訪花するハチ(2017年7月13日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】農業で広く使用されている殺虫剤が、マルハナバチの女王バチの産卵能力を阻害し、コロニーを壊滅の危機に追い込んでいるとする研究論文が14日、発表された。

 今回の研究で行われた室内実験では、自然界で女王バチがさらされ得る量に相当する化学物質「チアメトキサム」を用いた。チアメトキサムは、賛否両論を呼んでいるネオニコチノイド系殺虫剤の一種だ。

 研究チームによると、チアメトキサムへの暴露によって、コロニー形成のタイミングが変化し、卵の数も通常の75%以下になったという。

 論文の共同執筆者で、英ロンドン大学(University of London)のマーク・ブラウン(Mark Brown)教授は、AFPの取材に「コロニー創設に対する影響をめぐっては、ネオニコチノイド系殺虫剤のみでも、暴露されたマルハナバチの個体群が壊滅に向かうリスクを大幅に高めることを、この結果は示している」と語った。また、コロニー崩壊の確率は28%以上と指摘している。

 アーモンドやリンゴ、さらにはモモやプラムまで、さまざまな農作物の受粉に不可欠なハナバチに対するネオニコチノイド系殺虫剤の影響については、その詳細は把握しきれておらず、科学者らの研究が進められている。

 今回、米科学誌「ネイチャー・エコロジー・アンド・エボリューション(Nature Ecology and Evolution)」に発表された最新の研究結果は、説得力のあるシナリオを提示している。

「これまでの研究では、コロニー創設段階という、マルハナバチのライフサイクルにおける重要な段階が見過ごされていた」と、ブラウン教授は指摘する。

「コロニー創設の成功は、マルハナバチ個体群の規模を左右するカギを握っている。女王バチがネオニコチノイド系殺虫剤に汚染された恐れのある作物や植物を餌としているという状況にあっては、この段階が、殺虫剤の影響を理解するカギとなる可能性があると考えられる」

 女王バチは、新たなコロニーの立ち上げで多数の障害に直面する。まずは体内に蓄積した脂肪を約80%消費しながら冬を乗り切ることだ。冬を無事に越したとしても、今度は寄生虫、捕食動物、悪天候、餌不足などにも直面する。

 これに殺虫剤への対応が加わると、それは女王バチが対処できる脅威の限度を超えるものとなる恐れがあると研究チームは述べている。

■受粉媒介者の40%が絶滅危機

 論文の共同執筆者で、カナダ・ゲルフ大学(University of Guelph)のナイジェル・レイン(Nigel Raine)氏は「これらの殺虫剤はハナバチに破壊的な影響を及ぼす恐れがある。その他の生物種への影響についてもより多くの情報を収集することが急務だ」と話している。

 約2万種に上るハナバチは、世界の主要作物107種のうち90%以上で受粉を担っている。

 国連(UN)は2016年、受粉を担う無脊椎動物、特にハナバチやチョウなどの受粉媒介者の40%が地球規模の絶滅の危機に陥っていると発表した。

 ハチが大量に失踪する現象、いわゆる「蜂群崩壊症候群(CCD)」をめぐっては、ダニやウイルス、菌類、殺虫剤、あるいはそれらの複合要因が原因と指摘されている。
【翻訳編集】AFPBB News