【子育てと賃貸】待機児童問題を期間限定の引っ越しで解決した家族を取材してみた

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子どもをのびのび育てたいと、就学前までの期間限定で転移を決意した家族を取材。環境も風土も違う街で健やかな生活を手に入れた家族の物語とは?

ピークに達した育児疲れと保育園問題に悩む新婚生活

グラフィックデザイナーの引田大さんは福岡生まれの東京育ち。妻・あずみさんは東京生まれの東京育ち。2人とも自然豊かな場所が好きということで意気投合し、出会って半年でゴールインした。

「例えば旅行に行く時も、ほとんどの男の人って、プランは女の人に任せっきりだったりするじゃないですか。でも彼は『これも良くない? あれも良くない?』って一緒に乗り気で考えてくれるんです。そういうところがいいなって」と、あずみさん。

入籍から半年は大さんが独身時代に住んでいた市ケ谷で暮らし、娘・つむぎちゃんが生まれる数ヵ月前に武蔵野市へ転居。大さんの地元は吉祥寺で、武蔵野市の新居からは実家も近い。初産を控えるあずみさんを気遣って、大さんのご両親が呼び寄せてくれたのだ。

「とてもオシャレで素敵なご両親。つむぎのことも可愛がってくれて、産前産後にいろいろ助けてくださいました」と、あずみさん。

とはいえ、慣れない土地であずみさんの育児疲れはピークに達していた。生後6ヵ月までは夜中の授乳などで寝不足が重なり、かなり辛かったという。

「コミュニケーションがまったく取れないって、辛いですよね。赤ちゃんは言葉が話せないから。なぜ泣いているの? 何をしたら泣き止んでくれるの? 本当にもう、どうしたらいいんだろうって」
「あの頃は本当に辛そうだったよね。顔つきが違ったもの」と、大さんも当時を振り返る。

育児休暇が明けたら復職したいと考えていたあずみさんは、保育園のことも気になっていた。武蔵野市は若い世代に人気の街。大きい保育園にスムーズに入れることは難しいのではないかと考えていたのだ。子どもがのびのびできる大きな保育園に預けたいと考えていた2人は大いに悩んだという。

いろいろなものに興味津々な年頃のつむぎちゃん

のびのび子育てできる環境に、就学前の期間限定で転居

そんな折に一報が舞い込む。
「私の父が新聞記事を見つけてくれたんです」と、あずみさん。

あずみさんのご両親が暮らす江東区では【2017年度に10ヵ所の新設保育園ができる予定】という記事だった。しかも、100〜200人規模の大きな保育園もできるとのこと。
調べてみると、子育て支援がとても充実していて、しかも公園をはじめ、子育てスポットも充実していることがわかった。

あずみさんはコレだ!と思ったが、大さんにギリギリまで話せなかったという。江東区の保育園に入れるということは江東区に転居する、イコール、大さんのご両親の厚意を無下にするようで心苦しかったのだ。

しかし、保育園の申込み期限は刻々と迫る。
「3ヵ月くらい悩んだのですが、意を決してプレゼンしたんです。つむぎが小学校に上がるまでの期間限定ってことを力説しました」
すると、大さんはもちろん、大さんのご両親もすぐにOKしてくれた。そして、大さんの年末年始休暇を利用して、今年の1月に現在のマンションへ引っ越し完了。

実は、あずみさんのご両親も同じマンションの別の階に住んでいる。「雨に濡れずに行き来できる、ちょうどいい距離感の2世帯住宅って感じで、僕自身も気に入っています。職場までの通勤も楽になって、武蔵野市にいた時より利便性もアップしました」と、大さん。

両親が近くにいるという安心感からか、あずみさんも毎日を穏やかに過ごせている。ここに来てからは表情も穏やかになり、夫婦ゲンカも減ったというから驚きだ。

部屋のオーナーは大阪在住のご夫婦とのこと。内見の日にちょうど上京してきており、立ち会ってくれたのもラッキーだった。
「入居者が自由にリフォームしていい物件で、オーナーさんも面と向かって『好きにしていいよ!』と言ってくださった。直接お会いできて良かったです」と、大さん。

最初に着手したリフォームは、つむぎちゃん【秘密基地】。押し入れの襖は全て取り除き、新たに手すりとパネルを1枚取り付けた。
パネルには丸い覗き窓。小さな飾り棚には、パパとママがセレクトした絵本や温もりある木製玩具がディスプレイされている。

「休日はホームセンターへ行くのが楽しみになりました。ああしよう、こうしようって、アイディアが次々湧いてくるんですよね」と、大さんは話してくれた。

押し入れをDIYして作られたつむぎちゃんの【秘密基地】。

明るい日差しに包まれて、親も子も健やかに穏やかに

テレビとソファを別々の部屋に置くことで、子どもとしっかり向き合えるように

引田家を訪ねたのは2月。しかし、この部屋はポカポカと春のように暖かい。晴れた昼間は真冬でも暖房なしで過ごせるのだとか。

「周りに高い建物がなくて南向きだから日当たりバツグン。僕もあずみも寒いのが苦手なので、この部屋を選んで良かった!」
南に面したベランダには大きなオリーブの木。シンプルを追求した空間に、どこか温かみのある家具やオブジェも印象的だった。
「インテリアでこだわっているのは、木の色をなるべく統一することと、デザインや色味を【子どもに寄せない】こと。そして【2人ともがピン!と来た物しか置かない】って決めています」と大さん。

玄関を開ければ、目の前に東京スカイツリーがあり、ベランダから眼下を見れば川面のきらめき、とロケーションも申し分ない。

「家から徒歩5分以内に公園が6ヵ所もあるんです。つむぎはすべり台にハマってて、何十回も繰り返し滑ってます」と、あずみさん。
歩き回るのが楽しくて仕方ない時期のつむぎちゃん。取材中もリビング、キッチン、廊下と、ちょこまか自由に出入りしていた。

「自分でいろいろ学んでほしいので、過保護にしていません」と、あずみさん。
好奇心を尊重し、大らかに向き合っているのが印象的だった。夫婦そろって食べることが大好きということもあり、つむぎちゃんにも離乳食でさまざまな食材を与えた。そのため、つむぎちゃんは好き嫌いなく何でも食べる子に育っている。

「つむぎの誕生をきっかけに【食べることの大切さ】を改めて考えました。その想いをたくさんの人に伝えられたら、と『for life kitchen』という食のサイトも運営しています」
http://forlife-kitchen.com/

愛娘の保育園問題をきっかけに、伸びやかな成長を願って決断した転居だったが、結果として、親の心や人生観までも健やかなものにしてくれたのだった。

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文字=野中かおり
写真=奥村暢欣

※「CHINTAI2017年3月2日号」の記事をWEB用に再編集し掲載しています。
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