ヴァーディー(左)とも好連携を見せた岡崎(右)。そのパフォーマンスを英国メディアも絶賛していた。 (C) Getty Images

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 現地時間8月11日、プレミアリーグの開幕戦史上初の金曜日開催となったアーセナル対レスターは、4-3でホームチームが制する熾烈な打ち合いとなった。
 
 試合後にアーセナルの指揮官アーセン・ヴェンゲルが、「中立的な立場で見れば、最高クラスの開幕戦だった」と振り返った通り、互いに昨シーズンの不振から捲土重来を期した両チームの激突は、まさしく“プレミアムフライデー”に相応しい一戦だった。
 
 そんな2017-18シーズン最初の試合において私が注目していたのが、レスターの日本代表FW、岡崎慎司のプレーだった。
 
 率直に言って、新シーズンの岡崎は苦戦を強いられると考えていた。というのも、8月4日にレスターがマンチェスター・シティからナイジェリア代表の逸材FWケレチ・イヘアナチョを2500万ポンド(約36億2500万円)で獲得していたからだ。
 
 それだけの額を使って獲ったストライカーをレスターのような中堅クラブがベンチに置くことは考えにくく、また岡崎が昨シーズンのプレミアリーグで3ゴールと振るわなかったこともあり、彼は必然的にベンチへ追いやられると私は見ていた。
 
 しかし、不思議なことに岡崎は開幕戦のピッチに先発メンバーの一員として立っていた。そして、早々に私の予想を良い意味で裏切った。
 
 好スタートを切ったのは、本拠地で大勢のファンの後押しを受けるアーセナルだった。キックオフ直後の2分にアレクサンドル・ラカゼットがヘディングシュートで均衡を破ったのだ。
 
 不穏な空気がレスターに立ち込めるなか、その空気を一変させたのは、他でもない岡崎だった。失点からわずか3分後、CKの流れから味方CBのハリー・マグワイアの折り返しに瞬時に反応し、ヘディングで押し込んでみせた。
 
 チームにとっても、岡崎にとっても、重要なゴールで息を吹き返したレスターは、一時、ジェイミー・ヴァーディーの2ゴールで3-2とリードするも、82分と85分に立て続けに失点し、結局は3-4と逆転負けを喫した。
 
 開幕戦黒星となってしまったものの、72分にピッチを去った岡崎だけを見れば、ポジティブな試合だったと言える。
 
 彼は2ゴールを決めたヴァーディーとも好連携を見せ、自分の存在意義を証明してみせた。引き続き、エースストライカーの良いパフォーマンスを引き出せるのであれば、岡崎はチームにとって重要なメンバーでいられるはずだ。
 

 
 岡崎はとても勤勉で、そのひたむきかつ計算づいてボールを追うプレースタイルは、多くのプレミアリーグ・ファンはもちろん、英国人が何よりも好む姿勢だ。
 
 そんな彼に求めるものがあるとすれば、やはりゴール。本人は十分に理解しているはずだが、多くの得点を生み出せれば、岡崎はヴァーディーの相棒としてファーストチョイスになれるに違いない。
 
 私が開幕戦の岡崎に採点を付けるとすれば、10点満点中の「7」だ。しかも限りなく「8」に近い点数を与えたい。それくらい彼の奮闘ぶりは称賛に値する。事実、岡崎が退いた72分以降、レスターは運動量が極端に低下し、それが逆転負けを招いたと言っても過言ではない。
 
 今後も岡崎が先発出場を続けるうえで関係してくるであろう事柄は、ヴァーディーと並び、攻撃の軸を担ってきたリャド・マハレズの去就だ。現在、セリエAのローマへの移籍がもっぱらの噂となっている。
 
 開幕戦でのアルジェリア代表MFは、まさしく心ここにあらずといった振る舞いで、そのプレーは集中力を欠いていた。
 
 レスター・サポーターからも、「さっさと売れ」と怒りの声を浴びせられるマハレズが売却された場合、エースのヴァーディーへの依存度は高まる。となれば、その最適な相方として良い連携を見せている岡崎の出場機会は必然的に増していくはずだ。
 
 そうしたなかで得点数も昨シーズン以上に伸ばせれば、岡崎にとって実り多きプレミアリーグ挑戦3年目となるだろう。
 
文:スティーブ・マッケンジー
 
スティーブ・マッケンジー (STEVE MACKENZIE)
profile/1968年6月7日にロンドンに生まれる。ウェストハムとサウサンプトンのユースでのプレー経験があり、とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からサポーターになった。また、スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国の大学で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝に輝く。