(写真提供=SPORTS KOREA)イ・ヨンファ

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ここ数年、韓国で盛り上がっている“マッスル・ブーム”。

もともと健康志向が高く、さらには何かと見た目や他人の目を気にする“外見至上主義”が絡み合って、多くの男女が筋力トレーニングに励んで体を鍛えるようになっているが、そんな韓国の“マッスル・ブーム”を象徴するかのようなイベントがある。

「Top Of Muscles」。韓国では別名“TOMS”と呼ばれるもので、その様式は「NABAA WFFコリアグランプリ」「WBFFコリア・チャンピオンシップ」といった有名大会とも一線を画す。

マッスル・ブームは国も認めた!?

韓国で最も有名なマッスル大会といえば、日本の写真週刊誌でも紹介されたことがある“美少女マッスル・クイーン”チェ・ソルファらを輩出した「マッスルマニア」だが、「Top Of Muscles」はその「マッスルマニア」もない後ろ盾がある。

例えば「NABAA WFFコリアグランプリ」は全米アマチュアボディビルディング協会(NABBA)といった具合に国際的なボディビル団体の韓国支部などが主催者となっているが、「Top Of Muscles」は大韓体育会が後援しているのだ。

大韓体育会は、韓国のスポーツ団体を統括する組織であり、オリンピックなどの国際大会への選手派遣事業を行っている特殊法人である。

日本でいえば、日本体育協会(日体協)のお墨付きをもらっているともいえるだろう。

それだけに審査委員にも実績ある人物が選ばれている。そのひとりがイ・ソフィだ。

2012年にラスベガスで行われた「マッスルマニア世界選抜大会」でフィギュア部門1位、2012年「WBFFチャンピオンシップ」でビニキ部門1位に輝くなど、数多くの世界大会で受賞歴があり、韓国メディアが選ぶ“マッスル美女TOP10”にも選ばれた人物が、審査委員を務めている。
(参考記事:韓国メディア選定!! 「2016年に輝いたマッスル・クイーンTOP10」は誰だ!?

また、出場資格も細かく分類されている。

同大会では出場者を「アマチュア」、「準プロ」「プロ」と3つのクラスに分類。

「アマチュア」は文字通り趣味で体を鍛えている人たちで、「準プロ」は「ここ3年間に国内大会5位以内の入賞経歴を持つ人」、「プロ」は「ここ5年間に世界大会の入賞経歴を持つ人」と規定されており、いずれのクラスも満14歳以上が参加できるという。

この規定に基づくと、今年4月に行われた「2017 MAX Q マッスルマニア・オリエント・チャンピオンシップ」でファッションモデル女子部門・グランプリを受賞した “次世代マッスル・クイーン”イ・ヨンファなどは出場できないが、参加者の顔ぶれはバラエティに富んでいる。

今年は大学で教鞭を振るう女性バイオリニストや、現役の総合格闘家、さらにはまだ14歳の男子中学生など、さまざまな職業や年齢の参加者たちが多かったという。

参加応募者数が数千人に上ったというのだから、驚かざるを得ない。

何よりも韓国らしいのは、オーディションのような形式を取り、エンターテインメント化していることだろう。

「アマチュア」「凖プロ」「プロ」でクラス分けされた参加者たちが、ソウルで第一次予選と第二次予選を行い、そこで勝ち残った十数人がフィリピン・セブ島での第三次予選へ。

その過程はリアル・バラエティ番組のような体裁で編集され、8月13日からテレビ放映されている。

番組のメインMCを務めているのは、マッスル・ブームの立役者で“奇跡のDカップ女神ボディ”とされるユ・スンオク。

彼女については以前、本欄でも単独インタビューを紹介したが、最近はタレント活動だけではなくコスメティック会社のCEOとして中国進出に乗り出しており、その会社が「Top Of Muscles」の主管社でもあるという。

つまり、ブームの立役者が自らマッスル大会を開き、それを韓国のスポーツ団体を統括する機関が後援。ただのボディビル・コンテストではなく、エンターテイントショウにしてしまっているのだ。

「韓国最高の“マッスル・テイナー”(マッスルとエンターテイナーを合わせた造語)を決める」が「Top Of Muscles」のキャッチフレーズだそうだが、同じような仕掛けが日本でも通用するか、ふと考えてみる。

例えば、結果にコミットするフィットネス会社が話題の“筋トレ女子”を全面に押し出して肉体自慢イベントを開催。その後援には日本体育協会がつき、そのオーディション過程がテレビで放映されたらどうだろう。

日本でも“腹筋女子”や“筋トレ女子”といった造語が生まれ、健康志向の高まりから体を鍛える人々が増えているが、韓国の“マッスル・ブーム”はスポーツとエンターテインメントが融合した新感覚の“ジャンル”として確立しつつあるように見える。

韓国ではそれを「スポテイナー」(スポーツとエンターテインメントを合わせた造語)と呼ぶが、かの国のトレンドにはこれからも注視していきたい。

(文=慎 武宏)