『脱いでみた』で裸体を晒した3人。(左から)みさきさん、みさとさん、なごほさん

写真拡大

自分の裸体を人に見せるのは普通、恥ずかしい行為なはず。しかし、今年5月に刊行された“女性が楽しめる女性のためのヌード写真”集『脱いでみた』には、フォトグラファー・花盛友里さんがインスタグラムで募集した一般女性20人の裸体が掲載されている。

前編記事では、なぜ一般女性がヌード撮影に応募するのか、また「脱ぐ」という行為をどのように捉えているのかについて、作品に参加したさきさん(フォトグラファー・24歳)、みさとさん(大学生・22歳)、なごほさん(女優・カメラマン・21歳)に話を聞いた。後編では撮影中の心境、またその後の心理的変化についてまで伺った。

***

―『脱いでみた』の中に「撮影時は30分。出会ってから脱いでもらうまで3分弱」と書いてあるんですが、3分弱って会ってすぐですよね。なごほさんはたまたま花盛さんとちゃんと話す時間があったとのことですが、他のおふたりはどんな感じでしたか?

みさき まあ…。でも、じっくりされても緊張しますよね。脱いでドア開けるまではちょっと緊張しましたが、あまりにも花盛さんが普通だから恥ずかしがってることが逆に恥ずかしくて。

みさと 「じゃあ、脱ごうか」って言われて、パッて脱ぐほうがエロくないし、普通ですよね。着替えをしてるだけだから。

―下着をつけている時と外した時の違いは? 最後の砦(とりで)じゃないですか。

みさき いや、どっちでも大丈夫でした。気持ち的にそんな変化は…。Tシャツ脱いだら、あとはもう裸みたいなもんじゃないですか。

なごほ 同感です。下着があってもなくても自分で見てるわけじゃないので、そんな変わらないです。とる時だけちょっと「あ…」って思いますが、それ以外は特に。

みさと まあ、ビキニとかって裸じゃないですか。あえて言うなら…開放感?

なごほ わかります。撮られてる間に、自分が開放される瞬間があって「いいんだ、フリーになっていいんだ」っていう瞬間がありました。

―開放感ですか。なごほさんは撮影前、帰りたくなるほど緊張していたのに…。心境の変化がすごく大きいですよね。

なごほ 自分が女性である、女のコらしくいることに抵抗があったんですけど、撮影を経て「全然キレイなんだな」って自信がつきました。

みさき 私はおっぱいが大きいのがイヤなんですけど、「別にこのままでもいいかなあ」って思えるようになりました。「人から見たら私ってこうなんだ、大丈夫だ」って。自信がつきました。

みさと 私は中学、高校と「みさと=おっぱいでっかい」みたいなイメージで、そう言われることに抵抗もなく、自分の身体のアイデンティティーとして胸が大きいっていうのがあったんです。でも花盛さんに撮ってもらった自分の背中を見て、びっくりして。骨の形とかも含めて「私、案外キレイなんだ」って気づきました。

―皆さん、自分の身体への自己評価がアップして自信を持てたんですね。撮影後、自分のヌードを誰かに見せたりしました?

みさき 最近、自分の個展があったのでそこにも置いていました。来てくれた人が見たりしてて、友達に「みさき、どれ? どのおっぱい?」って聞かれて「どれでしょう!」みたいな(笑)。すごい仲いい友達の男友達が一発で当てたんですよ。私のおっぱい見たことないのに「これ、小林でしょ」って。なんでわかったんだろう(笑)。

―その友達もすごいですけど、男友達にも自分のヌード写真を見せて平気ということにちょっとびっくりしました。

みさき 私自身、女のコっぽいタイプではないので、おっぱいが出ている写真を「知らない人が見るのか、知り合いが見るのか」っていうのはどっちでもいいんです。でも自分の知り合いが見て、「あ、小林、おっぱいだしてるな」って思うことってなかなかない機会ですよね。見て、面白がってもらえたらいいなとは思います。

私は脱ぎたいから脱いだし、本に出たいから出たわけで、『脱いでみた』を読んで「やりたいことをやっていいんだ」と思ってくれたらいいなと思って、知り合いに見せびらかしてます。

なごほ すごい、男友達は無理。でも私は家族には言いましたね。撮影することは言わなかったんですが、撮影が終わって、本が出た時に「実は…」って話したら「じゃあ家族全員、強制で買おう!」ってなって、姉も兄も弟も『脱いでみた』を買ってくれました。

みさと&みさき えー! 家族!?(笑)

みさと 家族はすごいな(笑)。私、誰かに見せたりとかっていうのは特にないかも。でも、裸になったことによって新しい出会いがたくさんあったなと思います。花盛さんとも出会えて、作品に関われて、見たことのない世界が広がったなと。「何か思い切って突っ走ってみる」とか「違うことをしてみる」という行動に意味があって、その手段がたまたまヌードだったのかなと。

―3人とも撮影後も前向きな感想なんですね。「またヌード撮影やりたい!」みたいな気持ちもありますか?

みさき 実は『脱いでみた』の撮影の後、知り合いの男性が「撮らせてください」って声かけてくれて、それもほぼヌードだったんですけど、引き受けました。

なごほ 私もです。一緒にいつも仕事してるカメラマンさんで「作品撮りしたい」っていう話で。

みさと 私もやりました。全然知らない人の撮影。

―なんと、全員2度目があったんですね! それも意外です、花盛さんだからと仰っていたので、他にも脱ぐ機会があったとは。では、ヌード撮影を人にも勧めますか?

なごほ&みさき オススメしたいです!

みさと うーん。ヌードって実際やってもやらなくもいいことですよね。この作品が美しいから「見てほしい」っていうのはありますけど、やるかやらないかは本当にその人次第なので、私は別にオススメはしないかな。

―なるほど。他のふたりは即答でしたが、なぜですか?

みさき やりたくない人にわざわざ勧めるつもりはないけど、性欲とか“脱ぎたい欲”を隠してないで、なんでもやってみればいいと思うんですよ。恥ずかしがるコも多いだろうけど、そういうコほど「1回やってみたらいいんじゃない?」と。

なごほ 撮影中の開放感がよかったっていうのもあるし、実際に写真を見て「めっちゃキレイ」って思えたんです。自分の「生」も「性」も受け入れることができて、人生にプラスになった部分がすごく大きかった。だから、他の人にもやってみてほしいし、「ちょっと自分のこと好きになれた」ってコが増えたらいいなって思います。

* * *

彼女たちは自分のヌードをただ「残したい」「人に見せたい」という気持ちではなく、服を脱ぐという行為に自己評価を高めたり、新しいステップへの進むための手段として価値を見出していた。元々、抵抗があったなごほさんまでもがだ。

“女性のためのヌード”とは「女性も見られる」ようにという意味はもちろん、モデルとして撮影される女性たち自身に大きな価値を生み出す意味もあるのかもしれない。

(取材・文/伊藤このみ 撮影/五十嵐和博)

■花盛友里(はなもり・ゆり)

フォトグラファー。大阪府出身。女性誌や音楽誌、広告などで主にポートレートの撮影を手がける。今年5月には『脱いでみた』が発売された。詳しくは公式サイトにて  http://www.yurihanamori.com http://qreators.jp/qreator/hanamoriyuri