星野源、DAOKO、DISH//……今夏注目の主題歌・OP曲揃い踏み!

写真拡大

 今週は映画、ドラマ、アニメなどの主題歌/テーマソングとして話題を集めているシングルを紹介。「前前前世」(RADWIMPS)、「恋」(星野源)のヒット以降、タイアップソングの効果と意義が再定義・再評価されているが、ここで紹介する楽曲も、映像作品のストーリーと世界観にリンクしつつ、アーティスト自身の音楽性を色濃く示した優れた作品ばかりだ。

(関連:星野源と宮野真守に共通する“姿勢” ラジオ共演から2人の関係性を探る

 国民的ヒット曲となった「恋」以来となる、まさに待望の星野源のニューシングル『Family Song』表題曲は、ドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系)の主題歌。「脚本を読ませていただき、家族をテーマにしたソウルミュージックにしたいと思いました」という星野のコメント通り、現代における家族の在り方を(MVに登場するピンク色の部屋のように)温かく描いたナンバーだ。前作「恋」で<夫婦を超えてゆけ/二人を超えてゆけ/一人を超えてゆけ>と歌った星野は、今回の「Family Song」のなかで<出会いに意味などないけれど/血の色 形も違うけれど><いつまでも側に居ることが/できたらいいだろうな>と歌っている。家族の形が多様化するなか、“人はみんな違う”という当たり前の前提に立ち、そのうえで“いつまでもそばに居たい”と願うこの曲は、息苦しい閉鎖感とともに生きている現代の日本人にとって、ひとつの救いにつながるはずだ。

 このシングル『打上花火』は間違いなく、DAOKOにとって大きなターニングポイントになるだろう。原作/岩井俊二、脚本/大根仁、総監督/新房昭之、声優/広瀬すず、菅田将暉、宮野真守らによる映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の主題歌「打上花火」は“DAOKO×米津玄師”名義によるナンバー。美しく、繊細なピアノのフレーズから始まるこの曲は、クラシカルなストリングスと先鋭的なエレクトロが混ざり合うトラックのなかで、DAOKOと米津が<はっと息を飲めば/消えちゃいそうな光が/きっとまだ 胸に住んでいた>と声を合わせるミディアムバラードに仕上がっている。映画のストーリーとしっかりと重なった歌詞、普遍的な魅力を備えたメロディ、斬新な手触りのサウンドメイクが絶妙なバランスで共存するこの曲は、昨年の「前前前世」(RADWIMPS)に続き、2017年を象徴する楽曲になる可能性をたっぷり秘めていると断言したい。

 ディズニー映画『美女と野獣』の野獣役(プレミアム吹替版キャスト)をきっかけに本格的なブレイクを果たした山崎育三郎による初のオリジナルシングル『Congratulations / あいのデータ』。山崎の初主演ドラマ『あいの結婚相談所』(テレビ朝日系)の主題歌として制作された「Congratulations」は、ビッグバンド・ジャズを取り入れたミュージカル風のサウンドのなかで<おめでとう リングに誓えば Dreams Come True>という歌詞が大らかに広がるナンバー。ミュージカル俳優として10年のキャリアを持つ山崎の歌唱力とキャラクターが存分に活かされた楽曲に仕上がっている。作詞・作曲を手がけているのは、Ryosuke ImaiとJazzin‘park。R&B、ヒップホップとJ-POPをつなげてきた彼らにとっても、山崎育三郎という歌手との出会いは大きな刺激になったに違いない。

 パッとしない青春を送っていた若者たちが凶悪事件に巻き込まれるドラマ『僕たちがやりました』(カンテレ・フジテレビ系)の主題歌・DISH//の「僕たちがやりました」は、作詞・作曲/オカモトショウ(OKAMOTO’S)、編曲/OKAMOTO’Sによるロックナンバー。性急なビート、エッジの効いたギターリフ、<生きろ!死ぬな!生きろ!生きろ!>と叫ぶサビのフレーズがぶつかり合うこの曲は、爽やかなダンスロックのイメージが強いDISH//の新機軸と言えるだろう。そう、ストーリーに合わせた楽曲によってアーティストとしての新たな表情を提示することもまた、タイアップソングの効果なのだと思う。注目のシンガーソングライター・あいみょんが手がけた「猫」のノスタルジックな情感も印象的。

 中国風のエキゾチックな旋律からスタートするフレデリックの新曲「かなしいうれしい」は、TVアニメ『恋と嘘』(TOKYO MXほか)オープニングテーマ。リズミックなメロディライン、トリッキーなアイデアを含んだアレンジ、リフレインを効果的に使った歌はまさにフレデリック節(1回聴けば脳内で自動再生されてしまう)だが、“満16歳になると政府から結婚相手が通知される超・少子化対策基本法”が存在する世界を描いたアニメのストーリーとリンクすることで、お互いの良さを引き立て合う相乗効果が生まれている。リスナーとのシンクロ具合を確かめようとする「シンクロック」、相変わらず同調圧力に溢れるこの国の在り方を想起させる「まちがいさがしの国」とのつながりも興味深い。(森朋之)