「自分が演じる登場人物史上、もっともだらしなくて好きになれない役(笑)」/撮影:平岩享

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”音楽家”として約10ヵ月ぶりのニューシングル「Family Song」を8/16にリリースした星野源。”俳優”としては現在、主演作「連続ドラマW プラージュ 〜訳ありばかりのシェアハウス〜」の第1話が放送を終えたばかりだ。今回臨んでいる役はなんと”前科者”。ともすればデリケートな役どころを演じるにあたって、気を配ったことや気付いたこと、役者・星野源として表現するべきことなど、多角的に迫ってみた。

【写真を見る】”逃げ恥”での実直な津崎平匡役からうってかわって「バカ」な吉村貴生役に臨む星野源/撮影:平岩享

■ 相手に対して土足で踏み込んじゃうみたいな、そういうところがあるんです

「プラージュ」の主人公・吉村貴生32歳は、旅行代理店の冴えない営業マン。うだつのあがらない日々に鬱々としているところ、軽い気持ちで覚せい剤に手を出し、“前科者”になってしまうところから物語は始まる。

「最初に脚本を読んだときの貴生の印象は、被害者ぶってるというか、子どもっていうか。自分に責任がある部分なのに、その責任を放棄して、人のせいにしてるところが、すごくだらしないなって。僕にもだらしない部分はいっぱいあるんですけど、なんだかんだ言っても大人になるとそういうところは出さないじゃないですか。でも、貴生は全部出しちゃってる。そんなところが、読んでて『ダメなヤツだな』と思ったんですよね」

それでもこの役を演じようと思ったのは、なぜだろうか。

「貴生という人は、人の気持ちがわからなくて、相手に対して土足で踏み込んじゃうみたいな、そういうところがあるんです。でも、“プラージュ”というさまざまな過去を追った人たちが集まるシェアハウスで、その住人たちと接するときに、貴生が踏み込んじゃうことで、みんなちょっとずつ過去と向き合うきっかけになっていくんです。1話で露呈したような貴生のダメな部分が、物語が進むにつれて意外と生きてくる。そこがちょっと面白いなと思ったんですよね。さらに、みんなの過去に触れることで、貴生自身も少しずつ人の気持ちがわかるようになっていくのが、すごくいいなと思いました」

今作に登場するのは、前科者や過去を背負った住人たちといった“訳あり”の人物ばかりだが、描き出されるのは、それぞれが不器用ながらも懸命に生きていこうとする姿。それをユーモラスに描くところにも、星野は魅力を感じたという。

また、今回、主演の星野の周囲を固める共演者は、個性豊かな役者ばかり。なかでも、“逃げ恥”に続いての共演となる石田ゆり子に加え、ミュージシャンのスガ シカオがデビュー20周年にして初めてドラマに出演することも話題になっている。

「ゆり子さんは俳優として、スガさんはミュージシャンとして、それぞれ長いキャリアを持ってるんですけど、まったく偉ぶらないお2人なんですよ。僕ぐらいの年代と目線が一緒で、すごいなと思いました。とくにスガさんは、大学生みたいで。撮影現場に来て、わー!ってなってるっていう(笑)。その感じが微笑ましかったです。撮影中もギスギスするとか、1回もなかったですね。本番が始まる前なんかも、みんなで『あそこのラーメンがおいしい』『まじっすか!?』みたいな(笑)、他愛もない話で盛り上がったりして。ほんわかした現場でした」

共演者たちとの距離感も、「一致団結して頑張ろう!みたいな雰囲気が苦手」という星野。自然体で臨む姿勢は、貴生という役の演じ方にも通ずる。

「やっぱり(自分には)前科がないので、わからないなぁっていうのが正直なところではありました。でも、貴生も最初はわかってないんですよね。そういう意味では、わからない状態でいいんだっていうところからのスタートだったので、作らないで臨んだ感じです。貴生が変わっていく過程も、プラージュのみんなとお芝居をしていくうちに、自分の中の貴生が変わっていく感覚が自然とあって。貴生自身、実は能動的に何か変えるというよりも、ちょっとずつ気づいていくんですよね。なので、自分が演技するときも、意識的にというよりは、脚本の流れに沿って台詞を言っていくと自然に変化していったという感じでした」

■ むしろバカだから、「最終的には愛せるかもしれない」って

今作の撮影はすでに終了。当初抱いた「最終的には愛せるかもしれない」という期待は、叶ったのだろうか?

「そうですね。愛せるようになりたいなと思って演じてもいたので。やっぱり、視聴者の方も愛せない主人公を5回も観るのは辛いじゃないですか(笑)。なので、何かしら可愛げをというか、『コイツ、バカだな』と思っても、それが許せる範囲に留めたいなとは思っていました。プラージュのシーンで僕が付けてるエプロンは、可愛げを表現するアイテムの一つかなって思います。設定としては、貴生の前に働いていたおばさんが使ってたエプロンを、そのまんま使ってるっていう。それは衣装合わせのとき、スタッフの方から『これはないですよね』って言われたんですけど、もしかしたら可愛いげの一つになる気がして、『これ付けさせてください』と僕のほうからお願いしました。あとは、髪型や服装といった見た目もちょっとずつ変化して、最後のほうは結構爽やかなんですよ。前科者になって以降は、メイクさんが常にボサボサにしてくれてたので、そういう変化も見どころかなとは思いますね」