「日本の美意識」が反映されているという新型CX-5と、この国の美しさを探す旅

名古屋を出発し、岐阜県、富山県の山間部を突っ走り、いよいよ石川県は能登半島へ。旅の1日目もいよいよ大詰めです。

■能登半島へのロングドライブ

ちなみにこの日の行程は約6時間、助手席、運転席、後席と乗りました。印象的だったのは、シートの『自然に疲れない』感覚。

「うっとりしちゃうラグジュアリーな座り心地」とか「がっちりホールド!このままレースできそう」とか、そういうのではないんです。普通に座って。シートのことを考えるのをふと忘れてしまうような自然さ。体の軸がしっかり決まって、動くべき部分は自由になっている感じです。

太平洋側から日本海まで駆け抜けるロングドライブですが、そんなに長く乗ったような気はしませんでした。

筆者は個人的に、日本の美意識の一つに「自己顕示欲から解放された追求」があるのかなと感じています。CX-5の居住空間は、とてもスタイリッシュなのに押し付けがましさはなく、すっと馴染める感覚。

黒子のように寄り添って、さりげなくニーズを満たしている。それもまた日本的なのかもしれない…なんて思いました。

■滲むような艶めかしさ。夕日の和倉温泉

最後にたどり着いたのは能登半島、和倉温泉です。夕刻、ちょうど静かな七尾湾を夕日が染めていました。思わずクルマを止めてホゲーと息を吐きます。

能登半島の色彩は、とても『日本の美意識』的。日本の染物や器などが追い求めてきた色そのものが目の前にあるような贅沢さを感じさせます。

そんな夕日を映すCX-5は、昼とはガラリと表情が変わり、滲むように艶めかしさを浮かび上がらせます。まるで生き物のよう。

輝きの中に、陰翳や生命感を感じさせる。なんとなく金を背景としたいくつかの日本画の名作を思いました。

旅の初日。それぞれの場面を映しこんでは表情を変えていくCX-5の姿に驚かされた1日となりました。旅の2日目は、能登をさらに進んで輪島、美しい浜をクルマで走る千里浜などを経て、金沢に向かいます。

■能登の海は碧かった!

2日目は、能登半島をめぐり金沢へ。夜には小松空港から東京へ戻るという旅程です。

まずは和倉温泉を出発し、さらに能登半島を北上。「輪島塗り」や「朝市」で有名な輪島市を目指します。ドライブの前半は、能登島大橋や国道249号など、海辺の風景を堪能できるルートをとりました。

能登の海辺が素晴らしいのは、有名な絶景スポットはもちろん、何気なく通り過ぎる海辺の小さな町の1つ1つがとても美しいこと。「玄関開けたら海」というレベルでベイサイドに建つ家々の屋根は、おおむね「能登瓦」と呼ばれる艶々の黒い瓦で葺かれています。

海風や、塩、厳しい冬など、能登の自然の中で人の暮らしを守るための瓦。そのツヤ黒が、群青にも碧にも見えるような能登の水の色によく映えて、まるでそこにあるのが必然のように見えました。計算づくではなく、この自然、この色彩の中で育った人たちのセンスが、おのずから作り上げた美しさなのではないでしょうか。

そういえば旅の2日目は、相棒が代わりました!

1日目はソウルレッドクリスタルメタリックのクリーンディーゼル車でしたが、この日はマシーングレープレミアムメタリックのガソリン車です。CX-5といえば、やはり赤のイメージが強かったのですが、こちらの「マシーングレープレミアムメタリック」も素敵。シブく抑えた雰囲気に見えて、実はとてもドラマチックです。

光るところ、翳るところ。輝きが絶妙にコントロールされて、本来の造形美を際立たせます。そうして見るCX-5のかたちは、日本の自然の中でまるであつらえたように調和していました。能登の村の風景のように。

日本の作り手たちが、日本の風景に育てられた感覚を否定せず、それを改めて注視すること。それがクルマという西洋的なモノに新しい世界を広げつつあるのかな…なんてつらつら考えながら、旅は続きます。

次の後編でこの旅行記も終わり。最後は輪島から千里浜を経て、金沢方面へ向かいます。

つづく

(文:くぼきひろこ/写真:ダン・アオキ)

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