島崎遥香が語る、『ひよっこ』由香役に対する葛藤 「自分と似ているからこそ、とても難しい」

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 行方不明だった父・実(沢村一樹)が奥茨城の家族の元で暮らすことになり、今ではすっかり第2の故郷となった東京・赤坂にあるすずふり亭に帰ってきたみね子(有村架純)。NHKの連続テレビ小説『ひよっこ』が、残すところ約1カ月半の放送となり、クライマックスに差し迫ってきている。リアルサウンド映画部では、第12週「内緒話と、春の風」にて鮮烈に登場した当時から、幾度もドラマにスパイスを与えてきた由香演じる島崎遥香にインタビューを行なった。自身とよく似ていると話す“由香”役を演じる上での葛藤を赤裸々に語ってくれた。【『島崎遥香 写真』ページ後半にて、チェキプレゼントあり】

(参考:島崎遥香 写真

■「岡田さんの脚本を読むと、心の中を抉られてるような感覚」

ーー脚本の岡田惠和さんがオーディションで島崎さんの演技を見て、由香というキャラクターを作ったと聞きました。脚本を読んだ時に、“これは私の役だ”という実感はありました?

島崎遥香(以下、島崎):当初は“あー、なんか世間の人が思ってるような自分だな”と感じていました。だけど、話が進んでいくにつれて、自分の言いたいことや思ってることの多くが、感情的に由香とリンクしていることに気付き、びっくりしています。

ーー島崎さんから、岡田さんや他のスタッフさんに対して、特に何か言ってるわけではないのに、ちゃんと島崎さん本来のキャラクターが滲み出ていると。

島崎:そうですね、岡田さんとは喋ったこともないですし、オーディションにいらしたのかな? くらいの感覚で(笑)。それなのに、岡田さんの脚本を読むと、本当に心の中を抉られてるというか、探られているような感覚で不思議な気持ちです。キャラクター的には、自分とぴったり同じというわけではないと思ってるんです。だけど、ところどころですごく似ている部分がある。周りがイメージしている自分と、そうじゃないって思ってる自分がいて、そのアンバラスな気持ちは由香と通ずるところがあります。

■「“ここがなくちゃ由香じゃない”って思っていた部分が、現場でカット」

ーー実際に現場で、監督と演技の方向性などを相談することはありますか?

島崎:監督は私の意見をとても親身になって聞いてくださります。自分が由香と似てるなと思うからこそ、ちょっと意地を張ってしまう部分もあって。だから、違うなって思った時ははっきり言います。私は由香のことしか考えていないけれど、監督は全体のことを考えてるので、最終的に色々意見が違ってくるときもあります。

ーー本作の時代設定は1960年代です。今日の髪型や服装などについて、自身でスタイルを意識していますか?

島崎:スタイリストさんにおまかせですね。髪型がもう似合わなくて(笑)。

ーー今まで撮影してきたシーンの中で、特に印象に残ってるシーンを教えてください。

島崎:4人(みね子(有村架純)、時子(佐久間由衣)、早苗(シシド・カフカ)、邦子(白石美帆))との3日間くらいに渡るシーンです。由香がなぜこんな性格になってしまったのか、これまで誰にも話していなかった胸の内を明かす長台詞もあって。実は、私が“ここがなくちゃ由香じゃない”って思っていた部分が、現場でカットの方向になったんです。だけど、どうしてもその部分があった方がいいという思いを伝えたら、当初の予定通り撮影してもらうことができたんです。最終的な編集でどうなるかはわかりませんが、意見を聞き入れてくれた監督に感謝しています。このシーンの長台詞の中には、自分自身の想いとも重なる時が何度かありました。その時はものすごく苦しくて。自分の感情を出したくない由香の性格と私は似ていて、重なれば重なるほど、その部分を出したくないと思ってしまうんです。出したくないから演技として、それが空回りして変な方向に行ってしまう。演技をしていない、素のままでやってるとか言われてますけど、そんなことはなくて、似ているからこそ、とても難しいんです。

ーーそういった難しい演技をしたとき、監督の反応は気にしますか?

島崎:反応はかなり気にします。ただ、ここもう1回やりたいなって思ってもみんなに付き合わせるし止めておこうと思って、もういいやと思う時もありますね。だから、本番で決められなかった時は悔しいです。1人のシーンだったら、もう1回お願いしますとは言いますけど、そういうのができない時は自分のミスだと思って黙って堪えます。

ーー自分で納得できたシーンはありました?

島崎:私自身が理解されにくい性格で、由香もそんな感じなので、納得できたことは一度もないかもしれません(笑)。でも、台本に「泣く」と書かれていないのに泣いたシーンがあって、スタッフさんたちは「なんでそこで泣くんだ」って感じたと思います。その時に、邦子さんを演じる白石美帆さんにその理由を説明したら、「そうだよね」って言って納得してくれて。そのひと言で自分を受け入れてもらえたのを実感して、とても嬉しかったですね。

■「8年間積み重ねてきたアイドルのイメージは、自分の中に絶対にあるもの」

ーー演技をしている時に自分の中で大事にしたいと思っていることは?

島崎:何でもいいから笑われたい。いつの時も笑って欲しいっていうのは常にあります。私はまだ、本格的にお芝居を始めてからはまだ半年なので、役者っていうほどでもないですし、肩書きも分からないまま今に至っていて。ただ、8年間積み重ねてきたアイドルのイメージは、自分の中に絶対にあるものなので、そこが原点なような気がします。自分が何かを言って、それが例え失敗であっても、どんな言葉であっても、みんなが笑ってくれたら全部OK! みたいな(笑)。

ーー今後の島崎さんの展望は?

島崎:ないものねだりですが、たまに踊りたくなるんです。歌も下手なのに歌いたくなるんです(笑)。だから、AKB48に戻りたいと思うときもあるんですけど、戻ったらまた違うことやりたいんだろうなって。

ーー最後に、今後の『ひよっこ』の見どころを教えてください。

島崎:自分的には、やっぱり由香として家族(祖母・鈴子(宮本信子)、父・省吾(佐々木蔵之介))と会いたいと思っていて、そこに注目してほしいですね。まだお二人とはリハーサルでお会いしても挨拶程度で、ほとんどお話しをしていないので、これから撮影するシーンはとても緊張しています。会いたいけど会うのが気まずいし、どうしたらいいかわからない、どう来るんだろう……って、本当に由香と同じ想いでいます。唯一、リハーサルもしていないシーンなのですが、逆に、何もわからないフラットな感覚でいいのかなと。由香本人もきっと、どうしたらいいかわからないだろうし、それはそれで楽しみも感じていて。あと、これはどうなるか分かりませんが、由香は付き合ってる男性がいるので、その人が出てくるのかどうかも、とても気になっているポイントです。

(取材=石井達也/構成=大和田茉椰)