ドラマ「伊藤くん A to E」で主演を務める木村文乃/(C)「伊藤くん A to E」製作委員会

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岡田将生と木村文乃がダブル主演を務める映画「伊藤くん A to E」(2018年初春公開)に先駆け、ドラマ版がTBSで8月15日(火)から、MBSでは8月20日(日)からスタートする。

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原作は、数々のヒット作を生み出してきた人気作家・柚木麻子が2013年に発表し、自身初の直木三十五賞候補作となった同名小説。容姿端麗だが、自意識過剰で無神経過ぎる“痛男”伊藤誠二郎(岡田)と、彼に人生を振り回される4人の女たちが「恋愛相談」で矢崎莉桜(木村)の元に駆け込むさまが描かれる。

ドラマでは木村が単独主役を担い、4人の恋愛相談に腹の奥で毒を吐き、自身の再起をかけた新作ドラマのネタに利用しようとする落ち目の脚本家という「毒女」を演じる。

「これまでのイメージとギャップのある、腹黒くしたたかな木村文乃が見たい」と廣木隆一監督から指名を受け、新境地に挑む木村にインタビュー。演じるキャラクターや“痛男”についてなど話を聞いた。

■ 脚本家は大変なお仕事

──原作を読んだ時の感想から聞かせてください。

こんなに女であることを痛く感じさせる作品は見たことはありませんでした。

──映画化決定の時のコメントでも「リアルで、痛くて、知りたくなかった“女であること”を思い知らされる作品」と仰っていましたね。

男の人が知らない女の部分がまざまざと描かれていて、女の知らなかった女ってこうだよねという、すごくディープでリアルだと感じました。

──“痛男”だという伊藤という男性はいかがですか?

関わりたくはないですね(笑)。でも、莉桜の立場から見ていると、伊藤くんというのはすごく面白いネタですよね。みんなさんざん振り回されているけど、でも伊藤くんと出会ったから自分の傷と向き合うきっかけになって、巣立っていくという見方もできる。そうすると、嫌いだからって必要ないということではないなって思います。そういう立ち位置の人だなって。

非常にダメな人だと思いますが、周りが勝手に言っている評価であって、伊藤くんはどこにも属さず、自分として生きているだけなんです。それがちょっと人の迷惑になっているだけのことだなって思います。

──今回は脚本家という役でした。

本当につらい仕事ですよね。ちょうど先日撮り終わったドラマがオリジナル(ストーリー)だったので、プロデューサーさんや脚本家の方がすごく苦しんでいるのを間近で見ていたんです。なので、莉桜が脚本家としてパソコンに向かう時も、調子のいいときと悪いときというのがはっきりあるし、良いときも悪いときも孤独な作業なんだなって思いました。

──演じる中でも意識されていますか?

そうですね。特に感じるのは、書けなくなったときの孤独感ってなかなか大変な重さだなって思います。決して簡単に乗り越えられるものじゃないなって。

──演じたことで脚本家への印象は変わりましたか?

でも、私は用意された台本に書かれたことをやっているお芝居でしかないので。もちろん、それ以上に膨らませてやるようにとは思っていますけど、その本業の方たちの気持ちがわかるなんておこがましいと思うくらい(脚本家は)大変なお仕事だと思います。

■ 人を好き嫌いでは決めない

──では、莉桜に共感できる部分はありますか?

共感というよりも、莉桜は圧倒的に受けの存在です。それぞれの女たちがどういうふうに来るかによって、受け方や応え方は変わっていくので、逆にフラットでいるようにとは心掛けました。

──莉桜は見えを張る女性です。木村さんは見えを張ることはありますか?

きっとあるんだろうと思います。でも、どちらかというとネガティブ自慢の方が多いかも知れないです(笑)。

──では、木村さんの考える“痛男”はどんな男性でしょう?

人を好き嫌いでは決めないようにしています。好きと好きではないはあるけど、嫌いだからって排除しちゃったら、もし嫌いなタイプの役でお話が来たら、その役ができなくなってしまう。どうしてこういうタイプが嫌いなんだろう?とか、理由を探す時間に充てたりしますね。

──映画では、岡田さんが“痛男”伊藤として登場します。

初めて共演させていただきましたが、岡田さんのお名前を聞いた時に「なんてぴったりな人選なんだろう」と思いました。完全無欠というか、あんなに透き通ったガラスのような方が、“痛男”を演じる。作品としてなかなか見応えがあるものになるのではと思っています。

■ 女という生き物を知る教本にもなる

──田村伸也役の田中圭さんとの共演はいかがでしたか?

(同じ事務所で)もう見知った仲ですので(笑)。こういう役を演じたら右に出る者はいないよねという感じでしたし、とても信頼していますから。特に莉桜と田村の関係は、主従関係が他の人たちとはちょっと違うので、それを表現するのに(田村役が)田中さんで良かったなと思います。

──演じる中で、監督に言われたことなどはありますか?

監督とは常にワンシーンワンシーン、一挙一動をちゃんと見てくれているという信頼があります。自由に演じてみて、その中でいらないものをいらないって、傷つくくらいバッサリ捨ててもらって(笑)、面白いものはニヤニヤしながら「それ、やればいいじゃん」って言ってくださるので、その懐に飛び込んでやっている感じですね。

──最後に読者へメッセージをお願いします。

ちょっと重いかな、ドロドロしているかなと、特に男性の方は思われるかもしれないですけど、本当に悪い代表が大集結したお話なので、逆に女という生き物を知る教本にもなります。女性には「うわっ、それ言いたかった!」と思っている皆さんの心の声を代弁する役どころでもあるので、気持ち良く見ていただけるんじゃないかなって思っています。

シュールで笑える、クスクスできる所があったりして、終わり方も寂しい終わりではなくて、みんなちゃんと自分で解決して巣立っていくというお話なので、楽しんで見てもらえるんじゃないかなと思います。ぜひ、よろしくお願いします。