2015年12月28日、慰安婦問題に関する合意を発表する当時の尹炳世(ユン・ビョンセ)韓国外交部長官(右)と岸田文雄外相(資料写真)=(聯合ニュース)

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【ソウル聯合ニュース】日本による植民地支配から解放されて15日で丸72年となったが、旧日本軍の慰安婦被害者の傷はまだ癒えておらず、被害者たちが起こした複数の訴訟が今なお続いている。韓国法曹界によると、現在、被害者や遺族が韓国政府または日本政府を相手取り起こした民事訴訟計3件、被害者の名誉毀損(きそん)を巡る刑事訴訟2件が行われている。

◇損害賠償請求訴訟に応じない日本政府

 ソウル中央地裁は、被害者が日本を相手取り起こした損害賠償請求訴訟2件を審理している。

 被害者12人は2013年8月、日本政府への損害賠償請求訴訟を起こすのに先立ち、同地裁に民事調停を申し立てた。1人当たり1億ウォン(約970万円)、計12億ウォンの賠償を求めるものだった。

 だが日本は2年余り、韓国の裁判所が送付した関連書類を返送することを繰り返し、15年6〜7月に2回設けられた調停期日にも出席しなかった。このため、裁判所は被害者の申し立てを受け入れ「調停をしない決定」を下し、正式な訴訟に移行する手続きを踏んだ。民事調停の申し立てから4年が経過し、原告12人のうちすでに5人がこの世を去っている。

 昨年12月には、別の被害者11人と死去した被害者5人の遺族が日本に計30億ウォン余りの賠償を求める訴訟を起こしたが、日本はこれにも応じていない。

 被害者らが勝訴したとしても、日本政府から賠償金を受け取れるかどうかは不透明だ。法曹界の関係者らは、被害者らがそろって高齢であることを考えると、残された時間は多くないと口をそろえる。

◇刑事訴訟に発展した「くい事件」と「帝国の慰安婦」

 被害者をいたわり、旧日本軍の蛮行を告発する目的で製作された「少女像」に日本人の鈴木信行氏が「竹島は日本固有の領土」と書かれたくいを縛り付けた事件は、韓国国民の怒りを買った。鈴木氏は2012年6月、当時のソウルの日本大使館前に設置された少女像にくいを縛り付け、被害者らの名誉を毀損したとして13年に在宅起訴されたが、裁判に出廷せず、今も一審判決は出ていない。

 また、日本文学者の朴裕河(パク・ユハ)世宗大教授は、著書「帝国の慰安婦」で慰安婦について「売春」「(旧)日本軍と同志的関係」などと記述したことが被害者の名誉毀損に当たるとして在宅起訴された。一審は「学問の自由は憲法上保障された基本権」として無罪を言い渡し、検察が控訴したため、現在はソウル高裁が審理を行っている。

◇被害者の反発招いた韓日外相の「共同記者会見」

 15年12月28日、韓国の外交部長官と日本の外相が慰安婦問題に関する合意を発表した共同記者会見は、被害者らの反発を招いた。被害者らは、当事者である自分たちの意見を聞かず、韓国政府が日本と慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」に合意したことを批判した。

 被害者12人は昨年8月、合意により「賠償請求権を侵害された」などとして1人当たり1億ウォンの損害賠償を韓国政府に求める訴訟を起こした。

 これに対し韓国政府は「被害者に対する賠償問題を解決するためさまざまな努力をしており、慰安婦合意もその一環」だと主張した。この訴訟は現在、ソウル中央地裁で審理が行われている。