毎日をハッピーに過ごすためのヨガ。意識すべき8つのガイド

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ヨガといえば、多くの人がポーズを連想するかもしれませんが、実はヨガとは、カラダを動かすこと(エクササイズ)ではなく、ポーズや呼吸、瞑想による“経験や実践を伴った哲学”のこと。自分の内側から外側まで、すべてが自分自身とつながることを最終目的としています。そのために、実は、ヨガには8つのステップが用意されています。今回は、8つのステップである「八支則」を、ヨーガチャクラ主宰の森田尚子さんより教えていただきました。

ヨガをするなら知っておくべき「八支則」

ヨガを通して、より幸せに、より快適に生きていくためには、どんな風に生きればいいのか。その具体例を表しているのが、ヨガの根本教典とも言われる『ヨーガスートラ』にある「八支則」です。これは、ヨガを進めていく、深めていくための8つのガイドラインでもあります。まずは自分自身の行いに注目し、続いて体、そして心や精神にも注目していきます。この8つをヨガとして実践していき、それを日常のものとして普段から意識的にできるようになると、毎日がハッピーになっていきます。今回は、この8つがどんなことを言っているのか、紹介しましょう。

八支則

1:ヤマ(禁戒)=他者とのかかわり方(社会で生きていくためにしたほうがいいこと)
人は、どうしたって一人ではやっぱり生きていけません。引きこもったり、孤独感にさいなまれるような時でも、例えば、自分の身の回りにあるものを作ったり、運んだり、育ったり、そのためのインフラを整備している人がいます。そんなことまで考えて、自分はその中でどうあるべきか、そのガイドラインです。この中にさらに5つの項目があります。

2:ニヤマ(勧戒)=自分自身とのかかわり方(自分自身の成長のためにしたほうがいいこと)
ヨガは自分と向き合って、隅々まで意識化していきますが、そのためにしたほうがいいことを示しています。自分の心が平和であるために、人としてこうありたい、という普遍的な考え方が、やはり5つの項目としてあります。

3:アーサナ(坐法)=ポーズの練習をする
自分の体や動き方に注目して調整することで、健やかな体を作っていきます。体のこわばりや違和感がなくなると、呼吸や心のあり方、人間関係にも影響するでしょう。

4:プラーナーヤーマ(調気)=呼吸(気)をコントロールする
呼吸は体と心をつなぐもの。今の自分の呼吸をしり、滑らかで落ち着いた呼吸に徐々になっていくよう、アーサナを練習していきます。それによって、日々の落ち着きも得られるように。

5:プラーティヤハーラ(制感)=外向きの感覚を閉ざし内側を見つめる
たくさんの情報の中、それに振り回されないように、自分の心が何を思っているか内面に意識を戻します。

6:ダーラナー(疑念・集中)=集中する
1分でもまったく気持ちをそらさずに、一つのことに集中するのって難しいんです。10秒、20秒と練習してみましょう。これに慣れてくると、仕事や家事で散漫になりがちな人は、注意深くなれるでしょう。

7:ディヤーナ(無心・瞑想)=瞑想する
集中が続いていくと、だんだん自分が集中していることさえ忘れるほどに。周囲と自分が溶け込んで、自分がなくなっている、そんな状態。

8:サマーディ(三昧)=三味の状態になる(夢中になる)
瞑想状態が続いている状態です。夢中になっていたり、没頭している時の気持ちよさ。その状態にすぐに入れることが目標です。三昧の状態になれると、時間が長く感じられ、見落としがちな情報などもキャッチできるように。

これらの8つは、人によっては簡単そうに感じるかもしれませんし、難しそうにも感じるかもしれません。確かにヨガを知って、いきなり八支則すべてを実践するのは大変なこと。でも一つひとつを実践していけば、きっとあなたの生き方そのものに、いい変化が生まれるはずです。

「八支則」は、マットの上でだけでなく、日常生活すべてにおいて、私達をより幸せになれるよう導いてくれるものです。ポーズを練習しながら自分自身と向き合うように、マットの外でも自分をコントロールできるよう、常日ごろから8つを意識することを心がけてみましょう。

 

ライター:中村千春
取材協力:森田尚子(「クリシュナマチャリアの教え」の正式指導者、ヨーガチャクラ主宰)
モデル:aya
写真:樋口勇一郎