小田和正と共に/撮影=ATSUKI IWASA

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 メジャーデビュー14年目にして初の全国対バンツアー『スキマスイッチTOUR 2017 “re:Action”』を行ったスキマスイッチ。小田和正、奥田民生、KANなど、2人が敬愛する12組のアーティストをプロデューサーとして迎えたセルフカバーアルバム『re:Action』を引っ提げて全国13カ所をまわった今回のツアーは、プロデューサーとして携わったアーティストが公演ごとにそれぞれゲストとして参加し、毎回異なる演出をほどこした対バン形式スタイルだった。だが、7月24日に東京・中野サンプラザホールで行われた追加公演はツアータイトルに“S.S vs S.S”と付け加え、スキマスイッチがスキマスイッチのステージに”対バン“として登場するという意表をついたライブに。

【写真を見る】小田とガッチリ握手をする大橋/撮影=ATSUKI IWASA

大橋卓弥と常田真太郎がステージ上に現れると大きな拍手が起こる。舞台上にはすでにバンドセットが用意してあったが、2人だけが登場。この日の”対バン“のスキマスイッチは大橋(Vo.&AG)と常田(key)だけで行うアコースティック形態のようだ。「君の話」を皮切りに、立て続けに「夏のコスモナウト」「種を蒔く人」「ハナツ」を披露。「デビュー10周年の記念に作った歌だから、それ以降はなかなかライブでやる機会がなかった」(常田)と、「Hello Especially」を届け、「Ah Yeah!!」でアコースティックパートを締めくくった今宵の”対バン“スキマスイッチ。彼らはこれまでに2人だけの演奏やバンド形態、ホーンやストリングスや打ち込みを取り入れたアレンジメントを施した多彩な楽曲たちを届けてきたが、こうして2人だけで楽曲を届けている姿を目の当たりにすると、どんなタイプの楽曲であっても、この2人の衝動や思いがあらゆる曲の原点になっているんだとあらためて感じる。

ステージの片隅で2人が軽いトークをした後、少し間を置いてからバンドと共にライブを行うバンドパートが始まった。スキマスイッチらしい軽快なポップソング「パラボラヴァ」からスタートし、変拍子のリズムが印象的な「雫」、始まりから最後の一音までピリッとした緊張感を持って届けられた「ズラチナルーカ」と様々なアレンジが施された曲が続く。アルバム『re:Action』の中で唯一スキマスイッチがリプロデュースした「奏(かなで) re:produced by スキマスイッチ」を届けたあとは、楽しいトークタイムに突入。大橋の「静電気が起こりやすい体質が悩み」という打ち明け話から、その対処法を面白ろおかしく2人で掛け合ったMCはなんと20分にも及び、場内からは何度も笑いが起こった。「新曲です」と紹介した軽快なポップソング「さよならエスケープ」から、今の時代の闇や今を生きる人たちの心情を切り取りとった歌詞が心に深く刺さる「ミスターカイト」(新曲)へ。この新曲2曲の振り幅の広さもスキマスイッチらしさのひとつだろう。

「キミドリ色の世界」「キレイだ」から後半戦へ一気に突入。アコースティックパートでも演奏した「Ah Yeah!!」をバンドバージョンで再び届けることで、同じ楽曲でも形態やアレンジの違いでこんなにも詞の伝わり方や曲の雰囲気が異なるのだということを観客は十分に知ることができたはずだ。ラストの「トラベラーズ・ハイ」のあと、アンコールの声に応えてバンドメンバーと共に再びステージに登場した2人がシークレットゲストの小田和正を呼び入れると、割れんばかりの大歓声が起こった。場内のざわめきがしばらく続いたあと、小田がオフコース時代にはできなかったようなことをやりたくて作ったという「恋は大騒ぎ」をスキマスイッチと共に届ける。イントロが鳴った瞬間に悲鳴のような声が場内からたくさん上がったのは大ヒット曲「ラブ・ストーリーは突然に」。小田と大橋はステージ下に下りて1階席の通路をぐるりとまわりながら会場を盛り上げた。アルバム『re:Action』で小田がプロデュースを手掛けた「君のとなり produced by 小田和正」は、もともと「僕らなら」というタイトルで、2006年の特別番組「クリスマスの約束」(TBS系)だけで演奏された楽曲だったが、その当時の制作裏話を3人で交わしたあと、新たに蘇った「君のとなり produced by 小田和正」がライブで初披露された。小田が観客に向って「スキマスイッチをよろしくお願いしますね」と言うと、2人は少し照れくさそうな笑顔を見せ、観客たちの温かい拍手が3人を包み込んだ。小田との共演のあとは、ダブルアンコールで「全力少年」を。大橋はまたしてもステージから降り、観客にもみくちゃにされながらも笑顔で歌い、その様子を笑顔で見守りながらピアノを弾く常田の姿を見て、会場にいた誰もが幸せな気持ちになっただろう。