ターンしたズラタンに、DFグローリの足が掛かったか……。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[スルガ銀行 CS] 浦和 1-0 シャペコエンセ/8月15日/埼玉
 
 両チームともに決定打を欠き、スコアレスの膠着状態のまま、試合終盤に突入する。延長戦はないため、このままPK戦に突入するのか――そう思われた矢先だった。
 
 88分、ペナルティエリア内でDFグローリを背負いながら、ズラタンがハイボールをキープしようとする。すると背後のスペースに流れたボールを、浦和の21番は振り向き様に追いかける。その時、グローリと交錯して両者が倒れる。そこで、キム・ジョンヒョク主審が笛を吹いて浦和にPKを与えたのだ。
 
 倒れ込みながらグローリがクリアしようとして届かなかった足に、ズラタンが引っ掛かって倒されたと言えた。実際、グローリの両足でズラタンを挟み込むような格好にもなっていた。ただし見方によっては、ズラタンが単純に相手ともつれあって倒れた感じでもあった。
 
 判定に納得できないシャペコエンセの選手たちが主審に詰め寄り、コーチもゴール裏のピッチサイドまで来て猛抗議をする。なかなかプレーは再開されず、その騒動の間も含め、6分ものアディショナルタイムが与えられた。
 
 さらにシャペコエンセの選手たちがズラタンから何かを聞き出し、主審に確認を求めていた。しかしズラタンは首を振って、できるだけその場から離れた。
 
 そしてようやく試合が再開されたあと、「(騒動の間は)集中するために、ずっとひとりぼっちでいた」と言う阿部勇樹が冷静にPKを沈め、これが決勝点になった。
 
 怒りの収まらないシャペコエンセの選手とスタッフは、試合終了の笛が鳴ったあとも、センターサークル付近で審判団を囲みしきりに抗議をしていた。
 
「失点したのが残り2分という時間帯でもあり、気持ちをコントロールすることが難しかった。私たちのラテン気質な性格もあり、どうにも抑えられなかった。直前のトゥーリオ(デ・メロ)へのファウルだと思われたプレーが流されていたこともあり、動揺してしまった」
 
 試合後、冷静さを取り戻したエウトロピオ監督は記者会見でそのように振り返り、「今回の各国を回った遠征で、グループとしての絆が深まった。これから自信を持って戦う」と抱負を語っていた。
 
 また、シャペコエンセの選手たちからは、浦和の選手もあれはファウルではなかったと言っていた、などという声が聞かれた。
 
 では、当事者のズラタンはどう思っているのか? 試合後、彼は次のようにPK獲得のシーンについてコメントした。
 
「主審が決めたこと。それが事実です。そのほかは、特に自分から言うことはありません。(試合終了間際でのPK獲得は)こういったケースは、サッカーではよくあることですからね」
 
 また、「これからたくさんの試合が控えているなか、ここで勝てたのは大きいし弾みになる」と、この1勝が持つ重みについて語っていた。堀孝史体制の初陣となった大宮戦(△2-2)で先発に抜擢されるなど、この元スロベニア代表ストライカーへの期待値は大きい。

 それだけに、次に求められるのはズラタン弾。試合を決定づけるようなゴールを決めて、チームとズラタン自身も上昇気流に乗っていきたいところだ。
 
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)