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■もくじ

どんなクルマ?
ー(ある意味で)生まれ変わったRS3
ーRS3 同カテゴリーの立ち位置

どんな感じ?
ー直列5気筒、どう変わったのか
ークワトロ・システムと乗り心地は?
ーステアリングを含む改善点

「買い」か?
ーAMG A45やBMW M2とは別モノ

■どんなクルマ?

(ある意味で)生まれ変わったRS3

2015年、先代RS3の発売時には、R8がそれを出産するという奇抜なCMが話題を呼んだ。

搭載される直5ターボがV10エンジンの片バンクを流用していることと、アウディ・スポーツの頂点にあるR8のDNAが息づいていることを強烈にアピールする、なかなかに面白いアイデアだった。

とはいえ、実際のところ、この2台にそこまでの共通性はない。あくまでイメージ広告で、クルマ好きとしては馬鹿にされたような気分を味わったのも事実である。

それが大幅マイナーチェンジを受けて、ある意味では生まれ変わった。

RS3 同カテゴリーの立ち位置

今回はおなじみのスポーツバックに加え、セダンボディも設定。しかし、コンパクトセダンの人気がイマイチな英国では、人気回復の起爆剤になるかは怪しいところだ。

とはいえ、不人気だったのはフォルクスワーゲン・ジェッタやスコダ・ラピッド、ヴォグゾール・ベルモントといった、いささか貧相なモデルの話。

ベースのA3からフロント20mm/リア14mmトレッドを拡大し、19インチのホイールを捩じこみ、迫力を増したRS3に対する捉え方はまた違うものがあるかもしれない。

結果、エクステリアはB7世代のRS4を思わせるバランスに仕上がっている。

同時に、近年のネッカーズルムの、ドーピング・ロードカーの評判をますます高めるモデルにもなりそうな気配だ。

それは外見ばかりではない。最高出力は400psに達し、このクラスでは初のことだとアウディは主張する。

むろん、スバル・インプレッサや三菱ランサー・エボリューションのコンプリートカーなど400ps級Cセグメントの前例はあるが、アウディはあくまでプレミアムブランド。

もっとはっきり言えばBMWとメルセデスのみをカウントしているのだろう。

■どんな感じ?

直列5気筒、どう変わったのか

エンジンはこれまで同様、V10÷2の2.5ℓ直列5気筒だが、アウディ・スポーツはこれを徹底的にチューニング。ブロックは鋳鉄製からアルミ製に変更され、オイルパンはマグネシウム製となった。

フロントアクスルへの荷重は26kg軽減された。車両重量は、スポーツバックが1510kg、セダンが1515kgで、これはメルセデス-AMG A45だけでなく、2輪駆動のBMW M2よりもわずかに軽い。

これより下位のS3セダンはさらに45kg軽く、室内の仕上げも上々だが、RS3に乗ってしまえば物の数ではない。

あちらはゴルフR譲りのEA888型直4だが、RS3は大幅改良された直5は、4000rpm辺りでデュアルポート・インジェクションがハイオク燃料を猛烈に吹き込み、1-2-4-5-3の着火による独特の鼓動が伝わってくる。

旧型RS3と比較すれば、直線加速に関しては大きな差を感じないが、それはつまり戸惑うほど速いのは変わらないということでもある。

その理屈抜きの獰猛さが魂を揺さぶるようなものであるかは、とりあえず考えないでおこう。

クワトロ・システムと乗り心地は?

たしかに、このクルマはモンスター級のパワートレインを積んでいる。しかし、それがこのシャシーの非常に高い信頼性を揺るがすことは全くないのである。

30ps以上の上乗せはあるが、それを受け止めるのは、軽量化と制御の最適化が図られたという多板クラッチ式クワトロ4WDだ。

これは、最新のRS5同様のフィーリングが感じられる。

低速コーナーでは、スロットルペダルを床に届くほど踏み込むと、トルクが明らかに外輪へ多く分配され、少なくともウェットコンディションでは、精密な前後バランスを忘れさせる。

かつてのRS3にみられたアンダーステア傾向を考えると、オプション設定されたワイドなタイヤは歓迎すべきものだ。

標準装備のパッシブサスペンションもまた、おおむね温和な性格である。

セダンの乗り心地はスポーツバックよりはわずかながら優しいが、それでも硬くエネルギッシュな印象だ。とはいえ、垂直方向があからさまに硬いにもかかわらず、間断なくそれを感じるものではない。

オプションのスポーツ仕様では、アウディお得意のアダプティブダンパーが装着され、コンフォート・モードではより快適性が増す。

ただし、最もハードなモードを選ぶと、英国の道路ではあまりにも硬すぎる。サスペンションの選択には、議論の余地があるといえる。

それ以上に問題なのはステアリングだ。

ステアリングを含む改善点

マイルドなモードではオーバーアシスト気味で、ダイナミック・モードでは曖昧になり、ちょうどいいという地点が見つからないのは改善されていない。

このステアリングがもしルノー・メガーヌ275トロフィーRのような出来栄えだったなら、飛躍的にいいクルマになったはずなのだが。

7段Sトロニックトランスミッションには見どころがあるが、これも手放しで喜べるものではない。

変速はクイックになったが、ときとしてダウンシフトに不器用さをのぞかせ、落ち着きのなさが見受けられる。

また、シフトパドルは小さく、シフトアップ時のフィードバックも、ギアボックスの作動を感じさせるようなメリハリのあるものとは程遠い。

それを別にすれば、装備類は充実しており、英国仕様にはヴァーチャル・コックピットが標準装備される。

ただし、RSスポーツ・エグゾーストは£1,000(14万円)のオプション。また、ポップアップ式のインフォテインメントシステム用ディスプレイは、ゴルフRの最新式タッチパネルに見劣りする。

「買い」なのだろうか?

■「買い」か?

AMG A45やBMW M2とは別モノ

RS3は時を越えて、高価だが現実的な状況下で天才的な能力を見せるクルマとして定評がある。それは今回のモデルも同様で、全天候型の、ゆるぎない速さを備えている。

しかし、運転免許を危機にさらさないためには、そうした期待を時に忘れなくてはいけない。いつもなら、これを思うのはスーパーカーで公道を走るときである。

サウンドも素晴らしくゴキゲンで、追加されたセダンタイプは万能性を高めただけでなく、A45やM2と全く異なる訴求ポイントともなりうる。

付け加えるなら、それら2台より間違いなく速い。

アウディRS3サルーン

■価格 £45,250(643万円) 
■全長×全幅×全高 - 
■最高速度 250km/h 
■0-100km/h加速 4.1秒 
■燃費 12.0km/ℓ 
■CO2排出量 188g/km 
■乾燥重量 1515kg 
■エンジン 直列5気筒2480ccターボガソリン 
■最高出力 401ps/5850-7000rpm 
■最大トルク 48.9kg-m/1700-5850rpm 
■ギアボックス 7速デュアルクラッチ