パフォーマンスの高い社員を昇進させるのは間違い?

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パフォーマンスのいい社員とパフォーマンスの悪い社員、どちらを昇進させますか?

あなたがマネージャーだったとして、パフォーマンスのいい社員を昇進させるとすれば、もしかするとその判断は間違っているかもしれません。それは「ポテンシャル」という観点を全く考慮していないからです。とはいえ、マネージャーは、”昇進に値する価値”をパフォーマンスで証明した社員を昇進させるように教育されているため、仕方がないかもしれません。

実際、高いパフォーマンスを上げた社員に昇進という形で報いることは簡単です。ですが、これはいささか安易な選択でもあります。仕事ができる社員に必ずしもリーダーシップがあるわけではないため、後々、リーダーシップのない人材ばかりが幹部になってしまう危険性があるからです。

パフォーマンスとポテンシャルをイコールとしてないデロイトが発表した「グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド2015」によると、回答者の86%がリーダーシップの問題を最も重要な課題として挙げているにもかかわらず、リーダーの育成が「十分にできている」と回答したのはわずか6%でした。

経営層が必要としている能力と現実には大きな差があり、人材の育成方法や昇進のさせ方が、その差を広げているように感じます。

パフォーマンスは悪くてもポテンシャルが高い人もいれば、パフォーマンスは良くてもポテンシャルが低い人もいます。パフォーマンスとポテンシャルは必ずしも比例しないのです。

会社組織の中では、高パフォーマンス・低ポテンシャルの社員が有利ですが、そのような社員がそれ以上に成長するとは限りません。一方、ポテンシャルは高いのにパフォーマンスが悪い社員は有望視されにくいですが、その場合の多くは、仕事が合っていなかったり上司に恵まれなかったりと、成果が出しにくい態勢が原因であったりします。

つまり、条件が整えられれば、うまくやれる可能性を秘めているのです。本当は今よりはるかに大きな責任を担える力がありながら、能力がまだ発揮できていないだけなのです。ここで、部下の能力を見極めるために有効な2つのポイントを紹介します。

1. パフォーマンス=深さ

パフォーマンスは簡単に測定できます。どのような成果を挙げているのかを検証するために仕事上の目標と評価基準を設定し、すり合わせればいいのです。困難なプロジェクトでは特に、平均的な社員か高パフォーマンス社員かが見極めやすいです。明確な評価基準があれば、どの社員が優れた成果を挙げているのか客観的に判断することができます。

2. ポテンシャル=幅

さまざまに変動する要素を管理できるか、厳しい状況下でも時間管理ができるか、予期せぬ問題に対して素早く解決方法を見出せるか、限られた情報で賢明な判断が下せるか──こうした能力は、あまりに形に現れない資質です。ポテンシャルは、動機や情熱、自分の範囲を超えた目標をどれだけ追い求めようとするかにかかっています。しかし、誰がこのようなポテンシャルを秘めているのかの判断は、より主観的になります。

ポテンシャルの見極め方

ポテンシャルの高い社員は、多くの企業が昇進基準とする評価方法では判別できません。コンサルティング会社のCEBによると、人事担当者の2人に1人が、自社の「有望人材育成プログラム」には「不満足」または「非常に不満足」だと答えています。

しかし、こうした状況を打開しようとしている組織もあります。米国空軍は、曹長昇進制度の見直しを進めており、軍の中で必要な人材を見出して育成し、最大限の成果を出すためのシステム開発に取り組んでいます。

ポテンシャルの高い人材は、さらに大きな責任を担うことが可能です。その人材を早く見つけるためには、多くのチャンスを提供すること。つまり、どんどん難しい仕事をやらせてみるのです。例えばプロダクトマネージャーなら、既存の担当プロダクトに加えて別のものを担当させてみる。困難な状況をつくることで、前述した”ポテンシャルの幅”があるかを見極め、一定の条件をパスしたら正式に昇進させ、新たな職務を与えるのです。