニメやボリウッド作品の追加を進めていますが、これは国際的な成長を求めた戦略であり、オリジナル作品を除いた「従来のNetflixの魅力」も追求しているわけです。記事執筆時点でNetflixは1億人以上の有料登録者を持っており、業界の変化に合わせてオリジナル作品の投資をスタートするといった柔軟な経営判断により、ディズニーという大手が去ってしまっても持ちこたえることができるようです。