美しい海と常夏の気候は日本人の人気がなくなったと言えども健在

写真拡大

 北朝鮮のミサイルを巡り、その標的ともされるグアム。北朝鮮から発せられるさまざまな挑発に、グアム市民は戦々恐々としている。だが、それ以上に戦々恐々としているのは旅行業界である。

 かつては大学生の卒業旅行の定番、海外旅行の入門編と言われた日本から最も近い“アメリカ”でもあるグアム。だが、最近の調査でグアムに対する日本人人気が年々低下。客足も全盛期の1997年の111万人を境に減少。2016年には約3割減となる74万人まで減少してしまった。こうした人気の凋落に旅行業界は頭を抱えていた矢先の「グアム・ミサイル報道」である。

「ただでさえグアム人気は落ちてきているのに、ミサイルまで落ちたら、それこそシャレにならない。常に狙われるリゾートなんて、誰も行きたがらないでしょ」

 と語るのはグアムにも進出している日系のホテル関係者だ。

 これでますますグアム人気も……と思われがちだが、某大手旅行代理店の営業マンに話を聞くと、実はそもそものこの「グアム=不人気」は「本質的な部分で誤りがある」という。

「今年の3月に日本人のグアム人気が低下しているという記事が出て話題になったけど、不人気と言うよりも落ち着いたという言い方のほうが適切かもしれない。確かに今から20年前、90年代半ばのピークからすると寂しい数字だけど、そもそもグアムはここ20年で大規模なレジャー開発もされていないし、目立った観光地もない。おまけにグルメに至っては名物料理もなければ、シーフードや肉などの地産のものも皆無。航空会社が手を引いてこの状況と考えれば、実は以外と優秀な数字なんじゃないかと個人的には考えている」

 さらに営業マンは続ける。

「そもそも格安航空券が登場して、それまではヨーロッパやアジア、さらには南米まで昔と比べると格段に行きやすくなり、日本人はどんどん海外旅行に慣れ親しんできた。20年前までは家族で海外旅行っていうと、すごいなぁ〜って思われたけど、今じゃ家族でタイやアメリカに行ったなんて、とくに珍しい話じゃない。そういった状況下で得に目新しいものがないグアムの客が減るのは当たり前のことですよ」

◆第二次ベビーブーム世代がグアム人気に火を付け支えた

 確かに減少幅の「20年前と比べて3割減」という数字はセンセーショナルかもしれないが、グアム政府観光局発表の来島者数によれば、2003年は昨年の74万人よりも少ない65万人。ここ数年は80万〜90万人台を推移しており、言われるほどグアムは不人気とは言えないようにも思える。

 グアムの日本人観光客が爆発的に増えたのは1994年。この年は前年比20万人以上の増加を記録し、77万人の渡航者があり、その翌年からは日本人渡航者が一気に100万人へとうなぎ上りでグアム人気を決定づけた。実はこの年、第二次ベビーブーム世代がちょうど20代を迎える年であり、大学卒業や新社会人として大いに羽ばたいた年なのだ。純粋に日本の若者人口と、海外旅行熱の高まりが合致した結果がこのグアム人気を作り上げたというのは、想像に難くはない。

◆大規模開発は韓国企業頼みも現地からは日本へのラブコールが……

 先述の営業マンにグアムの現状を聞いた。

「今、グアム人気が高まっているのは韓国。韓国にはいわゆるビーチリゾートがないため、グアムや沖縄が非常に人気。沖縄は同じアジア圏だから、一番近いアメリカ、欧米の雰囲気が味わえるとしてグアムの人気がここ数年高まっている。そのため、日本の人気が横ばいから下降するのと反比例するように韓国国内でのグアム熱は上がり、韓国系企業がグアムの開発に乗り出すようになっている。一昔前の日本の状況が今の韓国。でも、グアムの人たちは日本にここまで育ててもらったという意識がとても強く、日本人観光客を今一度取り戻したいという思いが強い。実際、ホテルの大半は日系企業がオーナーだしね」