子育てには保育園の整備と同時に、男性の育児参加が必要であると主張するのが、民進党の柚木道義衆議院議員(45)だ。自身も積極的に育児に関わってきた経験を踏まえ、超党派のイクメン議員連盟を立ち上げ、自らは発起人となった。

 民進党は、保育園や子育てについて、どのような政策を用意しているのだろうか。

困っている人が政策立案の責任者になるべき

――まず、ご自身の子育て経験を聞かせてください。

柚木 1人目の子が生まれた日が、ちょうど国会召集日でした。出産の立会いのために「応召延期届」を出したのですが、男性国会議員としては初めてだったようです。実際にはなかなか生まれず、3日目には上京して国会で質問をし、飛行機でとんぼ返りをしました。午後4時15分に生まれました。「よ・い・こ」と覚えています。育児では喜びと苦しみの連続です。それらを男性がシェアすることが大切です。そのため、イクメン議連を立ち上げました。

 航空会社に勤務する妻は出産から1年で職場復帰しました。妻は一度出社すると3、4日帰りません。そのころ私は財務大臣政務官。登庁前、子どもを保育園に送りました。公用車のトランクに入れていたベビーカーを降ろして、地下鉄に行き、宿舎まで帰りました。送迎で公用車を使わなかったのは公私混同を避けたかったからです。

 週末は選挙区のある岡山県に戻りました。移動中、子どもはなかなか泣き止まないため、飛行機は避け、新幹線を多く利用しました。岡山まで3時間20分。その間、30分くらいしか子どもは座っていません。車両を行ったり来たり。クタクタです。寝かしつけるときは、子どもより先に寝ていました。妻も同じことをしていたと思います。

 生後2ヶ月のとき、子どもがあまりに夜泣きをして、「もう知らない」とベッドに放置したことがありました。自分でも「これは虐待じゃないか?」と思いました。閉鎖的な空間にいると、人は誰でもそうなってしまいます。妻は育児休業中でしたが、24時間営業スーパーに行っていました。1時間くらい帰ってこない。解放される時間は必要です。


現在、当選4回の柚木氏 ©渋井哲也

――そうした経験を踏まえて、待機児童問題が解決しないのはなぜでしょうか?

柚木 困っている人が政策立案の当事者になることでしょうね。ノルウェーでは40代がリーダーです。日本では総理大臣は60代が多く、早くても50代。世界のリーダーは40代になってきています。

 ノルウェーのストルテンベルグ首相(当時)と面会したことがあります。首相は2度、育児休業を取っていました。育休を取得したのは40代のときです。面会した当時は2人の大臣が育休中で、そのうち1人は厚労大臣でした。

 1993年の、ノルウェーでの男性の育児休業取得率は4.1%でした。そこで、男性が育休を取るとその期間中は100%の給料補償をする「パパ・クォータ制度(父親割当制度)」を導入しました。すると、育休取得率は6年後の1999年には85%となりました。これは大げさではなく、ワークライフ・レボリューション、イクメン革命でした。

 日本では、仕事と家庭の両立で大変な思いをしている、あるいは、してきた当事者が、政策立案の責任者になっていません。例えば、広島県の湯崎英彦知事は2010年に育休を取得して話題になりました。11日間で20時間の育児休業の取得でした。県知事には育休に関する法的な規定はありません。あえて「取得する」と宣言したのですが、賛否両論がありました。しかし、「育メン休暇応援制度」や「いきいきパパの育休奨励金制度」などを創設した効果もあって、広島県の男性の育児休業取得率は大幅に伸びました。

男性の育休には3つの壁がある

――子育ての優先度が上がったとして、どう解決するのでしょうか?

柚木 政府の政策と大きな方向性は変わりません。「保育園落ちた日本死ね!!!」というブログが話題になりましたが、受け皿の整備は必要です。ただ、土地問題もあり、地域事情も違うため、いろんな形態があってもいい。しかし、単に受け皿があればいいのではありません。毎年、保育園では死亡事故があります。親は安心して預けたい。質を担保するためには保育士の数を増やすことが必要です。

 旧民主党政権でも自民党政権でも考え方は同じ。そのために、消費税を10%にあげることになっています。現状は8%のままで、待機児童問題の予算を先食いしています。しかし、消費税を持ち出すと選挙に負けます。国や国会議員が身を切る改革は必要ですが、負担増に見合った安心増があれば、国民が理解をしてくれるはずです。現状の8%では財政再建にしか回りません。10%で初めて子育て予算の拡充が実現できます。

 政府は、今年度末で待機児童ゼロという目標をあきらめました。今度は、オリンピックの年度までと言っています。財源なくして政策なし。子育て支援を実現するための財源が必要です。「こども保険」や「教育国債」といったことも十分に議論すればいい。逃げることはなく現役世代が向き合って、解決策を示していく。それが未来への責任です。


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――男性の育児家事参加を促すために、国会議員が育休を取ることについてはどう思いますか?

柚木 省庁別の男性の育休取得率で、厚生労働省は2020年までに30%にすることを目標にしています。2015年度は27.25%。「一億総活躍」で掲げられている女性管理職比率を30%にしたいなら、急ぐ必要があります。

 しかし、一般に男性の育休が取れないのは3つの壁があるためです。1つはお金。経済的要因です。2つ目は職場の理解、協力です。上司に「なぜ育休を取るんだ?」と言われてしまうのが現状でしょう。3つ目は制度。特に中小企業は回らない。代替要員をどう確保するか制度的な支援が必要です。

 ただ、国会議員が育休を取ることは賛否両論あり、やりすぎると、足かせになるのではないでしょうか。もちろん育休の取得率は重要で最大の指標ですが、育休にこだわらず、男性が家事育児参加をすべきでしょう。

 育児は大変なことですが、喜びでもあります。義務であり、権利です。男性が育児参加すると、女性の負担が減ります。これは少子化対策にもつながるのではないでしょうか。厚生労働省の「21世紀成年者縦断調査」(2002年調査)によると、夫が休日に家事や育児の時間が長いほど、2人目以降が生まれた割合が高くなっています。夫の家事育児の時間がまったくない夫婦では33.3%ですが、2時間以上の場合は84.7%が第2子が生まれています。

――地域でどう実現していくのでしょうか?

柚木 子どもを産む前から意識づけないと男性はイクメンになりません。そのため、「子育て世代包括支援センター」を提案しています。すでに地域包括支援センターがありますが、本来は子育ても含めるべきです。幼老保一体化した施設、つまり介護施設と子育て支援施設を1ヶ所にします。ワンストップで受け皿を増やしたい。

 民進党内で、男性の育児休業中の補償を100%にすることを提案しました。現状は8割。5割だったのをイクメン議連で提案して実現しました。しかし、効果が芳しくないので、100%にすべきでしょう。財源は雇用保険です。同時に、男性が育休取得中でも、職場が回るように、代替要員を確保する。これを乗り越えられないと、日本の未来はありません。

(渋井 哲也)