比嘉愛未の心を、浅利陽介が照らすーー『コード・ブルー』第5話で描かれた“寄り添う人”

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 「誰かと一緒に生きる人生って、素敵だなって思う」(白石恵/新垣結衣)。8月14日に放送された『コード・ブルー〜ドクターヘリ緊急救命〜THE THIRD SEASON』(フジテレビ系)の第5話。「医者の重要な仕事の一つ、痛みを取り除くこと。そのために医者は勉強し、あらゆる手段を講じる」という藍沢耕作(山下智久)のナレーションから始まる。そして、「しかし、患者の痛みを正確に理解できる医者は、この世に一人もいない。痛みとは、その人でなければ、決してわからないものだから」と続くのだった。

参考:浅利陽介と比嘉愛未に祝福の声 『コード・ブルー』第3話で描かれた“命より大切なもの”

 第5話のタイトルは“寄り添う人”。「太陽いっぱい浴びて育った田舎の元気一杯トマト」というキャッチコピーが印象的な“紅っ娘(パラダイス)”の箱を抱え、笑顔で出勤する藤川一男(浅利陽介)の姿から始まる。妊娠している婚約者の冴島はるか(比嘉愛未)は、つわりがひどく、トマト以外は何を食べてもまずく感じてしまうという。だからこそ、美味しいトマトを必死に探してきたと話す藤川。冴島の愚痴をこぼしながらも、「これが幸せってやつなのかねぇ」と頬を緩めながら、藍沢に惚気るのだった。

 そんな幸せいっぱいの藤川と冴島だったが、事態は一変。あっという間に幸から不幸へと突き落とされてしまう。突然倒れ込んだ冴島は、下半身から大量に出血。妊娠13週目にして娩出が始まってしまい、さらには、胎胞が脱出してしまっていた。激痛に苦しみながらも必死に緋山美帆子(戸田恵梨香)に、「緋山先生どうにかして」と懇願する冴島。そんな冴島の傍で藤川は、「はるか、落ち着いて」と手を握りながら寄り添っていた。緋山が急いで処置を施すも破水してしまい、パニックに陥る冴島は「嫌だ……、待って。助けて、緋山先生!」と悲痛の叫びを上げ、藤川もまた「頼む! 緋山、頼む!」とすがりつく。しかし、ぎゅっと藤川が握りしめていた冴島の手は、力なく落ちていった。

 病院の燻んだ白い天井を、虚ろな目で見つめる冴島。そんな彼女に緋山は、「赤ちゃんは……ダメだった」と悔しそうに伝える。続けて、子宮頚管無力症だと思うと推測し、初産だからこそ検診で気付かなかったのは仕方がないと説明。最後に「赤ちゃん、助けてあげられなくて、ごめん……」と涙をこらえて呟いた。そんな緋山に対して、冴島は「大丈夫。また、チャンスはあるから」と優しい言葉を返すのだった。命に次はない。一度死んでしまったら、もう二度と戻らないし、誰の代わりもいないのだ。冴島のお腹の中にいた赤ちゃんには、これからたくさんの可能性と未来があった。それを誰よりもわかっている冴島と緋山だからこそ、互いにやるせない気持ちでいっぱいなのである。また妊娠のチャンスはあるが、同じ子は二度と宿らないのだから。

 藤川が病室を訪ねると、もりもりご飯を食べていた冴島が、「これ、すごくおいしい」と口にする。そして、涙を流しながら「ねえ、おいしいよ。すごく……おいしい……。ご飯が、おいしい……」と噛みしめた。ついこの間までつわりで何を食べてもまずく、早くおいしいご飯が食べたいとイライラしていた冴島だったが、「今は、全部おいしい……」のだ。ご飯のおいしさに、「赤ちゃん……いなくなったんだね」と改めて実感し、自分のせいで赤ちゃんが死んだと後悔する。そんな冴島に何て言葉をかければいいのかわからない藤川。過去に愛する人を亡くし、今回は命よりも大切なものになろうとしていた赤ちゃんを失ってしまった冴島の人生に、「そんなのないよ……」とやり場のない怒りをぶつける。「何ではるかばっかりこんな目に遭うんだよ」と苦々しく漏らすのだった。

 「俺……。あいつ、幸せにしてやれるかな?」という藤川の問いに、藍沢は「人は幸せになるために結婚するんじゃない。辛い毎日を二人で乗り越えていくために結婚するんだ」と答え、無言で藤川とともにに“紅っ娘”を頬張る。“結婚は、辛い毎日を二人で乗り越えるためにする”。それは、相手のそばの寄り添い、支え続けるということ。後日、死胎火葬に行く日に、藤川はまっすぐに冴島の目を見て「はるかはすごくいいお母さんだと思う」と伝えていた。その言葉は、誰よりも冴島の心に寄り添ったものであり、きっと今回の辛い出来事を乗り越えるための一歩となったに違いない。

 「人は他人の痛みはわからない。医者と患者に限らず、夫婦、親子、友人、どんな間柄でもそれは同じだ。しかし、痛みは教えてくれる。自分のそばに、その痛みをわかち合いたいと思ってくれる人がいること。その存在に、気付かせてくれる」。今回の冴島の“痛み”に、藤川をはじめ緋山、白石らは“寄り添おう”としていた。そしてまた、藤川の“痛み”にも藍沢らが“寄り添おう”としていた印象だ。“痛み”がわからないからこそ人は“寄り添う”。そして、“痛み”を抱えた人は周りの人の“優しさ”に気付き、救われるのだ。

 冒頭で、雨上がりの雲間から光が差し込む様子が映し出されている。雨に打たれ、びしょ濡れになって出勤してきた藤川だったが、藍沢に「雨か?」と聞かれた時にはすでに止んでいた。冴島の心は今、雨が降っているように涙を流し、真っ暗なのだろう。だが、止まない雨はない。そんな冴島の心を藤川が“光”となって、明るく照らし出して行く。そしてこれまでのように藤川が寄り添い続けることで、いつしか雨は止み、冴島の心はきっと晴れ渡るに違いない。(文=戸塚安友奈)