ニューヨークに存在する「上陸が許されない小さな島」とは?
アメリカの中心とも言えるニューヨーク・マンハッタン島の近くには、人の立ち入りが規制され、貴重な自然動物のための自然保護区となっている知られざる島が存在しています。
The tiny island in New York City that nobody is allowed to visit - YouTube
マンハッタン周辺にはいくつもの島が点在しています。有名なマンハッタンも実は全長およそ20kmの島。
この他にも、マンハッタン島の先端近くに位置する「ガバナーズ島や……
自由の女神が建てられているリバティ島など。
また、大きな島であるスタテン島なども。
しかし、「ウ・タント島」の名前を聞いたことがある人は、それほど多くないはず。この島は、人の立ち入りが制限されている小さな島です。
ウ・タント島が位置するのは、マンハッタン島東岸のイースト・リバー。
国連ビルが建っている、その目の前に、小さな島が実は浮かんでいます。
この島は人の手によって作られた人工島。その起源は、1890年代に建設が始まったマンハッタンとクイーンズ地区をつなぐ海底トンネル。
花こう岩の岩盤をくりぬくというトンネルの掘削工事では、多くのがれきが運び出されます。
その岩石を積み上げてできたのが、最初の「島」でした。
この島は当初、建設費用を投資したオーガスト・ベルモント・ジュニア氏の名前をとって、「ベルモント島」と名付けられていたとのこと。
このトンネルは今でも、マンハッタンとクイーンズを結ぶ地下鉄「ニューヨーク市地下鉄7系統」が走っています。
ベルモント島は、時おりタンカーが座礁するなどの事故があったようですが、基本的には平穏な時間が流れていたとのこと。
変化が訪れたのは、「The Peace Meditation at the United Nations」(国連の平和瞑想))と呼ばれるグループが島を取得した時でした。
そのグループを率いていたのが、インド出身でヨガ指導者、宗教家、指導者などの肩書を持つシュリ・チンモイ氏。
チンモイ氏らは、1977年にベルモント島をニューヨーク州から借り上げました。
そして、チンモイ氏の友人で、第3代国連事務総長だったウ・タント氏の名前に改名しました。
島を借り上げたグループは島を緑化し、金属製の「一体性のアーチ」(oneness arch)を建設。しかし、国連ビルがすぐ近くにあるために警備が厳戒で、年に数度しか立ち入りが許可されていません。
しかし、2004年の共和党大会の期間中にある出来事が発生します。
ニューヨークで創作活動を行っていた地元アーティストで映画製作者のデューク・ライリー氏がDuke Rileyとその友人が、夜の闇に紛れてボートで島に侵入したのです。
そして、この島を自身の統治国家として主権を主張し、三角旗を国旗として島の塔に掲げたのです。しかしその後、ライリー氏らは沿岸警備隊に拘束されてしまいました。
Voxのディーン・ピーターソン氏はニューヨーク州当局にコンタクトをとって上陸を申請しましたが、却下されてしまいます。
島は現在、ミミヒメウなどの野鳥が訪れる自然保護区となっているため、人の立ち入りが制限されているのです。
上陸はかなわなかったピーターソン氏でしたが、可能な限り接近することを試みます。
そこで持ち出したのが、このカヌー。
イースト・リバーを進み……
見事、島のすぐ近くにまで接近することに成功しました。
「一体性のアーチ」は崩れてしまっているようですが、数種・数匹の野鳥が羽を休めている様子が確認できます。
写真を撮っていたピーターソン氏でしたが、カヌーのバランスを崩したようで……
そのまま転覆。期せずして島に「上陸」することとなってしまったようです。