訪日観光ビジネスアドバイザー  小田和尚氏

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働きながら「副業」で稼ぐにはどうすればいいのか。いろいろなところに埋まっている「ビジネスチャンス」について、当事者に話を聞いた。なかには「もうサラリーマンには戻れない」と語る人も。ネットを使った副業で稼ぐ「コツ」とは――。

■電車で移動し、地元の街を案内

「この仕事では、何か一つ得意分野を持つといいですね。たとえば『新宿の街に詳しい』『ラーメンの食べ歩きが趣味』ということが強みになります」

こう話すのは、訪日外国人相手の観光ガイドとして活躍する小田和尚さん(37歳)だ。小田さん自身は、外国人から「東京の街を案内してほしい」と頼まれると、自分の育った新宿区・曙橋や、子供時代に祖母と一緒に歩いた江東区・深川近辺を案内するという。

観光ガイドの1日は相手の宿泊先に迎えに行くことから始まる。そこから深川へ行く場合も電車で移動する。切符の買い方を教えて自動販売機で買う体験をしてもらうのだ。

「自分で切符が買えたら、外国の方はたいてい感動してくれます。最近の訪日外国人は日本の日常生活を知りたい人が多いので、電車移動はなかなか好評です」

小田さんはJR東海勤務を経て33歳で独立した。会社に不満はなかったが、明確な将来像も描けなかった。そんな時期に英会話教室に通い始め、そこで出会ったフィリピン人講師から語学以外のことも学んだ。

「早稲田大学でメディカルイングリッシュも担当していた先生で、世界情勢にもくわしい人でした。彼に触発されて英語の習得意欲が高まったのです」

■10時から14時ぐらいまで案内して1万円

こうして英語を話せるようになると実地研修を兼ねて何度か渡英し、現地の人と触れ合った。そこで学んだのは「相手の地元の話をすれば喜ばれる」ことだ。これが観光ガイドの会話にも生きている。

「米国のコロラド州デンバーから来た観光客には、『デンバーはスキーが盛んで魅力的なスキー場がたくさんありますね』という話をしたら喜ばれました。日本人同士でもそうですが、相手の住んでいる土地の話は、交流が深まるきっかけになると思います」

小田さんが強調するのが、背伸びをせず、ごく普通の暮らしをお客に体験してもらうことだという。たとえば「和食」や「寿司」は大人気だが、無理して高額店に行かなくてもよい。

小田さんは、初めてのガイドで2日間案内したインドネシア人の家族を、初日は原宿の定食屋チェーン、2日目は浅草・新仲見世通りの回転寿司店に連れて行った。帰国後にその人が好意的なコメントを書いてくれて、次のオファーにつながったという。

一つ気をつけたいのが、デリケートな話題には触れないこと。日本人の感覚とは違い、総じて外国人は宗教や人種の話には敏感だ。

気になる報酬だが、「特別な内容でない限り、10時から14時ぐらいまで案内して1万円が目安」(小田さん)。

さらに、次のような効果もあるという。

「私の知人には、英会話教室で身に付かなかった英語が、ガイドで身に付いた人もいます。おカネがもらえて生きた英語を学べるのです」

仕事の依頼は、ほとんどがネット上の「マッチングサイト」を経由してやってくる。

「多くの方は、サイト登録時の『新宿生まれです』とか『趣味はラーメン店巡りです』という自己紹介を見て依頼してくださいます。プロ級とまでは言いませんが、それなりの知識は備えていたほうがいいでしょう」

(経済ジャーナリスト 高井 尚之 撮影=大杉和広)