常に流行の最先端を行き、世界中から注目を浴びる女性アーティストのレディー・ガガ。奇抜なファッションを得意とする彼女が愛用している「ヒールレスシューズ」という、踵がない靴を見たことがありますか?

この「ヒールレスシューズ」を制作しているのが、新進の日本人アーティスト・舘鼻則孝さんなのです。彼を一躍有名にしたこの靴は、なんと大学の卒業制作で作られたものが原点。

アートや美術館って敷居を高く感じてしまい、なかなか気軽に観に行くことができない……という人も多いのでは?でも、「ヒールレスシューズ」や「背の高いトウシューズ」が展示されると知ったら、「見てみたい!」と思いませんか?

『舘鼻則孝 リ・シンク展』の開催場所は、表参道ヒルズの地下3階にあるスペース オー。ファッションビルの中にあるので、美術館のように気負わずに、買い物のついでに寄ることができます。しかも、なんと入場料無料!前売り券などの必要がないため、仕事やプライベートと忙しいアラサー世代でも、ふらっと立ち寄れるのが嬉しい。

「館鼻則孝 リ・シンク展」のフラッグが!

『舘鼻則孝 リ・シンク展』は、舘鼻さんにとって過去最大規模の作品展。入口に飾ってある「トレーシーズ・オブ・ア・コンティニュイングヒストリー」は、鋳物でできた骸骨のオブジェ。なんと、舘鼻さん自身の頭蓋骨をスキャンしたもの。さらに入場してすぐに目に入るのが、「TATEHANA BUNRAKU」の赤い橋。これは、パリにある「カルティエ現代美術財団」で2016年に上演された「人形浄瑠璃文楽」の舞台を再現したもの。奥には実際に人形が着ていた着物の展示もあります。演目の最後は「道行き」という心中のシーンで幕を閉じるそう。目を奪われるような深紅の橋に、白い石畳が映えていました。

橋の前で、今回の作品展の見どころを説明をする舘鼻さん。

奥に進むと、目の前に飛び込んできたのは、ヒールレスシューズ!花魁が履いていた高下駄から着想を得たという独特のフォルムは、シューズ全体で描くカーブの曲線が美しい!この靴を履いてバランスが取れるレディー・ガガの身体能力にも驚かされます。

「ヒールレスシューズ、2017(C) NORITAKA TATEHANA 2017.」。幻想的な雰囲気。

「ヒールレスシューズ、2014(C) NORITAKA TATEHANA 2017.」可愛い色で、一度履いてみたくなってしまいます。

美術展の中に、カフェが登場!

ちょっと一息つきたい。そんな時には、展示会場の中に「トラヤカフェ・あんスタンド」とのコラボのカフェが!この展示限定の「あんペーストかき氷」と「あんボーロ抹茶味」を、個数限定ですが、なんと毎日、無料で提供されるそう。太っ腹!気になるお味は、シャリシャリとしたかき氷の食感に、甘さを抑えたいちごのシロップが、何杯でも食べられてしまいそうです。添えられたあんペーストも、甘すぎずにアクセントとなってもっと食べたいと思わせてくれます。かき氷は、食べ進めていくと、なんと底にもいちごのシロップが!最後まで美味しくいただきました。

展示場の中に、トラヤカフェが登場!

「あんペーストかき氷 いちご味」と「あんボーロ抹茶味」の商品見本。ボーロには、「タテハナノリタカ」の文字が!

「あんボーロ 抹茶味」も、さくっとしたクッキーの食感がしつこすぎず、中から出てきたあんが抹茶の渋さを和らげ、何枚でも食べられそうな上品な味がしました!本当に、無料でいいんですか??

お、美味しい!もう一個食べられそう。

展示場には、実際に舘鼻さんが制作を行なっている映像が上映されているブースや、舘鼻さんが演出を手掛けた花魁による劇作品の上演(1日3ステージ)も予定されています。生で見る花魁の美しさに、酔いしれました。

1日3回のショーのタイミングに合えば、花魁の美しい姿が楽しめます。

最後には、今回の展覧会の公式図録「NORITAKA TATEHANA RETHINK」や、出品作品のポストカードなどが販売されています。この展示をきっかけに、古き良き日本の文化や、アートにも興味が広がるといいですね。

舘鼻則孝さんに、仕事で成功をする秘訣をお聞きしました!

今回は特別に舘鼻則孝さんに、仕事との向い方について伺いました。

遊女のかんざしをモチーフにした彫刻作品「The Language of Art」の前で。

―舘鼻さんが仕事をするうえで、一番重要にしていることや、心がけていらっしゃることはなんですか?

「今は彫刻作品だったり、絵画だったり色んなことに挑戦しているんですけれど、一番最初に大学を卒業して始めたのが仕事として考えると、『ヒールレスシューズ』のカスタムメイドだったんですよ。受注生産だったので、すべてオーダーメイドだったんですね。お客様がいらしてから、初めて作るというスタンスだったんです。

やっぱり、お客様と対面して初めてそこで事が始まるというか。そこがスタートラインなんですね。そう考えると、どうやってお客様とのリレーションシップを築いていくのかというのが非常に重要で、ものづくりの上でスキルアップも心がけるのですが、一番重要なのはお客様とのコミュニケーションだと思うんですよね」

―それはどの仕事でも当てはまりますね。

「僕はもともと、英語も全然喋れなかったんです。でも今では世界中のお客様のところに行くこともあるし、逆に来ていただくこともあって、その時は東京を案内したりとか観光地を一緒に旅行したりとかもあるんですよ。

そう考えると、ものづくりをしている立場なんですけど、コミュニケーションというのが非常に重要で、手を動かすということ以上に、その環境づくりだったりとか、自分の地域や国をしっかり理解をしておいて人に伝えられる引き出しがあるかが、非常に重要なのだと感じます。意外と表に出てお客様とお話しするという場面が自分にとっては楽しいですし、そういうことが創作活動のモチベーションにもなっている気がしています」

―では、好きなことを仕事にするために必要なことは何だと思いますか?

「自分が作り上げたものを、人にちゃんと伝えられるかどうかというのが重要だと思うんですよね。それを発信する。実際に僕が行なったのは、メールで色んなところにアプローチをしただけのことなんです。それは凄いお金がかかることではないですし、スキルが必要なわけでもない、誰でも行動を起こそうと思ったらできることだと思うんですよ。意外とそういうことを、やっている人って少ない。

僕は一番身近で、一番できると思った手段を活用して、世界にアプローチした感覚ですね。そういうことが実を結んで、レディー・ガガさんの専属スタイリストさんから返事を頂けて、すぐレスポンスを返せる状態だったので、仕事として成り立つことができたんです」

―レディー・ガガさんのスタイリストの方から返信が来た時には、驚かれましたか?

「実際は驚いたんですけれど、ある程度、戦略的に狙っていったというか。それしかむしろ手段がなかったので、最大限活用して、こういう風になったらいいなっていう想像のもとに、フォーカスして行動をしていました。

僕が卒業制作をレディー・ガガさんに売り込んだ時のパターンって、彼女が若手を応援している事だったりとか、実際に日本に来た時に日本の作家の洋服を着ていたりとか、今までの流れとしてわかっていたので、“チャンスがあるかな”って思ったんですよ。自分はそういう思いで作っていましたし、それがうまく合致したっていうだけで、実際に起こしたアクションとしては本当にメールを送っただけですから、誰でもできることだったんです。その後の流れに、うまく対応できたというのは良かったかなと思います。それが現代の働き方っていう風に思いますね」

―自分から行動を起こしてみるのが大事、ということでしょうか?

「そうですね。行動力は重要ですよね。1つのアクションを起こすというのは、どうしても“傷ついたら怖い”とか考えますから。でも自分にしかやれない表現をしているならば、絶対に世界には、誰か認めてくれる人がいるんじゃないかなって思っていますね」

―美術館やアート系の展覧会は、敷居が高いと感じている人たちも多いかと思います。そういった人たちには、どのようにしたら美術に興味を持ってもらえると思いますか?

「日本の美術って工芸がもとになっていると思うんですね。要するに、“用途がある芸術”。簡単に言うと、漆の器もそうだと思いますし。僕の作品だと、かんざしであったりとか、実際に使えるものがあるんです。レディー・ガガさんが、プライベートでも靴を履いてくださったり。そういう用途があるっていうだけで、(美術が)身近に感じられたりするじゃないですか。

僕の作品で、ファッションのフィールドでスタートしている場合なんかは、ウェアラブルアート(着用できる芸術)と言われたんです。そういうことって、ユーザーの方との距離を縮めますよね」

―アートは難解、という先入観があるかもしれませんね。

「そうですね。抽象絵画が何を表現しているのか、わかりづらいとかあるかもしれないですね。そういう意味ではアートが遠く感じるかもしれないですけれど 今回の僕の展覧会のように、自分の制作背景の裏側のようなことであったり、ムービーで実際に制作をしているところが映っていたり、インスピレーションソースであったり、そういうものを通じて、作品の意味がしっかり理解してもらえれば嬉しいなって思いますし、そういうこととセットで捉えてもらうことが、より美術を身近に感じて理解度がアップするって気がしますね」

―最後に、今回の展示の見どころについて教えて頂けますか?

「国内初公開の作品も多いですし、レディー・ガガさんのバレエシューズも展示されています。クリスタルガラスも1つ1つ手で貼ったりしているのですが、昔ながらの工芸的な手仕事が入っている作品は、表現は現代的なんですけれど、日本のアイデンティティーがそこに根付いている。そんなところを今回、見て貰えたら嬉しいと思います」

「レディー・ポワント、2014(C) NORITAKA TATEHANA 2017.」。目の前で作品を見ると、繊細な手作業の美しさを実感できる。

「舘鼻則孝 リ・シンク展」
開催期間:8月20日(日)まで。 
場所:表参道ヒルズ 本館B3F スペースオー (東京都渋谷区神宮前4丁目12番10号)
開催時間:11時〜19時(最終入場18時30分) ※最終日のみ11時〜16時(最終入場15時30分)
休館日:なし
入場料:無料

http://rethink.noritakatatehana.com/